冷酷な王子がお馬鹿な私にハマり過ぎて婚約破棄できなくなってることを周りは誰も知りません※R15

みかん畑

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8.5 王子の溜め息

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「はぁ……」
「おいどうした。溜息ばっかついて変だぞ」

 護衛のニコラ・カルメルが訝しんでいる。
 俺は王宮に戻って冷静になった後、リアへの接し方を思い出して頭を抱えていた。

「……リアに会うのがつらい」
「はぁ!?」

 親友が驚いている。
 俺がリアを愛していることは、誰にも伝えていない。
 王族にとって大切な者というのは、それだけ狙われるリスクが高くなるからだ。

 ニコラは「何があったんだ」と聞いてきた。
 こいつと俺は幼馴染で、ニコラにとってリアは妹みたいなものだからな。
 驚くのも無理はない。

「つい羽目を外し過ぎた」
「あー。なんかテンション上がってるところを見られたとかか?」

 テンションが上がってたどころじゃない。
 足腰が立たなくなるまでリアを抱いて、天使とか言いまくってたんだ。
 リアが可愛いのは事実だが、あんなに溺れてる姿を彼女に見られたのが恥ずかしい。

「薄々は勘付いていたんだが、お前、リアのこと結構好きだよな。もしかして、何かのきっかけで素直になったとかか?」
「……何でお前はそんなに勘が鋭いんだ」
「あー。まあ、お前が分かりやすすぎるっていうのもあるとは思うぞ」
「学園では誰にも気づかれてなかったんだけどな」
「あいつらはまだ社会で揉まれてないからな。上っ面の態度を素直に信じすぎる。俺からすりゃ、お前はリアのことになると極端に無関心を装うからな。逆に関心があるのが丸分かりで面白かったぞ」

 親友に指摘されて机に突っ伏す。

「……まあ、いいじゃないか。リアは可哀想なくらいお前の好意に気づいてなかったんだ」
「俺だって好きで冷たく当たってたわけじゃない。実際のところ、いつ婚約破棄されてもおかしくなかったのは俺の方なんだ……。冷たいし、愛想悪いし、小言ばっかり言うし……。俺って駄目婚約者だよな」
「お前はリアを心配しすぎなんだよ。あの娘、貴族の間じゃ確かに評判がよくないが、平民からは聖女とか言われて愛されてるんだぞ。こないだのチャリティーの件だって、好意的に受け止められてた。恵まれない子供の為に婚約指輪まで出すなんて、なかなかできることじゃないってな」
「そんな風に曲解されてたのか」
「それも、日頃の人の良さがあってこそだろう。あと、これは言おうか迷ってたんだが、リアが燃やしちまった奴いただろう」
「あの負傷兵か……」

 魔物との戦いで負傷をしたという話だった。
 王子である俺が慰問した先での事件だったから、けっこう大事になりかけたんだった。
 俺の方で握り潰しておいたが……。

「あいつはお前を暗殺しようとした間者だったらしい」
「……何? それは本当なのか」
「嘘じゃねえよ。魔物にやられたって傷も偽物だった。あの娘は本当に聖女か何かの生まれ変わりなのかもしれないな。失敗だと思ってたことが、後からいい方向に動くことが多いんだ」

 ――そういえば、隣国の王子を注意した件も、後から好意的に受け止められていた。元々素行が悪かった王子が、留学を機に多少改善されたとかいう話があったな。

「幸運の天使ちゃんかー。俺も狙ってみるかな」
「あ……?」
「キレんなって! 俺はお前の姉ちゃん一筋だから」
「……それも勘弁願いたいんだがな。お前が兄になるなど」
「俺は彼女一筋だ。悪いが、親友とはいえこの恋だけは譲れん」
「そうかい。まあ、当たって砕けろの精神で頑張ってくれ」

 ニコラと話して少し気が紛れた。

(……天使か)

 おっちょこちょいな天使をイメージして、俺は知らず笑っていた。
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