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第12話 猫だるまが降った夜 【重要分岐】
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怒りに目の色を変えたシェーンが観客席から飛び降り、剣を抜いて、エヴァディザードの行く手を阻んだ。
「貴様あぁぁっ!!」
ザッ!
覚えたのは、戦慄。
狂気に近いシェーンの吼え声に、シルクは身の毛がよだつ思いをした。
速い。
こんなシェーン、見たことがなかった。
いつも、冗談とも本気ともつかない口説き文句を、優雅にもてあそんで本心を見せないシェーンが。
怒りに狂った目をして迫ってきたシェーンと、シルクを放したエヴァディザードの剣が激突した。
ガキン!
シェーンの立て続けの斬撃、猛攻を、ことごとく受け切ったエヴァディザードが瞳に冷たい光を宿し、シェーンの首を狙うのを見て、シルクは絶叫して、エヴァディザードに組み付いた。
「やめてぇ!!」
本能で、察知した。シェーンが殺される。
シェーンにエヴァディザードの剣は受けられない。
力押しでどうにかなる相手ではない。エヴァディザード相手に理性を失ったら、終わる!
ポン!
光が弾けた。
突如、視界にとりどりの光が弾け、魔法で創られた、猫だるまのような奇妙な物体が降り注いだ。
「うわっ、な、何コレ!?」
――何で、猫だるま!?
表情とか、お馬鹿で平和そのものなんだけど!
ぽん!
今度はシェーンの剣が、一抱えもある花束になり、かと思うと、その花束の中から、輝く白い鳩が何羽も出てきて、平和を象徴するかのように、夜空へと飛び立った。
「サ、サリ王子……!?」
エヴァディザードを止めようとして、恐怖に壊れたように震えていたシルクの腕も、あまりの光景、それも腰砕けになる光景に、その恐怖さえ忘れ、震えを収めていた。
「――サリ!! なぜ、邪魔立てを!!」
サリは嘆息すると、どこからともなく、お得意のララ人形とリリ人形を取り出した。
『ああ、これが青い春。愛しい人に手を出された青年は、怒りに我を忘れて、他人の庭で自殺行為に及んでしまうの。でも、ここはララたちの庭。ここで決闘されたら、ララたち、怒られてしまうのよ』
『世の中は不条理。決闘なんて青い春の悪戯で、リリたちとは関わり合いのないことなのに、怒られるのはリリたちだなんて』
『場所を変えてくれれば、邪魔しないのよ。ララ、他人様の恋路のお邪魔をして、馬に蹴られて死ぬなんて、イヤ』
――えーと。
唇を噛んだシェーンが、サリに侮蔑の視線を向けながらも、元に戻った剣を鞘に収めた。
それを見届けたサリが、静かに、視線をシルクに移した。
「シルク、君は、君を懸けた試合に負けた。エヴァは、君を砂にさらう気でいるようだ。シグルドと私の命運を懸けても、君が私に、その阻止を願うのなら――」
サリの瞳が、ほんの少し寂しげに翳った。
「私は、君の願い通りにしようけれど。もしも、砂の命運を左右する覚悟が君にあるのなら、君自身の意志で、砂の国に赴いて欲しい。――砂の国は、もう半世紀以上も私達の血を待ち望み、私達は裏切り続けている。約束を、呪いとして断つことも、果たすこともしないままに」
「サリ……? 約束って、何……? ぼく、知らないよ。エヴァ、何か理由があって、ああいうことしたの……!?」
一筋縄ではいかない微笑みを見せたサリが、シルクの耳元に囁いた。
「砂に、真実を確かめにお行き。私も、断片しか知らない。砂の地では、メイヴェルが君を守ってくれるだろう。メイヴェルだけが、味方と覚えておいで。その庇護を離れれば、君は砂に呑まれるかもしれない」
========================
★ 次回予告的な分岐です。
※ いずれかのルートで更新されます。
========================
【C】 すごい! 何だかヒロイック・サーガっぽくなってきた! 隠された真実を突き止めて、シグルドとカイム・サンドを救うんだ。かっこいい、行くぞ!
⇒ 砂の黄昏編 soir.01 に続きます。
【D】「許さない」真っ青な顔をしたシェーンが割り込んだ。「サリ、君はよくも、シルクの身がどうなるかわからないことを――」
⇒ 砂の夜明け編 aube.01 に続きます。
「貴様あぁぁっ!!」
ザッ!
覚えたのは、戦慄。
狂気に近いシェーンの吼え声に、シルクは身の毛がよだつ思いをした。
速い。
こんなシェーン、見たことがなかった。
いつも、冗談とも本気ともつかない口説き文句を、優雅にもてあそんで本心を見せないシェーンが。
怒りに狂った目をして迫ってきたシェーンと、シルクを放したエヴァディザードの剣が激突した。
ガキン!
シェーンの立て続けの斬撃、猛攻を、ことごとく受け切ったエヴァディザードが瞳に冷たい光を宿し、シェーンの首を狙うのを見て、シルクは絶叫して、エヴァディザードに組み付いた。
「やめてぇ!!」
本能で、察知した。シェーンが殺される。
シェーンにエヴァディザードの剣は受けられない。
力押しでどうにかなる相手ではない。エヴァディザード相手に理性を失ったら、終わる!
ポン!
光が弾けた。
突如、視界にとりどりの光が弾け、魔法で創られた、猫だるまのような奇妙な物体が降り注いだ。
「うわっ、な、何コレ!?」
――何で、猫だるま!?
表情とか、お馬鹿で平和そのものなんだけど!
ぽん!
今度はシェーンの剣が、一抱えもある花束になり、かと思うと、その花束の中から、輝く白い鳩が何羽も出てきて、平和を象徴するかのように、夜空へと飛び立った。
「サ、サリ王子……!?」
エヴァディザードを止めようとして、恐怖に壊れたように震えていたシルクの腕も、あまりの光景、それも腰砕けになる光景に、その恐怖さえ忘れ、震えを収めていた。
「――サリ!! なぜ、邪魔立てを!!」
サリは嘆息すると、どこからともなく、お得意のララ人形とリリ人形を取り出した。
『ああ、これが青い春。愛しい人に手を出された青年は、怒りに我を忘れて、他人の庭で自殺行為に及んでしまうの。でも、ここはララたちの庭。ここで決闘されたら、ララたち、怒られてしまうのよ』
『世の中は不条理。決闘なんて青い春の悪戯で、リリたちとは関わり合いのないことなのに、怒られるのはリリたちだなんて』
『場所を変えてくれれば、邪魔しないのよ。ララ、他人様の恋路のお邪魔をして、馬に蹴られて死ぬなんて、イヤ』
――えーと。
唇を噛んだシェーンが、サリに侮蔑の視線を向けながらも、元に戻った剣を鞘に収めた。
それを見届けたサリが、静かに、視線をシルクに移した。
「シルク、君は、君を懸けた試合に負けた。エヴァは、君を砂にさらう気でいるようだ。シグルドと私の命運を懸けても、君が私に、その阻止を願うのなら――」
サリの瞳が、ほんの少し寂しげに翳った。
「私は、君の願い通りにしようけれど。もしも、砂の命運を左右する覚悟が君にあるのなら、君自身の意志で、砂の国に赴いて欲しい。――砂の国は、もう半世紀以上も私達の血を待ち望み、私達は裏切り続けている。約束を、呪いとして断つことも、果たすこともしないままに」
「サリ……? 約束って、何……? ぼく、知らないよ。エヴァ、何か理由があって、ああいうことしたの……!?」
一筋縄ではいかない微笑みを見せたサリが、シルクの耳元に囁いた。
「砂に、真実を確かめにお行き。私も、断片しか知らない。砂の地では、メイヴェルが君を守ってくれるだろう。メイヴェルだけが、味方と覚えておいで。その庇護を離れれば、君は砂に呑まれるかもしれない」
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★ 次回予告的な分岐です。
※ いずれかのルートで更新されます。
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【C】 すごい! 何だかヒロイック・サーガっぽくなってきた! 隠された真実を突き止めて、シグルドとカイム・サンドを救うんだ。かっこいい、行くぞ!
⇒ 砂の黄昏編 soir.01 に続きます。
【D】「許さない」真っ青な顔をしたシェーンが割り込んだ。「サリ、君はよくも、シルクの身がどうなるかわからないことを――」
⇒ 砂の夜明け編 aube.01 に続きます。
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