Hold on me〜あなたがいれば

紅 華月

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番外編 本部長霧山悠斗の恋

楽しい思い出を『切り取ろう』

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「…。いいなぁ~…」

ほのかは誰もいないリビングで1人、頬杖をつきながら悩ましげに漏らす。その手にあるのは1枚の写真。

「…。すごく綺麗だったなぁ…美優さん。」

写真の中央に収まる美優は言葉で表現するには難しい程に美しく、幸せな暮らしを具現化されたかのように微笑んでいる。

写真はこの“集合写真”1枚だけではない。場の楽しい雰囲気を切り取るかのように、何枚もの写真が撮られ…中の皆1人1人が笑顔で写っていた。そんな中でも霧山はどこまでも『いつもの霧山』を貫いているのがまた笑える。

実はこの先頃、若頭清水と美優の挙式披露宴が行われたのだ。とはいえ形式ばった堅苦しい事を嫌う清水らしく内輪のみの簡素なもの。

清水が霧山をプライベートでわざわざ訪ねて来たのも、この準備や手配を手伝って欲しいというものだった。

『お前はこういう事には普段から慣れてるし…“得意”だろ。』

理由を聞かれた清水は、そう言って何故かニヤニヤと笑っていた。霧山は『何か裏がありそうで怖ぇな。』と後になって言っていたが…結局のところ引き受け、この日に向けた準備は滞りなく済んだのだった。

『ほのかも来い。…こういう場には少しは触れて慣れておかねぇと、極道の嫁(おんな)は務まらねぇぜ。そこに歳なんか関係ねぇ。』

そのひと言でほのかも隅に加わり、ひっそりと一部始終を見守った。

“あの女、誰だ?”と興味ある視線を四方八方から浴びながらも、式は粛々と時には穏やかに進み…酒宴となった頃になって乱入して来た清水の知り合いや『外人』にビックリしながらも、ほのかはヤクザ組織の集団とは思えないホッコリと和む温かさを感じて楽しかったのを思い出す。

「…会長さんだって優しいし、他の皆もすごく良い人そうだった…口調はおっかないけど。」

口を開けば『てめぇ』やら『あァ?!』やら不穏な事すら平気で言う彼らだが、顔には素の笑みがあり親しみを持てた。…彼女が『楽しかった』と思えるのもそれが大半を占めるだろう。

…そして現在。式の翌日から休暇を取り期間限定の『音信不通』になってしまった若頭に代わって、霧山がその代理をする事になり昨日から帰りが遅い。正直言ってほのかはつまらない。

「…。お洗濯しよっと。」

写真を手に器用にピョン!と立ち上がった霧山さんちのお嫁さんは、トコトコとやって来た洗濯機の前に立って次々と2人分の洗濯物を放り込む。

「まぁ…こういう事してるのも楽しいんだけどねぇ~♪」

霧山と付き合う前までは家事の一切を知らず、洗濯の洗剤は食器用洗剤と同じ物なのだと盛大な勘違いをし、ご飯を作れば致命的破壊力を誇る謎な物を作り上げる始末。

…今こうしてまともに家事をこなせるようになったのも、偏に霧山の根気強い努力と堪忍袋の大きさの賜物なのである。

「ンー…夕飯、何にしようかな。…あ、お魚にしよ!悠斗さん、頭使って大変だろうから…お魚には『DH“C”』が豊富だもんねー♪」

…ほのかよ、惜しいが違う。『DHC』ではなく『DH“A”』だ。前者は健康食品メーカーの名前ではないか。

けれどそんな事に全く気付く事なく、彼女は鼻歌を歌いながらいそいそと買い物へと出掛けて行く。…誰もツッコんではくれない独り言とは何とも末恐ろしいものだ。

こんな毎日なのだから日常の時が経つのは早く、休みも設けて音信不通だった若頭があっという間に戻って来た。ゴネる事なくすんなりと仕事に戻った清水に、霧山としては助かったと思う反面で僅か拍子抜けだ。

何やかんやありながらも、清水は会には不可欠な存在であり頼れる若頭なのだ。

事務所内には珍しく若衆頭の小田切を始めとする若衆らが全員出払い、会長と若頭そして霧山の首脳陣しかいなかった。そのタイミングを待っていたかのように、清水が霧山に声を掛ける。

「…なぁキリ。お前よ…ほのかとはいつ、籍入れたんだ?」

「何ですか急に。…年明けてちょっとしてからですよ。それが何か?」

「…。て事は…あの騒ぎの頃ってか。…ったく、大バカ野郎だなてめぇは。」

「…喧嘩相手が欲しいんなら他を当たって下さい。今忙しくて貴方に構ってるヒマないんです。」

その言葉通り、霧山の手がカタカタとパソコンのキーボードを弾く。だが清水は構う事なく畳み掛ける。…その視線は真っ直ぐに霧山を睨め付け捉えていた。

「聞けや人の話を。…キリ、てめぇはそれで良いかもしらねぇけどよ…ほのかはどうなんだ。まだ18のうら若ぇ女が、惚れた男と結婚したってのに式もしねぇ、思い出すらねぇってのは…酷なんじゃねぇか?」

「……、…」

「確かに男の立場からすりゃ面倒だぜ、オレだってそう思ったさ。けど…美優を思ったら、ンなんじゃ良くねぇって思ってよ。しかもミハエルのジジイとエネッツァが先んじて騒ぎ出しちまったからな。写りたくもねぇ写真まで撮ったのも『思い出』の為だ。」

「……。」

「ンな40や50のおっさんおばちゃんでもあるまいしよ、ほのかに花嫁衣装着せてやれや。…惚れ直すぜ?」

せっかくの良い話も最後の最後で下世話な方向にオチた事で、霧山の顔にげんなりとした表情が浮かぶ。それらを黙って聞いていた会長の笛木がプ!と噴き出す。

「はは!という事は清水…この前の式の時、惚れ直したんですか?美優さんに。」

「当たり前じゃないすか。経験者は語るってヤツす。」

「まぁ確かに、あの日の美優さんは綺麗でしたねぇ。惚れた男の為に着る花嫁衣装というものは、底知れぬ美しさがあります。…霧山、清水の言う事も一理ですよ。敢えて言いはしませんでしたが…やはり人の節目、皆に祝ってもらってこそだと思いますよ?」

「……っ…」

「時期が時期だっただけに、控えたお前の気持ちも良くわかる。ですが…」

「…。本部長という籍は、なかなか気の抜けない肩書きなんです。事が起きてからじゃ遅い…そんな『ヒマ』なんか、ありませんよ…」

「「……、…」」

まるで突き放すような事を言って僅か下がった眼鏡の位置を直すように持ち上げ撫で透かした霧山だったが…本当の意味で拭いたかったのは、惚れた女の為に気の利いた事など何もしてやれない自らの『情けなさ』だった。

そんな霧山はその夜、いつもならば真っ直ぐとマンションへと向ける足を違う方へと向けた。…『帰りは遅くなる。先に寝てろ。』…そうほのかにメールをして。

向かったのは会の馴染みである『モナムール』。車を置いてある駐車場に立ち寄る事なく事務所から歩いて来た彼は、入口を開け階段を下りて行く。

「いらっしゃいませ…あらキリさん。」

「こんばんは、ママ。」

「どうなさったの?…お1人?」

「…はい。ちょっと…考えたい事がありまして。」

「あらやだ。新婚さんが何を考えたいのっ。…どうぞ。」

僅か浮かぬ顔の霧山が気になり、ママのみずきは真次の肩をぽぽん!と叩く。…女が話し相手になるより、同じ男の方が話しやすいのではと思ったのだ。

「こんばんは霧山さん。…お疲れなんですか?」

「ある意味では疲れてる。けど考え事もあってな…」

「じゃあその前にお飲み物を…何にします?」

「1番キツいのをくれ…」

「…。珍しいですね…そんな投げやりなオーダー。霧山さんらしくないですよ?」

「クッ…俺らしいって何だ?真次。…って、ンな事言ってもしゃあねぇよな…」

「あらあら。すっかりヤサグレちゃってるじゃない。…本当にどうしたの?会で何かあった?」

ママの問いに答えるでもなく、真次が差し出したスピリッツのロックを数口一気に飲み干す。ほのかに若頭が1番の酒豪だと豪語した彼ではあるが、寧ろ霧山自身も負けず劣らずの酒豪の1人だ。

しかもスピリッツは彼にとっては飲み慣れた物で、会の酒宴の席では決まって若頭とこのスピリッツで『ショットガン』形式で競うのが恒例名物行事になっている程。

心情を読んで加味し選んだ上で希望にも応える真次は、バーテンダーの鑑と言えよう。

「…。ママ…女ってのは、やっぱ思い出とか欲しいモンなんですかね?」

「えぇ?いきなり聞かれちゃうとちょっとビックリしちゃうけど…まぁ、大概の人は欲しいんじゃない?思い出。」

「でも…人によりけりでしょう?思い出があったからって、人間暮らせませんから。」

「やぁね、真次ったら。夢がないわよ『夢』が。」

「…。アイツも…そんな風にアッサリした考えだと良いんだけどなぁ…」

「ん?…アイツって、もしかしてほのかちゃんの事?あらあら♪何かサプライズを計画中?」

「……。」

「ちょっとっ、何で黙っちゃうのキリさん!」

ここで霧山は、昼間に会長と清水から言われた事を2人にも話し聞かせた。やっと物憂げな様子の彼の『内』を知りなるほどと頷く。

「まぁキリさんの様々な考慮と心遣いもわかるし…だけど、しーくんの言う事もわかるわ。申し訳ないけれど。」

「……。」

「清水圭介は本当、変わったわ。昔の彼はこんな風に他人の事なんて考えてあげられなかったもの。彼をより頼れる人にしてくれたのは、やっぱり美優さんよねっ。…彼女の存在はとても大きいわ。」

「…どういう、事ですか…」

「考えてもみて?あの若頭が『思い出』なんて綺麗事、言う訳ないじゃない。…たぶんね、美優さんが『心配』したんだと思うのよ。ほのかちゃんにも会って、話もして…その場で聞いていた会話からお式の話題が出てこなかったから、しーくんに話したんじゃないかしら。」

「……、…」

「しーくんはね、美優さんにはいつだって笑っていて欲しいの。何の不安や憂いなく…だからあの人は、彼女のそれを取っ払おうと必死になる。…可愛い嫁の笑顔を守る為に。」

「…。俺らが式を挙げていない事は、美優さんにとって『不安と憂い』だと?」

「そうよ?だって彼女の願いは『皆が幸せで笑顔である事。』なんだもの。…喜びも楽しみも、悲しみも辛さも…分かち合ってこそって。」

「……。」

「他人の為に泣ける美優さんはとても強い女(ひと)よ。いつもその人の立場になって考える…だからほのかちゃんがキリさんにさえ言わない事にも気付いて心配してると思うのよ。」

「…思い出は、時に人を感傷に浸らせるし辛いものもあります。けれど『無い』事で、逆に傷となって後々後悔するくらいなら…数少なくても思い出はあるべきなんじゃないですか?」

「そう、ね…今のままじゃ、ほのかちゃんだけじゃなく貴方だって後悔する事になるわ。」

「……、…」

「…キリさん。」

「…。色々、ありがとうございます。ちょっと…考えてみます。」

そんな事があってから数日後…休暇を取っていた霧山に1本の電話が入った。相手は清水からで、今から料亭景雲郷に来いというもの。しかもほのかも共に連れて来いと言う。

訳がさっぱりわからないままに車を走らせ向かうと、玄関先では清水自らが仁王立ちで待ち構えていた。

「おう、遅えぞキリ。」

「…。何なんですかいきなり…しかもコイツまで連れて来いなんて。」

「とにかく付いて来いっ…オラ、早くしろやっ。」

やって来た2人をぞろぞろと連れ、中へと進んで行くと…

「うふふふ♪貴女はこっちよ~、ほのかちゃん♪」

「うわぁ!み、みずきママ?!」

「さ、ほのかさん。こちらですよ♪」

「み、美優さんも?!って、え?…えぇーっ?!」

「ッ!おいっ!ほのか?!」

「…おいコラ、何処行くってんだよ…てめぇはこっちだ。」

「っ?!わ、若頭?!」

すぐ隣にいたはずのほのかが忽然と姿を消してしまい、泡食った霧山が追おうとするも…清水に後ろ首をむんずと掴まれ、そのままズルズルと引き摺られて行く。入った部屋は然程広くない和室だったが…室内にいた人物に目をひん剥く。

「はぁ~い♪キリさんっ。」

「な?!…な、んで翠さんが?」

「キリ。てめぇは今から翠の『着せ替え人形』だ。…つう訳で頼んだぜ翠。」

「は、はぁ?!訳わかりませんよっ…何なんです一体!」

「るさいっ!男が土壇場になってジタバタすんじゃないよ!」

「ッ?!…」

「…宜しい。わかればいいのよ、わかれば…ね。はいっ、じゃあ着てる洋服全部脱いでパンツ一丁になって!」

「はぁ?!」

「…あらやだ。可愛い新妻ちゃんにはハダカを見せれても、私には見せれないと?」

「…。オレは出来る事なら、美優以外の女の前では脱ぎたくねぇがな。」

「誰もアンタに聞いちゃいないわよ!…えぇい、脱がないんなら脱がせるまでよ!」

「言ってる側から引っぺがしてんじゃねぇかっ!てめぇは痴女かっ。」

…そんなスチャラカなやり取りを経て数十分後…霧山は見事に羽織袴を着こなして場に立ち尽くした。紋こそ入ってはいないものの、白地に金銀が織り込まれた羽織とグレーの袴のコントラストが良く、近頃のトレンドだと翠は胸を張る。

「どんなモノよっ、私のコーディネートも中々でしょう?」

「……。」

「いんじゃねぇか。…後は向こう次第だな。」

「…。いったい全体、何なんですか若頭。いきなり呼び出した挙句、こんなモン着せて…」

「てめぇがらしくもなく、ネチネチと考え込んでるみてぇだからこっちで勝手にお膳立てしたんだろうが。」

「式はまぁ…この際仕方ねぇとしてもよ、せめて写真くらいは撮ってやれや。今この瞬間を残しとけるのは『今』しかねぇんだぜ?キリ。」

「ココで写真撮ったら、モナムールを借り切って酒宴だ。店の準備は会長と真次が取り仕切ってる。…あと、勝手だが会の奴らには会長の承諾を得てオレから話した。皆驚いてたぜ?だが喜んでもいた。『もう1人、姐さんが出来るのか!』ってな。」

「…。ありがとう、ございます…若頭。」

「ったく…礼は皆に言えや。元はと言えば、ハナからほのかっつう女が出来た時点で話してりゃ、こんな後になってから小っ恥ずかしい思いしなくて済んだんだぜ?」

「…ソウデスネ。」

「ンだよ…その投げやりなカタコトな返事はよぉ。ほのかに『矯正』してもらえや。」

「アイツは…俺のこういう事には何も言わないヤツなんで。」

「あらら大丈夫よー。その内に嫌でも言われるようになるから♪オホホ。」

「…。てめぇは今からそういう嫌味たらしい性格を速攻で直しやがれっ。」

やがて支度が出来たと呼ばれ、いつも会が借り切る宴会場へ入ると…美優とみずきの困り顔が待っていた。2人の背後、元い『足下』にはほのかと思しき白い固まりが時折モゾモゾと動いている。

「…。何があった?美優。」

「恥ずかしいそうです。…気持ちはよくわかります、私もそうでしたから。」

「だからって…着物着て丸まるとか、よく出来んな。普通出来ねぇだろ。」

「ちょっとっ、そこなの?しーくんったら。」

みずきの華麗なツッコミまでのやり取りを僅か他人事のように聞いていた霧山だが、よくよく考えてみたら自分の“嫁”の事だと気付きスタスタと近寄って行く。

「…。おい…ほのか。」

「…うぅ…えぅ~…」

「…。唸ってねぇでちゃんとしろ。もう隠れ場所なんかねぇんだぞ。…せっかく若頭や美優さん達が用意して下さった場だ。今日の残り1日、便乗して甘える事にする…わかったな?」

霧山の言葉にコックリと頷くほのかではあるものの、一向に立ち上がろうとしない。

「…。わかったんならさっさと立…ッ…」

「?…悠斗さん?な、何?…どっかおかしい?」

「…い、や…何でも、ねぇ…」

その時、霧山は清水が揶揄い半分で言っていた『惚れ直す』の意味を理解した。

若さが為に化粧など普段はしないほのか。霧山によって無理矢理立たされ振り向いたこの時の彼女は、控えめながらにしっかりとしたメイクがなされ、髪型も和装に合うようにと纏められていた。

…いつもと全く違う『大人の女』たるその姿に、意図せず赤面しそうになってしまう。

そんな2人を傍から見ていた清水らだったが、彼は霧山の今の心情が手に取るようにわかるらしく『くっくくく…』と笑いたいのを堪えていた。だがそれも、嫁の可愛らしい手で無遠慮に抓られた事で呆気なく終わった。

「いやーどもども~♪呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」

「…。いや、まだ呼んでねぇし。」

「えー!グットタイミングでしょ~?今の!てか早く呼んでっ、寂しいじゃーん!」

「……。」

「オイ!テンション高過ぎだ馬鹿!」

「あた!ったいなぁ~…すぐ殴るの止めようよ、みっきー。」

「だから!みっきー呼ぶんじゃねぇ!」

「…。なんか見たあるなと思ったら…幹哉の兄貴の方か。」

「うぃす♪いっくーです♪」

「……。お前呼んだの、間違いか?」

「ちょっと!清水さぁーんっ。ひどいぃ~…写真の腕はバッチリだから!」

「わかった…わかったから縋り付くな。後がつっかえてんだよ…早くしろ。」

「はぁ~い…そんじゃ霧山さん!奥さん!撮りますよぉ~♪…あ、フィルム入ってないや。」

郁哉のボケた言葉を受け皆がズッコケる。そして『ふざけんなや!』と清水と幹哉が彼を取り囲み袋叩きにした。

…『やめて!顔はっ…せめてボディにしてぇ!』などという悲鳴は、まるで空気かのように流れていく。

「はぁっ…や、ヤクザ2人に袋叩きとかめっちゃ怖いじゃん!」

「…。おい…どうでも良いから早くしてくれ。」

「ハイハーイ♪…ンー、顔が固いなぁ~。こんな事あったなぁ~みたいな事でも思い出してみて♪」

「「……。…」」

霧山とほのかはその“指令”を受け、互いに顔を見合わせる。…だが僅か後…

「…、…っぶ!」

何かを思ったらしく、霧山が先に噴き出した。

「な、何?!悠斗さんっ。」

「いやっ…初めて逢った時の『東大受験宣言』を思い出した…っくくく…」

「むぅ…だって、本気で思ってたもんっ。」

「あっははは!!」

「おぉ~、イイっすねー♪普段笑わない霧山さんの爆笑!頂きでぇーす♪」

「…。沈むのと轢かれるの、どっちが良いか選べ。…あァ?」

「ゔぅ、霧山さん怖いよぉ~…ハイ!じゃあ今度こそ本当にいきますよー!」

“バシャ!!”

郁哉の頭上でパッと開かれた掌を合図に…カメラが押され、霧山とほのかの微笑と共に夫婦として初めての『思い出』が切り取られる。

その様子を清水や美優、みずきらが微笑ましく…それでいて嬉しそうに見届けたのだった。
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