6 / 6
5話
しおりを挟む
「僕の能力は時を戻す能力です」
「な、に………?」
「本当か治癒師?」
フェオが驚愕に目を見開いた。
言葉を失った主代わりにエオローが質問を投げかけた。
「はい、時を戻せます。世界を逆行するなんて大それた能力では無いのですが、無機物有機物関係なく、時間を戻ることが出来ます。
なのでフェオ様の呪いは、私が呪いがかかる前に時を戻したことで無くなったのだと思います」
ユルは震えながらも答えた。
恐ろしかった。
こんな気味の悪い能力を持った自分が。
そして能力を気味悪がれ、人に嫌悪されることが。
「素晴らしいっ!!」
「え?」
フェオが興奮して立ち上がる。
「それならばどんな傷でも治せるのだな?」
「はい、傷を負う前に体の時を戻せば良いので」
「病気は?」
「病気になる前に時を戻せば良いので治せます」
「勿論呪いの類も直せるのだな」
「フェオ様が体験した通りです」
フェオの眼がキラキラと輝いている。
先ほどまでの猛禽類の様な鋭い目ではない。
宝物を見つけた少女のように無垢な喜びを瞳に宿す。
その意外なあどけなさに、ユルの心臓が小さな音を立てた。
(何だか胸がドキドキする?何だろう?)
「気に入ったぞユル、これからは私に仕えろ!」
「え、ええええええっ!?」
「実は其方の事は調べてある。小さな貧しい村の出身の孤児院育ち、食い扶持を減らすためと村に支援金を贈るために治癒師として王都に来た。
腕はそこそこの3流治癒師、クエストは身を護る能力が無いから受けない。だが3流を名乗るわりには腕が良く、ギルドでも重宝それていたそうだな」
「その通りです」
「村への支援もしてやろう。もう村人が飢える事は無い。そしてそれとは別に其方に賃金も払おう。私の傍仕えとして最高の待遇もしよう。文句は無いな?」
「え、え、良いのですか!?僕は気味悪く無いのですか!?」
「何が気味悪い?それは神が齎した祝福の力だ。その力があれば多くの人間が救える。お前の力を私のために使ってくれユル」
「ほんとう、に…僕が、役にたてる、んですか?僕、気持ち悪く、ない、ですかっ!?」
「あぁ、お前は神が私に遣わした御使いだ。私のモノになれ、ユル」
その言葉にユルの心が激しく脈打つ。
人間の心臓はこんなに力強く鼓動するなんてユルはこの時初めて知った。
人に受け入れてもらえることがこんなに幸せなのだと初めて知った。
だが、ユル自身は気付いていなかったが、ソレは受け入れられただけの喜びの鼓動では無かった。
(初めて人が恋にといる瞬間を見たな)
エオローだけがそれに気付いた。
そしてフェオ以外の人間に興味は無いと思っていた自分が、この子供が幸せになれれば良いのにと思い、もう既に自分はユルに愛情、それも母性に近い愛情を持ち恥もち始めている事にも気付いたのであった。
「な、に………?」
「本当か治癒師?」
フェオが驚愕に目を見開いた。
言葉を失った主代わりにエオローが質問を投げかけた。
「はい、時を戻せます。世界を逆行するなんて大それた能力では無いのですが、無機物有機物関係なく、時間を戻ることが出来ます。
なのでフェオ様の呪いは、私が呪いがかかる前に時を戻したことで無くなったのだと思います」
ユルは震えながらも答えた。
恐ろしかった。
こんな気味の悪い能力を持った自分が。
そして能力を気味悪がれ、人に嫌悪されることが。
「素晴らしいっ!!」
「え?」
フェオが興奮して立ち上がる。
「それならばどんな傷でも治せるのだな?」
「はい、傷を負う前に体の時を戻せば良いので」
「病気は?」
「病気になる前に時を戻せば良いので治せます」
「勿論呪いの類も直せるのだな」
「フェオ様が体験した通りです」
フェオの眼がキラキラと輝いている。
先ほどまでの猛禽類の様な鋭い目ではない。
宝物を見つけた少女のように無垢な喜びを瞳に宿す。
その意外なあどけなさに、ユルの心臓が小さな音を立てた。
(何だか胸がドキドキする?何だろう?)
「気に入ったぞユル、これからは私に仕えろ!」
「え、ええええええっ!?」
「実は其方の事は調べてある。小さな貧しい村の出身の孤児院育ち、食い扶持を減らすためと村に支援金を贈るために治癒師として王都に来た。
腕はそこそこの3流治癒師、クエストは身を護る能力が無いから受けない。だが3流を名乗るわりには腕が良く、ギルドでも重宝それていたそうだな」
「その通りです」
「村への支援もしてやろう。もう村人が飢える事は無い。そしてそれとは別に其方に賃金も払おう。私の傍仕えとして最高の待遇もしよう。文句は無いな?」
「え、え、良いのですか!?僕は気味悪く無いのですか!?」
「何が気味悪い?それは神が齎した祝福の力だ。その力があれば多くの人間が救える。お前の力を私のために使ってくれユル」
「ほんとう、に…僕が、役にたてる、んですか?僕、気持ち悪く、ない、ですかっ!?」
「あぁ、お前は神が私に遣わした御使いだ。私のモノになれ、ユル」
その言葉にユルの心が激しく脈打つ。
人間の心臓はこんなに力強く鼓動するなんてユルはこの時初めて知った。
人に受け入れてもらえることがこんなに幸せなのだと初めて知った。
だが、ユル自身は気付いていなかったが、ソレは受け入れられただけの喜びの鼓動では無かった。
(初めて人が恋にといる瞬間を見たな)
エオローだけがそれに気付いた。
そしてフェオ以外の人間に興味は無いと思っていた自分が、この子供が幸せになれれば良いのにと思い、もう既に自分はユルに愛情、それも母性に近い愛情を持ち恥もち始めている事にも気付いたのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
47
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
これから最愛になって行きます♡
兎に角ユルは可愛い感じに書きたいです。
他の所は女主人公が強すぎる肉体的にも精神的にも。
速く溺愛書いていきたいですね(*´▽`*)
性別チェンジしたら一気に書きやすくなりました(笑)
後やっぱり男装少女は書きやすいですね。
男主人公では話が膨らまなかったの見破られていた(笑)
すぐに溺愛になります(*´▽`*)