異世界のんびり自由な流浪旅?

霜月雪

文字の大きさ
24 / 178

024

しおりを挟む
 あらためてファングボアの肉を確認すると少ない。
 6人の女性を満たせる肉の量がない。
 結構な量を毎回の食事で使ってきたからな。
 ここはフィアに頼むか。


「フィア。ちょっといいか?」

「なんでしょう」

「肉がない」

「えっ」


 そんなに驚かなくてもいいんじゃないかな。


「少しはあるんだけど全員が食べる量としてはたりないんだよ」

「ヒロの料理食べられないの」


 そんな悲しそうな顔をされても困る。
 みればリュイル達も似たような表情だ。
 

「さすがに無いもので作ることはできないからな。何か食べられる肉でも獲ってきてくれないか」

「あ、そうですね。無ければ獲ってくれば良いですよね。すぐにでも」


 そういってフィアは森の方に飛んでいった。
 フィアって空飛べたんだな。
 そういえば声掛けられたとき浮いていたっけ。


「ヒロ、肉の量が足りないなら私たちはいいからフィアさんに食べてもらっても」

「フィアに全部出したとしても足りないし、何よりリュイル達に食事を頼まれているからな。それに一緒に行動するのならフィアが食べる分は獲ってきてもらわないと俺が困る。俺にはフィアが食べる量の肉を確保できるような戦闘ができるわけではないし、買うとなったらお金がいくらあってもたりない」


 伝説やおとぎ話になるくらいなんだから大丈夫だろ。
 でも、国を殲滅できる力で獲物を獲ってきたらまともな形してないんじゃないか。
 上半身とか下半身ふっ飛ばして残りを持ってこられても困るが。


「すごいですね」

「フィアさんに獲ってきてと言う事ができるのがすごいですわ」

「普通は頼みごとはできない」

「頼んでも断られるのが普通だけど、獲りにいった気持ちが分かる気がするわね」

「私も獲りにいった気持ちはわかる、それだけヒロさんの作った食事をたべたいのよ」


 リュイル、リリィ、アイシェラは頼んだことに驚いていた。
 ラムリアとレスティナはフィアの食事に対する思いがわかるのか獲物を獲りにいった事に納得していた。
 凄い能力を持ってはいるけど接してみるとリュイル達と変わらない女性だからな。
 食事と勢いで結婚してしまうような感じではあるけど、素直というか抜けてるのか。
 巨乳美女が嫁になったことは素直に嬉しいんだよな、本人には言えないけど。
 フィアが戻ってくる前にいつものようにスープを作る。
 肉はフィアに期待して全部つかってしまおう。
 肉と玉ねぎ、人参、ジャガイモを適当な大きさに切って鍋に水、酒入れて煮込む。
 あくを取りながら具に火が通ったところで弱火にしてチューブのおろし生姜と味噌を入れて後はフィアが戻ってくる頃まで弱火にかけとけば良い感じに出来上がっている頃だろう。
 しばらくすると緑色のでっかい鳥の足を両手にそれぞれ持って森から出てくる。


「フォレストバード」


 森から飛んでくるフィアが手に持ってる鳥を見てリュイル達が驚愕している。
 あれほどのでかい鳥2羽持っても空飛べるんだ、すげーな。


「フォレストバードってフィアが獲ってきた緑色の鳥のこと?」

「ええ、大きさでランクが変わるのだけどランクAに近いBかしら、しかも2羽」

「あれだけの大きさですとランクAといわれてもおかしくはありませんね」

「私たちじゃ無理」

「ランクCの時の大きさなら狩れるけどね」

「ランクBは全力で狩れれば良い方でとかAはまず無理ですよ」


 そんなもの獲ってきたのかよ2羽も。
 これならしばらくもつと思うけどさ。


「獲ってきましたわ、これで作れるでしょう」


 目の前に見上げるようなでかい鳥を置かれて食事を作れといわれてもねぇ。
 どうすんだこれ、解体できないよ。 


「なぁ、フィア。これらを解体できるのか?」

「したことないですわね」

「リュイル達に解体を頼んでいいか?」

「私は美味しい食事ができればそれでかまわないわ」


 そうか食事以外は興味なしか。
 この鳥の肉以外の素材がどれだけあるのか分からないがそれを対価に頼む事にしよう。


「リュイル、解体頼んでもいいか?対価は肉以外の素材で」

「いいけど、対価としてはもらいすぎよ。ほとんどというか無傷だし」

「素材の価値が分からないからな、気にしなくていい。フィアも興味なさそうだし」

「それじゃ対価の話はあとでしましょう。みんな解体しましょう」


 フォレストバードはリュイル達によって手際よく解体された。
 リュイル達がもう一羽の解体している間に食事の準備をしよう。
 鳥のしょうが焼きでいいか。
 しょうが焼きのたれに醤油、酒、チューブのおろし生姜を入れてたれの量を増やす。
 生姜が多いほうが好きなので多めに入れる。
 こんど容量の大きいおろし生姜でも買っとくか。
 鳥に火が通りやすいように適当に切り込みを入れておく。
 フライパンで両面をこんがりや焼いてしょうが焼きのたれを入れて煮からめれば出来上がり。
 リュイル達はまだかかりそうだ。
 フィアは我慢できそうだなぁ。
 美女が口をあけて料理を見つめている表情はなんとも。


「フィアとりあえず出来上がったこれ食べてあとは待ってもらえるか?」


 テーブルの端に巨乳を乗せてこちらを見ているフィアの前に作ったばかりのしょうが焼きをだす。
 そういえばこっちで初めて料理したときもリュイル達もそうやってテーブルの上に巨乳のせてこっち見ていたなぁ。


「いいの?」 

「のこりはみんなと一緒だからな」


 フィアは頷き一口食べて目を見開いたから、口に合わなかったと思ったがその後一気に平らげたから大丈夫だろう。
 リュイル達が作業を終わらすまでにしょうが焼きを作ったが量が足りなくて作りまくった。
 しょうが焼きとボア汁は6人には好評だった。
 作った料理は美味しかったけど食事の時間はゆっくりしたい。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...