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 ミランナの部屋を出ても俺を引っ張るフィアに説明をして今は解体倉庫へ向かっている。
 抵抗しようとしても引っ張られるんだもんな。
 両隣から両腕抱えられたら、俺逃げられないじゃん。
 そんな事にならない事を祈ろう。


「リュイル達に言っておく。俺がおっちゃんと話してる間にルティナに説明を頼む、俺が借りている家に関しては鍵をラルフィナさんに預けるから、寝泊りは借りてる家でも自分の家でも好きな方でするように伝えてくれ」

「わかったわ」


 リュイルの返事を聞き解体倉庫に入り受付にいるルティナの所へ。


「ルティナ、先ほど出した魔物の解体をキャンセルしたいんだけど可能か?」

「解体がまだの魔物でしたら可能ですよ」

「そこにおいてある魔物は俺が出したやつだよな?」

「そうですね、ヒロさん以外で魔物を持ち込んだ冒険者はいないので、間違って持ち出すことはないと思います」

「おっちゃんに声掛けて説明してくるから、リュイル達はルティナに話しておいてくれ」

「まかせておいて」


 倉庫の一画で解体しているおっちゃんに近づいていくと、気がついたのかこちらに振り向く。


「兄ちゃんに頼まれた分は終わってるぜ」


 おっちゃんが向けた視線の先には、肉が山積になっていた。


「取りに来ると思って貯蔵の方じゃなく、そこに置いておいたぞ」

「助かる。解体を頼んでおいて悪いんだけど解体をキャンセルしたいんだ」

「解体に手をつけてない物はかまわんが、手をつけちまったものはどうすんだ?」

「それは、全部買取でいい。これからミランナの依頼でしばらく街から離れるんだ」

「ああ、ギルドマスターか、それはまた急な話だな」

「俺も急に頼まれたからな」

「ん、もしかして。騒ぎになったワイヴァーンか?」

「そんな所だ、内緒で頼む」

「わかってるよ。手間も貰っているからな」

「じゃ、魔物は回収していくから」

「無事に戻ってこいよ」


 置いてあった肉を回収しおっちゃんの所からルティナのいる受付に戻る前に、解体を頼むために出した魔物を回収していく。
 その中に混ざって、ブラッドガウルのリーダーがあった。
 やっぱり解体を頼むのを忘れていたか。


「ヒロ、ルティナには説明をしておいたわ」


 回収が終わって受付に行けば、こちらに気がついたリュイルが報告してくれる。


「ありがとう」

「ヒロさん。話は聞きました。無事に戻ってきてくださいね」

「もちろん、戻ってくるよ。ルティナ、いってくる」

「お気をつけて」


 ルティナに見送ってもらい冒険者ギルドを出てリエッタさんの所へ。


「リュイル達はメリアの所はどうするんだ?」


 向かっている途中で思い出しリュイル達に尋ねる。
 街からしばらく離れるのだし、ほぼ毎日メリアの通っているんだから話をしておくべきだろう。


「街から依頼で離れる事は伝えておくべきよね」

「それならば、二手に分かれましょう。私達はメリアの所へ行きますので、ヒロさんとフィアさんはリエッタの所へ向かってください。ラルフィナの所で合流しましょう」

「わかった」


 リリィの提案で途中二手に分かれてフィアとリエッタさんの所へ。
 店内には絨毯が並んでいるが、見渡す限り店内には誰も居ない。
 リエッタさんは奥で俺が頼んだ絨毯の作業をしてくれているんだろう。
 しかし、首都に向かう途中で使うために作った小屋を依頼で使うことになるとはね。
 小屋を使うのはまだ先だと思って布団を買ってなかったよ。
 中は板張りだからそのまま寝られないことは無いが、痛いだろうな。
 そのことについては、リエッタさんに相談しよう。


「リエッタさん、いる?」

「その声はヒロくんね~、奥にいるから入ってきて良いわよ~」

  
 店内を通り奥に行くと、リエッタさんが作業している。


「どうしたの~、私に会いたくなって、会いにきてくれたの~」

「そうなら良かったんだけど、冒険者ギルドのギルドマスターから依頼を受けて、これから少し街を離れることになったので、それを伝えに来たんですよ」

「あら~。そうなのね~」

「俺の借りている家はそのままにしておきますので、寝泊りは好きにしてください。鍵はラルフィナさんに預けてあります」

「分かったわ~」

「あと相談なんですけど、布団を7人分、枕を5人分欲しいんですけど手に入らないですか?」

「ちょっと待ってね~」


 作業を中断すると近くの棚から布の束を持ってくる。


「作業を中断させて、すみません」

「気にしなくていいのよ~。枕は5人分でいいの~」

「俺とフィアの枕は持ってますので」

「これは袋になっているから、何か布でもつめて枕代わりに使ってね~」


 リュイル達も着替えあるから、それをつめればってだめじゃん。
 俺の荷物はアイテムボックスに入っているけど、リュイルの荷物は借りている家じゃないか。
 手間になるけど、一度家に行かないと駄目かも。
 ラルフィナさんの所で相談か。


「どうしたの~?」

「なんでもないですよ。袋、ありがとうございます」

「あとは、布団じゃないと駄目なの~?」

「小屋の中で寝るのに使いたいんです」

「あ~、そういう事ね~、付いてきて~」


 ラルフィナさんの後ろを歩いていく。
 ロール状の絨毯が置いてある場所へ案内される。


「たぶん、これとこれ、あとこれが同じ大きさだったはずよ~」

「小屋の中に敷く絨毯ですか?」

「そうよ~、3枚あればそれなりの厚みになるし寝ても痛くならないわよ~。絨毯の大きさは小屋の中より、小さいけど、みんなヒロくんに抱きついて寝れば大丈夫よね~」


 いや、抱きつかれると振りほどけないんだよな。
 その時は諦めよう。
 リエッタさんに指示された絨毯をアイテムボックスへ。


「ありがとう、リエッタさん助かります。それで絨毯と袋の代金はいくらですか?」

「代金は大丈夫よ~。ヒロくんには食事やお風呂でお世話になっているからね~」

「食事の対価は、リエッタさんのミルクを貰ってますし、風呂でもエッタさんには堪能させてもらってますから。絨毯の素材にお金が掛かっていますよね」

「そこまでいうなら、これだけでいいわよ~」


 リエッタさんの事だから、たぶん売っている値段より安い金額だろうな。
 絨毯1枚の値段ってことにして3枚分と袋代を渡せば問題ないよな。
 フィアのおかげで金銭には余裕あるかし、親密な相手には還元しよう。
 アイテムボックからお金を取り出したところで、リエッタさんに頭を抱きよせられた。
 服の上からでも分かるくらいリエッタさんのおっぱいは大きくて柔らかく心地いい。


「ヒロくん、怪我をしないで戻ってきてね~」

「うん、リエッタさんありがとう、無事に戻ってくるよ」


 リエッタさんを抱きしめ、少しの間抱き合って離れる。


「これ、絨毯の代金ね。リエッタさん行ってくるよ」


 次はラルフィナさんの店だな。
 少し時間が掛かったからリュイル達は、店についてラルフィナさんに事の説明をしているかもしれないな。
 店に着き扉を開けるとドアベルが鳴り響く。
 店内をみると、すでにリュイル達が来ていてラルフィナさんと話をしている。


「ヒロさん、遅かったですね」


 店内に入るとレスティナが話しかけてくる。


「リエッタさんの所でちょっと買い物をしてた。ラルフィナさんの所にはいつ頃ついた?」

「わりと時間経ってますよ」

「早かったんだな」

「私達はメリアに依頼でしばらく来れないって簡単に伝えるだけですしね。そろそろ、リュイルとリリィの説明も終わりそうですね」


 レスティナが店のカウンターに視線を向けたので、そちらを見るとラルフィナさんと視線が合い手を振ってきたので振り替す。


「なら、ラルフィナさんの説明は2人任せよう。ラルフィナさんに説明が終わって家の鍵を渡したら、草原に向かう予定でいたんだけど、家の方に戻らなくて大丈夫か?」

「大丈夫ですよ」

「ラムリアとアイシェラはどうなんだ?」

「私も特には」

「私は一度戻りたい。家に荷物があるから、このまま行けない」

「「あっ!」」


 レスティナとラムリアはアイシェラの言葉で気がついたな。
 このまま行ったとしてもどうにかなるとは思うけど、荷物はあったほうが良い。
 個人で必要な物と、冒険者として必要な物が纏めてあるだろうし。


「ヒロ、話は終わったわよ」

「わかった、説明してくれて助かったよ」

「私達のほうが先にお店の方に着きましたからね」

「レスティナ、ラムリア、アイシェラと話したんだが家の方に一度、戻る事にした」

「すぐに向かうのでは?」

「どうしてでしょうか?」

「今日は依頼を受けるつもりは無かったから必要な荷物を持ってないよな」

「そうだけど、ヒロがいるなら何とかなるんじゃない?」


 あてにされてる?
 リュイル達の服や下着も何とかならないわけではないが。


「そうかもしれないが、着替えとか必要な物とかがあるんじゃないのか?」

「着替えは無くても問題ありませんが、他の荷物はあったほうがいいかもしれませんね」

「着替えが無くても良いんだ」

「ヒロさんとフィアさんがいるから出来る事なんですよ」

「そうなんだ。家の鍵を渡すから先に戻ってくれ。俺はラルフィナさんに話があるから」


 アイテムボックスから鍵を取り出しリリィに渡すとリュイル達は店から出て行く。


「ヒロくん、話ってなにかな~?」

「ラルフィナさん、今日は店閉めてもらって良いですか?」

「わかったわ~、お店閉めて一緒に家に行くのね~」

「助かります」

「良いのよ~。私がお店にいたら戻ってこなくちゃならないもの、ちょっと待ってね~」


 店の奥に行って何かを持って来た。
 あ、店の鍵か。


「そうだ、店を途中で閉める事になったから、そのっ」


 言葉を遮るようにラルフィナさんが頭を抱えるように抱きついてくる。


「そんな事は気にしなくて良いのよ~。ヒロくんは色々してもらっているからね~」


 やっぱり、ラルフィナさんの大きなおっぱいは柔らかくて心地よく良い匂いがする。
 なんか安心するし最高だ。
 ラルフィナさんに抱きつくと、頭をなでてくれた。


「怪我しないで帰ってくるのよ~」


 その言葉に、抱きつく力を強めおっぱいの中で頷いた。


「もちろん、フィアちゃんもよ~」

「わかっているわ」

「それじゃ~、帰りましょ~」


 お店の戸締りを確認した後、ラルフィナさんは俺の腕を抱えて歩き出す。


「こんな時間に一緒に歩くのもいいわね~」

「ラルフィナさんにはお店休んでもらう事になってしまいますけど、依頼から戻ってきたら、ゆっくり一緒に街を歩きましょう」

「いいわよ~、楽しみね~。フィアちゃんも一緒にいきましょうね~」


 楽しく話すラルフィナさんと一緒に借りている家に戻れば、リュイル達は準備を終えて玄関の入り口で待っていた。


「私達の準備は終わってすぐに出られるけど、ヒロは何かある?」

「リュイル達は枕を持ってきてるか?」

「ヒロ、枕は荷物になるから持って行かないわよ」


 そうだ、移動もあるから荷物は出来るだけ少なく必要な物だけにしてるんだっけ。


「すまない、リュイル達の荷物は全部俺が預かるよ、そのほうが移動速度もあがるよな?」

「そうでした、ヒロさんにはアイテムボックスがありましたね」

「うん、荷物が無ければ少しは早くなる」

「助かるわ」

「お願い」

「みんなの荷物を入れてる間に、枕を持ってきてくれないか」


 リュイル達が部屋に取りに行っている間に、それぞれの荷物をアイテムボックへしまいこむ。
 後から持ってきた枕も同様にしまいこむ。


「持ち運ぶ荷物は無いから今から出れば、日が完全に暮れる前には着くかしら」

「ヒロの歩く速度にあわせても大丈夫だと思う」

「アイシェラが言うなら問題ないわね」

「ヒロ、良いかしら?」

「出発するのは良いんだけど、アイシェラに聞きたい」

「なに?」

「俺のことは気にせず、リュイル達のペースで移動したら草原に着くのは早まる?」

「それはなる」


 家に戻って来たんだから、今日だけでもラルフィナさん、ルーミア、ルティナ、リエッタさん、エルメリアの夕食は用意してあげたい。
 移動に関してなら、フィアにお願いすれば飛んでいけるし追いつくことは可能だよな。


「俺のことは気にせず、リュイル達は先に草原に向かってくれ」

「でもそれじゃ」

「俺とフィアの移動なら問題ない。俺がフィアに抱きつくことになるけど歩くよりははるかに早いから」

「私はヒロが良ければ、かまわないわよ」

「森に魔物を狩りに行った時にその方法で移動していましたね」

「わかったわ、草原の入り口辺りで合流しましょう」

「ヒロさん、鍵をお返ししておきますね」


 リリィから鍵を受け取るとリュイル達は草原へ向かう。
 フィア頼みの移動があるとは言えそんなにゆっくりもしていられない。
 急いで事を済ませよう。


「ヒロ、何かすることでもあるのかしら?」

「家に戻ってきたから、ラルフィナさん達に夕食を用意しておこうかと」

「そんな余裕あるの?」

「これから作るわけじゃないから大丈夫だ」


 用意しておく場所はいつも食事している絨毯の敷いた部屋で良いだろう。
 部屋に移動しアイテムボックスから作り置きしてある料理を出しテーブルに並べる。
 スキルを起動し夕食と朝食の食パンとワインのセットを購入しテーブルに。


「ラルフィナさん、今日の夕食と明日の朝食の分は用意しました。明日の朝にスープを食べる時にはキッチンで温めてください」

「ヒロくん、ありがと~。嬉しいわ~」

「それと、エルメリアとルーミアは受付で他の職員と一緒に仕事している事もあって、依頼で街を空けることを説明していないのでお願いします」

「ちゃんと伝えておくわよ~」

「この家の鍵です」

「気をつけて、無理しちゃ駄目よ~。いってらっしゃい」


 ラルフィナさんは鍵を受け取ると、笑顔を向けてくれる。


「いてってきます、ラルフィナさん」


 こっちに来て笑顔で送り出してくれる相手が出来るとは思わなかったな。
 ラルフィナさんにリエッタさん、共におっぱいが大きくて魅力的だし嬉しいね。
 街の外に向かって歩いているのだがフィアの様子が微妙だ。


「どうしたんだ?」

「ワイン、置いてきたわね」


 置いてきたワインを気にしてるのか。
 このままの機嫌で飛んで移動は危険な気がする。


「今日の夕食にワインだすよ」

「3本は欲しいわ」

「わかったよ」

「なら良いわ」


 これで移動は大丈夫だよな。
 フィアの前で酒を扱うときには気をつけよう。

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