97 / 101
97 愛は偉大ナリ
しおりを挟む
現在、人間領は空前の開発ラッシュに沸いています。
これまでは魔族相手に無駄に浪費されていた、人材、労力、資材および資本の全てが、回れ右をして自国へと向かったためです。
魔王様の睨みが効いており、各国ともに詰まらない紛争を起こすこともなく、周囲に気兼ねせずに、開発に勤しめる環境を手に入れました。
おかげで皆、忙しくも充実した時間を過ごしているようです。
一方の魔族領でも大きな祝い事がありました。
国を挙げての結婚式が行われたのです。
新郎は料理長、新婦は宮原百合さん、カレープロジェクトを通じて、互いの距離を縮めた二人は、ついに種族の壁を越えて晴れてゴールイン。
とってもお目出度い。
しかし私こと沢良宜花蓮には一抹の不安がありました。それは二人の体のサイズの違いです。ちょっと下品な話ですが、果たしてあの巨漢のムキムキ野郎の求愛行動に、華奢な宮原さんの細身が耐えられるのであろうか? 冗談抜きで死んじゃうんじゃなかろうかと、本気で心配になりました。でもどうやらそんな心配は杞憂であったらしい。まだまだお子様な私は、愛のチカラというモノを舐めていたようです。
愛ゆえに料理長の人化が第二段階に進化しました。
ゴリゴリだったのが、スリムなイケメンにメタモルフォーゼしやがった! 細マッチョと言う奴だ。顔なんて牛頭からどこの二枚目俳優だよ、って位に変わりました。
これには何ものにも動じることのなかった、魔王様や宰相のブラストさんもビックリ仰天。ブルタス先生なんて魔族の新たな可能性を知って大興奮、そのまま新婚家庭に居座って研究しそうな勢いである。もちろん、そんな無粋な真似はさせませんけどね。
結婚式は魔王城にて行われ、何故だか私が神父さん役をするハメに……、縁結びの女神さまだからだそうです。
お歴々の前にて、着飾った二人に永遠の愛を誓わせて、ブチューと口づけをさせて、指輪交換ならぬ腕輪交換をさせました。魔族領ではこれが一般的なんだそうです。腕輪は工房長渾身の作です。花々をあしらった技巧の極致を施された細工は、誰が見てもウットリな溜息もの。なんだかんだでちゃんとお祝いするんですよね、彼って。いいですね、男の友情は。すぐ妬み嫉みに転化する女子とは違いますから。
その後は、城下町をパレードにて練り歩き、大勢の祝福を一身に浴びて、大披露宴という地獄に突入しました。まさかの七日七晩ぶっ続け! 魔族の体力を忘れていましたね。新郎はともかく新婦は勇者組の一員とはいえ、所詮は一般人に少々能力が加味されただけの異世界人、とてもではありませんが付き合いきれませんので、適度に宴を中座させて休ませましたとも。
披露宴では二人の馴れ初めとなったカレー料理も振舞われ、これが大評判となり、以後は魔族領全土に普及していくことになります。
披露宴会場だけでなく、魔王城、城下町をも巻き込んでの盛大なお祭りに発展した結婚式。
その雰囲気に流されて、いったいどれだけのカップルが夜のしじまへと消え、挙句に結婚へと踏み切ったことでしょう。おかげさまで、近年稀にみる結婚ラッシュが続き、ひいては出産ラッシュへと続いて、魔族領の人口はグンと増えました。
魔族の方って強力な個体ゆえに、出生率はちょっと低くて、人口が緩やかに下降傾向にあったらしいのですが、それが一挙に解決したと魔王様も大喜びでした。
宰相さまのお話では、人口ピラミッドの歪みは国の衰退に直結するんだそうです。適度な人口増加こそが、国家運営の根幹といっても過言ではないそうです。
揺り籠から墓場まで考えなければならないだなんて、偉い人って本当に大変ですね。
これまでは魔族相手に無駄に浪費されていた、人材、労力、資材および資本の全てが、回れ右をして自国へと向かったためです。
魔王様の睨みが効いており、各国ともに詰まらない紛争を起こすこともなく、周囲に気兼ねせずに、開発に勤しめる環境を手に入れました。
おかげで皆、忙しくも充実した時間を過ごしているようです。
一方の魔族領でも大きな祝い事がありました。
国を挙げての結婚式が行われたのです。
新郎は料理長、新婦は宮原百合さん、カレープロジェクトを通じて、互いの距離を縮めた二人は、ついに種族の壁を越えて晴れてゴールイン。
とってもお目出度い。
しかし私こと沢良宜花蓮には一抹の不安がありました。それは二人の体のサイズの違いです。ちょっと下品な話ですが、果たしてあの巨漢のムキムキ野郎の求愛行動に、華奢な宮原さんの細身が耐えられるのであろうか? 冗談抜きで死んじゃうんじゃなかろうかと、本気で心配になりました。でもどうやらそんな心配は杞憂であったらしい。まだまだお子様な私は、愛のチカラというモノを舐めていたようです。
愛ゆえに料理長の人化が第二段階に進化しました。
ゴリゴリだったのが、スリムなイケメンにメタモルフォーゼしやがった! 細マッチョと言う奴だ。顔なんて牛頭からどこの二枚目俳優だよ、って位に変わりました。
これには何ものにも動じることのなかった、魔王様や宰相のブラストさんもビックリ仰天。ブルタス先生なんて魔族の新たな可能性を知って大興奮、そのまま新婚家庭に居座って研究しそうな勢いである。もちろん、そんな無粋な真似はさせませんけどね。
結婚式は魔王城にて行われ、何故だか私が神父さん役をするハメに……、縁結びの女神さまだからだそうです。
お歴々の前にて、着飾った二人に永遠の愛を誓わせて、ブチューと口づけをさせて、指輪交換ならぬ腕輪交換をさせました。魔族領ではこれが一般的なんだそうです。腕輪は工房長渾身の作です。花々をあしらった技巧の極致を施された細工は、誰が見てもウットリな溜息もの。なんだかんだでちゃんとお祝いするんですよね、彼って。いいですね、男の友情は。すぐ妬み嫉みに転化する女子とは違いますから。
その後は、城下町をパレードにて練り歩き、大勢の祝福を一身に浴びて、大披露宴という地獄に突入しました。まさかの七日七晩ぶっ続け! 魔族の体力を忘れていましたね。新郎はともかく新婦は勇者組の一員とはいえ、所詮は一般人に少々能力が加味されただけの異世界人、とてもではありませんが付き合いきれませんので、適度に宴を中座させて休ませましたとも。
披露宴では二人の馴れ初めとなったカレー料理も振舞われ、これが大評判となり、以後は魔族領全土に普及していくことになります。
披露宴会場だけでなく、魔王城、城下町をも巻き込んでの盛大なお祭りに発展した結婚式。
その雰囲気に流されて、いったいどれだけのカップルが夜のしじまへと消え、挙句に結婚へと踏み切ったことでしょう。おかげさまで、近年稀にみる結婚ラッシュが続き、ひいては出産ラッシュへと続いて、魔族領の人口はグンと増えました。
魔族の方って強力な個体ゆえに、出生率はちょっと低くて、人口が緩やかに下降傾向にあったらしいのですが、それが一挙に解決したと魔王様も大喜びでした。
宰相さまのお話では、人口ピラミッドの歪みは国の衰退に直結するんだそうです。適度な人口増加こそが、国家運営の根幹といっても過言ではないそうです。
揺り籠から墓場まで考えなければならないだなんて、偉い人って本当に大変ですね。
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
1,640
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる