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監禁十五日目

監禁十五日目⑩ 研究

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 紫音が度々口にしていた「研究」はここで行われていたのか。研究所に煌々とした明かりは点いているが、人気はない。このフロアにも、アイツらはいないということか。

 左側に続く廊下もあったが、とりあえず廊下を真っ直ぐ進む。ガラスの向こうには、実験室のように様々な器具が並んでいた。机の上にはアンプルなどの器具が出ている。今はどの機械も動いていないようだ。
 ガラスが途切れると、そこに研究所に入るためのドアがある。しかし、ロックが掛かっていて、ドアの横にはカードを読み取るような器具が付いている。鍵となるカードがないと入れないということか。

「残念ながら、私は研究をしていないから、カードはないわよ」
 葉子は視線で感じたのか、優夜が訊く前に答えた。廊下は突き当たりになり、ドアはない。仕方なく、戻って、違う廊下に向かう。しばらく行くと、左に金属製の扉があった。こちらも横にロック解除用のパネルが付いていた。念のため開けようとしたが、固く閉ざされていた。

 廊下を真っ直ぐ進むと正面と右側にそれぞれひとつずつドアがあった。突き当たりのドアにはパネルがあるが、右手側のドアには、それがない。ノブに手を掛けると扉は開いた。

 そこにはベッドが置いてあった。白いパイプのベッドは診察室にあるような簡素なものだ。部屋の異様な点は、ベッド以外に何もない点だった。白い壁、白いベッド以外には、何もない。いや、唯一あったのは、部屋の天井の片隅にある監視カメラとスピーカーだけであった。
 ここにいても、何もない。部屋を出るか。しかし、そこで異変が起きた。「ガチャ」という音が部屋に響いたのだ。まさかと思い、ドアノブに手を掛けるが、先ほど普通に開いたはずのドアは開かなかった。ドアのようなものは見えないが、開かない。まさか閉じ込められた、のか。どうやって。

 廊下には間違いなく誰もいなかった。つまり、遠隔でこの部屋をロックしたというのか。つまり、監視カメラで俺たちがこの部屋に入ったのを見て、ドアにロックを掛けた。全て筒抜けだったのだ。

 金属製のドアは頑丈で、とても壊れそうにない。万事は窮した。また捕まってしまったというのか。その時、スピーカーから声が流れた。
「お元気ですか?」
 気の抜けるような軽い声が聞こえる。この声は紅子だろうか。
「私(わたくし)たちのゲームはまだ終わりません。まだ楽しませていただきます」
 今度は蒼子か。
「これはゲーム中のミニゲームみたいなもの。これなら貴方たちにはあることをして貰います」

「ある事、ってなんだ」
 優夜の言葉を聞き流し、紅子の声はあっさりとそれを告げた。

「優夜様はこれから、セックスをしてください、その二人と」
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