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フランツ兄様とチーズケーキを食べようと思ったけど、そう簡単に食べられるわけでもなかった。何故だか殿下が爽やかに現れたのである。
「リィ、おやつの時間だね」
何故だか両腕がこちらに伸びてくる。
「膝に座るのだろう?」
当たり前のように聞いてくる。そんな訳がない。
「普通に椅子に座ります」
きちんと言っておく。
「マリは外ではきちんとしていますので」
家でもきちんとしてる。フランツ兄様、余計なことを言わないように。
「あー、これ、新作ですよね。いっすねー」
明るくアレンが言う。彼は近衛騎士で殿下専属だ。だから殿下とセットである。当然、アレンも食べるであろう。出さないとうるさい。
昨日は色々大変だったのに、今日は比較的平和な感じだ。でもきっとそんなわけないよね。おそらく私に気を遣って平和に見せかけてるんだろうな。そう思うと心苦しくなってくる。
「ほら、リィ」
殿下に呼ばれて振り返ったら、私は何故だか殿下の膝の上に横向きで座らされていた。は?なんで?頭の中が真っ白になる。
「うん、いいね」
満足そうな殿下。私は顔が真っ赤になったと思う。
「で、殿下」
「殿下じゃないよね」
至近距離で見る殿下の顔は少し怒っている。
「ル、ルー様」
「うん、なぁに?」
ご機嫌な様子で聞き返された。
「ひ、膝の上は恐れ多く・・・」
「何言ってるの?これからはこれが通常だよ」
こっちこそ、何言ってるのと問いたい。が、ご機嫌な殿下に逆らえず。
「仕事は色々あるから、リィと一緒にいられる時は密度の濃い時間を過ごさないとね」
諦めて兄様を見ると、苦々しい顔をしているだけだった。そんな中、アレンは
「このケーキ?あんまり甘くなくておいしーよね。やっぱりマリアンヌ様ってすっごいよね」
と、能天気につぶやいているのだった。
「早く色々なことが解決するといいですね」
諦めて私は殿下の膝の上でつぶやいた。それを聞いた殿下も真面目な顔になる。
「今、急ピッチで調査している最中だ。もうじき元の生活に戻るよ」
それは私を安心させようとした言葉かもしれない。でもそう言ってくれたことで、私は安心した。
「リィは心配性だな。深刻に考えなくていいのに考えすぎる」
え?そうですか?
「マリは真面目なんです」
フランツ兄様がフォークに刺さったケーキを口に入れると、ムッとした様子で言い返した。
「我が家は真面目の家系ですから」
長男は牛丼の歌を自作して歌うけど。でも総じて真面目な家系だと思う。
「真面目が悪いとは言わない。でも少し緩く捉えないと王族はやっていけないから」
確かにそれもあるだろう。国と言う大きな単位で考えたら、面倒ごとはいつでも起こっているものだろうし。
「当面は昨日みたいに魔物が突然出てこなければいい」
確かに昨日はびっくりした。魔物が出てきて、それをやっつけたらスティラート公爵と使用人だった人たちに変身したとか。
「そんなことより、リィ、俺にケーキを食べさせてくれないかなぁ」
は?なんでそんな?罰ゲーム?
「ほら、アーン」
殿下が口を開けて待っている。膝の上に座らされただけでも苦痛なのに、これ以上の苦痛を与えるのか。でも大人しく従う。殿下の口の中にケーキを差し入れる。
「ん、美味しい」
殿下が嬉しそうに笑っている。その横でフランツ兄様が恐ろしい顔をして睨みつけているのを私はぼんやり見ていたのだった。
「リィ、おやつの時間だね」
何故だか両腕がこちらに伸びてくる。
「膝に座るのだろう?」
当たり前のように聞いてくる。そんな訳がない。
「普通に椅子に座ります」
きちんと言っておく。
「マリは外ではきちんとしていますので」
家でもきちんとしてる。フランツ兄様、余計なことを言わないように。
「あー、これ、新作ですよね。いっすねー」
明るくアレンが言う。彼は近衛騎士で殿下専属だ。だから殿下とセットである。当然、アレンも食べるであろう。出さないとうるさい。
昨日は色々大変だったのに、今日は比較的平和な感じだ。でもきっとそんなわけないよね。おそらく私に気を遣って平和に見せかけてるんだろうな。そう思うと心苦しくなってくる。
「ほら、リィ」
殿下に呼ばれて振り返ったら、私は何故だか殿下の膝の上に横向きで座らされていた。は?なんで?頭の中が真っ白になる。
「うん、いいね」
満足そうな殿下。私は顔が真っ赤になったと思う。
「で、殿下」
「殿下じゃないよね」
至近距離で見る殿下の顔は少し怒っている。
「ル、ルー様」
「うん、なぁに?」
ご機嫌な様子で聞き返された。
「ひ、膝の上は恐れ多く・・・」
「何言ってるの?これからはこれが通常だよ」
こっちこそ、何言ってるのと問いたい。が、ご機嫌な殿下に逆らえず。
「仕事は色々あるから、リィと一緒にいられる時は密度の濃い時間を過ごさないとね」
諦めて兄様を見ると、苦々しい顔をしているだけだった。そんな中、アレンは
「このケーキ?あんまり甘くなくておいしーよね。やっぱりマリアンヌ様ってすっごいよね」
と、能天気につぶやいているのだった。
「早く色々なことが解決するといいですね」
諦めて私は殿下の膝の上でつぶやいた。それを聞いた殿下も真面目な顔になる。
「今、急ピッチで調査している最中だ。もうじき元の生活に戻るよ」
それは私を安心させようとした言葉かもしれない。でもそう言ってくれたことで、私は安心した。
「リィは心配性だな。深刻に考えなくていいのに考えすぎる」
え?そうですか?
「マリは真面目なんです」
フランツ兄様がフォークに刺さったケーキを口に入れると、ムッとした様子で言い返した。
「我が家は真面目の家系ですから」
長男は牛丼の歌を自作して歌うけど。でも総じて真面目な家系だと思う。
「真面目が悪いとは言わない。でも少し緩く捉えないと王族はやっていけないから」
確かにそれもあるだろう。国と言う大きな単位で考えたら、面倒ごとはいつでも起こっているものだろうし。
「当面は昨日みたいに魔物が突然出てこなければいい」
確かに昨日はびっくりした。魔物が出てきて、それをやっつけたらスティラート公爵と使用人だった人たちに変身したとか。
「そんなことより、リィ、俺にケーキを食べさせてくれないかなぁ」
は?なんでそんな?罰ゲーム?
「ほら、アーン」
殿下が口を開けて待っている。膝の上に座らされただけでも苦痛なのに、これ以上の苦痛を与えるのか。でも大人しく従う。殿下の口の中にケーキを差し入れる。
「ん、美味しい」
殿下が嬉しそうに笑っている。その横でフランツ兄様が恐ろしい顔をして睨みつけているのを私はぼんやり見ていたのだった。
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