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4章
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魔王様は少し気まずくなり、寝ているナンタラードに目を向けた。
「ギアナンは、私を憎んでいる理由を話しましたが、それはランシュエ、貴方にも責任がありませんか?」
「私のせい?」
「ギアナンは私の良き補佐官でした。下官に降格などする必要はありません。何故そのような事を考えたのですか?」
「それは……」
それは、元天帝の蒔いた一つの種だった。自分はもともとナンタラードに嫉妬していた。好きではなかった。
彼を外官に降格させるという思いは、理由は分からないが、意志だけ強く残っていた。
その種が芽を出すとは全く思っていなかった。
「そういう意味では、私は彼に感謝しなければならない」
何でもない事のように言う元天帝に、さすがの魔王様も腹立たしく感じ、元天帝を睨んだ。
「私は、ランシュエのせいで補佐官に恨まれ、貴方の補佐官にも恨まれ、あと私を誰が恨んでいますか?ああ、サイもそうですが、彼は対しては私にも非があります」
「ロージは自分で勝手に恨んだだけだ。彼を責めてくれ」
元天帝は見向きもせずそう冷たく突き放し、ジークサイスは顔が青くなった。
「申し訳ありません」
「謝るならレイリンに謝ってね。でも次はないよ」
ジークサイスはもう一度「申し訳ありません」と魔王様に向けて言った。
「魔族のことはありますが、まぁ……もういいです」
魔王様はため息をついた。既に怒る気力も失せていた。
ジークサイスに自分が制裁を加えるのか?特に何か罰を下したいわけではない。それに彼に何かするには、ジオレライのこともあって少々気が引けた。
せっかく心が通い合いそうなのに、その仲を引き裂くような真似はしたくない。
「そもそも、ジークサイスもギアナンも、私を殺したいのなら自分でやったらどうですか?何故力を貸してまでサイにやらせるのですか?」
「神官に殺しは出来ないよ。それに誰がレイリンを殺せるのさ」
「殺せないのだからこそ、殺す気でかかってきたら良いではありませんか」
魔王様の言葉は、力のあるものだけに許された言葉だと元天帝には分かっていた。
だが魔王様は負けても勝つまで挑むような性格だ、彼らのことを理解することはできないだろう。
そう話しているうちに、ナンタラードの身体がピクリと動いた。
魔王様は近寄り、膝をついて上半身を支えた。
「顔色は悪くありませんね。大丈夫ですか?」
元天帝はあまり近付いてほしくなかったが、今のナンタラードでは魔王様に手出し出来ないだろうと、そのまま見守ることにした。
「リンドハイム様?」
ナンタラードは薄らと目を開け、その朱色を覗かせた。
「まだ力はあまり入らないかと思います。無理はしないでください」
魔王様は優しく微笑み、顔にかかっている髪をさっと右手で払った。
「なぜ?」
「ギアナンもランシュエみたいな事を言いますね。目の前に血まみれで倒れている人がいるのに、何故助けないのですか?」
ナンタラードの服は切り裂かれ、血まみれだが、身体は傷跡だけで既に痛みもなかった。
だが、ナンタラードが言いたかったのはそれではなかった。
「いや、貴方はサイが殺したはずでは?」
ナンタラードが倒れてからもう随分経つことに気が付いていなかった。
「忘れていました、そうでしたね。光が重なった時に代わりの死体を置いて、私は隠れたんです」
魔王様が振り返って元天帝の方を見た。
「本当に、私のレイリンの身体を傷つけるなんて許されないよ」
元天帝は腹立たしげに顔を歪めて首を左右に振った。
「それで、私を助けたのですか?殺そうとしたのに?」
「気にしないでください。ここには私を殺した事がある人もいます」
その言葉に元天帝は先ほどよりも顔を歪め、ジークサイスとジオレライは眉を上げて僅かに驚いていた。
「ギアナン、貴方が私を憎む気持ちは分かりました。ですが、貴方はそれを糧として四神官になり、天帝としての力も手に入れたのではありませんか?」
「それは……」
ナンタラードは言葉を詰まらせた。自分の目的は何だったのか。自分は一体何を目標にしていたのか。それをすっかり忘れてしまっていた。
瞼を閉じて、ゆっくり思い出そうとする。
自分が本当にしたかった事、なりたかった者は何だったのか?
「私はリンドハイム様を尊敬していました」
魔王様のナンタラードを抱えている手に力がこもった。
「本当は、貴方のように優しくて強い神官になりたかったんだ」
魔王様は息を呑み、思わずナンタラードの事を呼んでしまった。
「ギアナン……」
ナンタラードはゆっくりと瞼を上げ、魔王様の姿をその瞳に映した。
「それなのに、どうしてこうも歪んでしまったのか」
沈鬱な面持ちで、ナンタラードは息を深く吐いた。
魔王様は宥めるように、背中を優しく摩った。
「貴方のどこが歪んでいるのですか?全てを差し置いてでも、上を目指したいと強く思うことを悪いことだとは思いません。ただ、少しやりすぎてしまう場面はありました。今後、そう言ったことのないよう、他の神官の手本となれば良いのです」
魔王様は自分がされた事を棚に上げて、ナンタラードに優しく語りかけた。
「レイリン、本当に命狙われたのわかっているの?」
「では、彼を弾劾しますか?よく見てください。今ここにいる元を含めた神官は、みな利己的な動機で他者を貶めていますよ?」
これは魔王様も含めてのことだった。
「私は、今後貴方達が天界を担い、より良い方向へ導いてくれるのであれば、私に関することは表に出す必要はないと思っています」
魔王様は少なからず、自分が四神官であったにも関わらず、罪を犯してその責務を放り出してしまったことや、元天帝が勝手に天帝を止めてしまった事に対して罪悪感を感じていた。
それに、魔王である自分が神官を裁くつもりは毛頭ない。この件を明るみにするか、新たな神官に任せるのか、そう言った事は今の神官達に任せるべきだ。
「私たちはまだ、決着を付けるべき相手がいます。そちらに集中するべきでしょう」
魔王様は、ナンタラードを支えていた手を離して立ち上がった。
「行きましょう」
魔王様はコツコツと歩き、宮殿を出ようとしたところで立ち止まった。
続いていた元天帝は訝しげに魔王様を呼んだ。
「レイリン?」
「ランシュエ、あの似非宝珠でも良いので、彼らに力を置いていかなければ、天帝としての責務を果たせませんよ?」
そう言われて、元天帝は止むを得ず掌に金色の光を集めると、具現化して綺麗な宝珠になった。
元天帝はその宝珠を、神官達の方へぞんざいな扱いで投げ捨てた。
だがその宝珠は落ちる事なく、床から1m程のところでふわふわと浮いていた。
「ギアナンは、私を憎んでいる理由を話しましたが、それはランシュエ、貴方にも責任がありませんか?」
「私のせい?」
「ギアナンは私の良き補佐官でした。下官に降格などする必要はありません。何故そのような事を考えたのですか?」
「それは……」
それは、元天帝の蒔いた一つの種だった。自分はもともとナンタラードに嫉妬していた。好きではなかった。
彼を外官に降格させるという思いは、理由は分からないが、意志だけ強く残っていた。
その種が芽を出すとは全く思っていなかった。
「そういう意味では、私は彼に感謝しなければならない」
何でもない事のように言う元天帝に、さすがの魔王様も腹立たしく感じ、元天帝を睨んだ。
「私は、ランシュエのせいで補佐官に恨まれ、貴方の補佐官にも恨まれ、あと私を誰が恨んでいますか?ああ、サイもそうですが、彼は対しては私にも非があります」
「ロージは自分で勝手に恨んだだけだ。彼を責めてくれ」
元天帝は見向きもせずそう冷たく突き放し、ジークサイスは顔が青くなった。
「申し訳ありません」
「謝るならレイリンに謝ってね。でも次はないよ」
ジークサイスはもう一度「申し訳ありません」と魔王様に向けて言った。
「魔族のことはありますが、まぁ……もういいです」
魔王様はため息をついた。既に怒る気力も失せていた。
ジークサイスに自分が制裁を加えるのか?特に何か罰を下したいわけではない。それに彼に何かするには、ジオレライのこともあって少々気が引けた。
せっかく心が通い合いそうなのに、その仲を引き裂くような真似はしたくない。
「そもそも、ジークサイスもギアナンも、私を殺したいのなら自分でやったらどうですか?何故力を貸してまでサイにやらせるのですか?」
「神官に殺しは出来ないよ。それに誰がレイリンを殺せるのさ」
「殺せないのだからこそ、殺す気でかかってきたら良いではありませんか」
魔王様の言葉は、力のあるものだけに許された言葉だと元天帝には分かっていた。
だが魔王様は負けても勝つまで挑むような性格だ、彼らのことを理解することはできないだろう。
そう話しているうちに、ナンタラードの身体がピクリと動いた。
魔王様は近寄り、膝をついて上半身を支えた。
「顔色は悪くありませんね。大丈夫ですか?」
元天帝はあまり近付いてほしくなかったが、今のナンタラードでは魔王様に手出し出来ないだろうと、そのまま見守ることにした。
「リンドハイム様?」
ナンタラードは薄らと目を開け、その朱色を覗かせた。
「まだ力はあまり入らないかと思います。無理はしないでください」
魔王様は優しく微笑み、顔にかかっている髪をさっと右手で払った。
「なぜ?」
「ギアナンもランシュエみたいな事を言いますね。目の前に血まみれで倒れている人がいるのに、何故助けないのですか?」
ナンタラードの服は切り裂かれ、血まみれだが、身体は傷跡だけで既に痛みもなかった。
だが、ナンタラードが言いたかったのはそれではなかった。
「いや、貴方はサイが殺したはずでは?」
ナンタラードが倒れてからもう随分経つことに気が付いていなかった。
「忘れていました、そうでしたね。光が重なった時に代わりの死体を置いて、私は隠れたんです」
魔王様が振り返って元天帝の方を見た。
「本当に、私のレイリンの身体を傷つけるなんて許されないよ」
元天帝は腹立たしげに顔を歪めて首を左右に振った。
「それで、私を助けたのですか?殺そうとしたのに?」
「気にしないでください。ここには私を殺した事がある人もいます」
その言葉に元天帝は先ほどよりも顔を歪め、ジークサイスとジオレライは眉を上げて僅かに驚いていた。
「ギアナン、貴方が私を憎む気持ちは分かりました。ですが、貴方はそれを糧として四神官になり、天帝としての力も手に入れたのではありませんか?」
「それは……」
ナンタラードは言葉を詰まらせた。自分の目的は何だったのか。自分は一体何を目標にしていたのか。それをすっかり忘れてしまっていた。
瞼を閉じて、ゆっくり思い出そうとする。
自分が本当にしたかった事、なりたかった者は何だったのか?
「私はリンドハイム様を尊敬していました」
魔王様のナンタラードを抱えている手に力がこもった。
「本当は、貴方のように優しくて強い神官になりたかったんだ」
魔王様は息を呑み、思わずナンタラードの事を呼んでしまった。
「ギアナン……」
ナンタラードはゆっくりと瞼を上げ、魔王様の姿をその瞳に映した。
「それなのに、どうしてこうも歪んでしまったのか」
沈鬱な面持ちで、ナンタラードは息を深く吐いた。
魔王様は宥めるように、背中を優しく摩った。
「貴方のどこが歪んでいるのですか?全てを差し置いてでも、上を目指したいと強く思うことを悪いことだとは思いません。ただ、少しやりすぎてしまう場面はありました。今後、そう言ったことのないよう、他の神官の手本となれば良いのです」
魔王様は自分がされた事を棚に上げて、ナンタラードに優しく語りかけた。
「レイリン、本当に命狙われたのわかっているの?」
「では、彼を弾劾しますか?よく見てください。今ここにいる元を含めた神官は、みな利己的な動機で他者を貶めていますよ?」
これは魔王様も含めてのことだった。
「私は、今後貴方達が天界を担い、より良い方向へ導いてくれるのであれば、私に関することは表に出す必要はないと思っています」
魔王様は少なからず、自分が四神官であったにも関わらず、罪を犯してその責務を放り出してしまったことや、元天帝が勝手に天帝を止めてしまった事に対して罪悪感を感じていた。
それに、魔王である自分が神官を裁くつもりは毛頭ない。この件を明るみにするか、新たな神官に任せるのか、そう言った事は今の神官達に任せるべきだ。
「私たちはまだ、決着を付けるべき相手がいます。そちらに集中するべきでしょう」
魔王様は、ナンタラードを支えていた手を離して立ち上がった。
「行きましょう」
魔王様はコツコツと歩き、宮殿を出ようとしたところで立ち止まった。
続いていた元天帝は訝しげに魔王様を呼んだ。
「レイリン?」
「ランシュエ、あの似非宝珠でも良いので、彼らに力を置いていかなければ、天帝としての責務を果たせませんよ?」
そう言われて、元天帝は止むを得ず掌に金色の光を集めると、具現化して綺麗な宝珠になった。
元天帝はその宝珠を、神官達の方へぞんざいな扱いで投げ捨てた。
だがその宝珠は落ちる事なく、床から1m程のところでふわふわと浮いていた。
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