眠れる夏のスノーフレーク

 人口四千二百人の瀬戸内の小島、生徒数四十七人の高校に通う秋庭光晴(あきばみつは)は、二年生の春、ジェットフォイルを降り立った不思議な女性が気になり、その後をつける。
 女性は多賀岬の果てにある廃病院へ向かうが、そこで会ったのは学校医の相楽瞬英(さがらしゅんえい)だった。相楽はハイバネーションクーリングシステム‐低温下における人間の人工冬眠を研究していた。女性はその被験者で片丘夏雪(かたおかなゆき)、二十六歳。それから成り行きで相楽の研究を補助するようになった光晴。半年ごとのクーリングを行う彼女の二度目の中途覚醒の日に物語は始まる。
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