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Good morning World
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シェリルが目を覚ますと見知らぬ天井がそこにはあった。
隣には寝息をたてているアンナ。
シェリルは動かない。
閉じられたカーテンからは陽の光が透けて見える。
風が吹いているのか葉擦れの音がする。
監獄ってこんなに快適なのかしら。
「・・・あ、お嬢様」
「アンナ、おはよう」
ぼんやりと見つめあい、同時に目を見張った。
「「なんで!?」」
ガバリと起き上がり辺りを見渡す。
寝台の他にはサイドテーブル、ソファセット、クローゼット。
ソファセットのテーブルには畳まれた洋服がある。
アンナは飛び上がり、カーテンを開け外を見て窓を開ける。
気持ちのいい風が部屋の中を満たしていく。
そろりそろりと畳まれた洋服を手にとり広げると簡単な作りのワンピースであった。
足下には踵のない布のくたりとした靴が揃えて置いてある。
「お嬢様にこのような服は・・・」
アンナは眉を下げたが、大丈夫よ、とシェリルはそのワンピースに着替えた。
アンナも同じように着替え、お揃いですね、と笑った。
ゆっくり扉を開け、顔だけ出して部屋の外を見る。
廊下には濃い茶の毛足の短い絨毯が敷いてあり人気はなく静かだった。
2人でそっと部屋を出て右手に歩くと行き止まりだったので、また戻りそのまま進むと階段があった。
それもゆっくりゆっくり降りる。
すると、ふわりといい匂いが漂ってきた。その匂いを追いかけてひとつの扉を開けると、マルティナと名乗った昨日の女がいた。
「ん?おはよう。いやおそようかな?よく寝てたね。お腹すいた?」
とニコニコ笑っていた。
スティン、と一声かけると昨日の神経質そうな眼鏡の男がこちらへどうぞ、と椅子を引いてくれる。
ぎこちなく座るシェリル、その後ろに控えるアンナ。
「アンナも座りな」
マルティナは笑顔を崩さず隣の椅子を指し示す。
アンナが座るとうんうんと満足して
「ばあやー!ごはーん!」
と大声を出した。
「あ、あああの、マルティナ様」
ん?と首を傾げるマルティナ。
「まずはご飯よ。その後になんでも答えてあげる」
そう言うと同時に背の低い老婆がワゴンを押してきた。
スティンと呼ばれた神経質そうな男と婆や?がてきぱきと皿を並べる。
シェリルとアンナの前にはスープと蒸し野菜、ハムが挟まれた丸いパン。
マルティナの前には大きな器がひとつ。
「いただきまーす」
と言ってマルティナは二本の細い棒で器の中の黄色と白のものを器用に食べていく。
思わずじっと見ているシェリル達。
「全部食べないとなんにも答えないよ」
ニヤリと笑うマルティナに、シェリル達は慌てて食べた。
シェリル達の前には紅茶の入ったティーカップ。
マルティナは持ち手のないカップを包むように持ちお茶を飲んでいる。
それが自分たちと同じ紅茶かどうかはシェリル達にはわからない。
「なに聞きたい?」
「・・・ここは監獄ではないのですか?」
「そう見える?」
「いえ・・・」
「じゃぁ、こちらから質問するわね。フレア島で知ってることを教えて?」
シェリルは面食らったがおずおずと知ってることを答える。
「フレア島はミュスカ王国北部に位置する島で別名『監獄要塞』トルーマン公爵が治めていて、起源は6代前の王弟殿下。継承権を放棄し臣籍降下する際にトルーマンを名乗る・・・」
よく出来ました、と小さく拍手するマルティナ。
「表に出てる資料はそれであってるわ。情報が少ないでしょう?あなたが問題なく王妃になっていたらもっと詳しい情報を知り得たわ」
「あなたはトルーマン公爵の」
「そうよ、一人娘。そしてうちは裏王家よ」
シェリルもアンナも瞬きすら出来ずにマルティナを見つめる。
たまんないわねその顔、とマルティナはゲラゲラ笑った。
隣には寝息をたてているアンナ。
シェリルは動かない。
閉じられたカーテンからは陽の光が透けて見える。
風が吹いているのか葉擦れの音がする。
監獄ってこんなに快適なのかしら。
「・・・あ、お嬢様」
「アンナ、おはよう」
ぼんやりと見つめあい、同時に目を見張った。
「「なんで!?」」
ガバリと起き上がり辺りを見渡す。
寝台の他にはサイドテーブル、ソファセット、クローゼット。
ソファセットのテーブルには畳まれた洋服がある。
アンナは飛び上がり、カーテンを開け外を見て窓を開ける。
気持ちのいい風が部屋の中を満たしていく。
そろりそろりと畳まれた洋服を手にとり広げると簡単な作りのワンピースであった。
足下には踵のない布のくたりとした靴が揃えて置いてある。
「お嬢様にこのような服は・・・」
アンナは眉を下げたが、大丈夫よ、とシェリルはそのワンピースに着替えた。
アンナも同じように着替え、お揃いですね、と笑った。
ゆっくり扉を開け、顔だけ出して部屋の外を見る。
廊下には濃い茶の毛足の短い絨毯が敷いてあり人気はなく静かだった。
2人でそっと部屋を出て右手に歩くと行き止まりだったので、また戻りそのまま進むと階段があった。
それもゆっくりゆっくり降りる。
すると、ふわりといい匂いが漂ってきた。その匂いを追いかけてひとつの扉を開けると、マルティナと名乗った昨日の女がいた。
「ん?おはよう。いやおそようかな?よく寝てたね。お腹すいた?」
とニコニコ笑っていた。
スティン、と一声かけると昨日の神経質そうな眼鏡の男がこちらへどうぞ、と椅子を引いてくれる。
ぎこちなく座るシェリル、その後ろに控えるアンナ。
「アンナも座りな」
マルティナは笑顔を崩さず隣の椅子を指し示す。
アンナが座るとうんうんと満足して
「ばあやー!ごはーん!」
と大声を出した。
「あ、あああの、マルティナ様」
ん?と首を傾げるマルティナ。
「まずはご飯よ。その後になんでも答えてあげる」
そう言うと同時に背の低い老婆がワゴンを押してきた。
スティンと呼ばれた神経質そうな男と婆や?がてきぱきと皿を並べる。
シェリルとアンナの前にはスープと蒸し野菜、ハムが挟まれた丸いパン。
マルティナの前には大きな器がひとつ。
「いただきまーす」
と言ってマルティナは二本の細い棒で器の中の黄色と白のものを器用に食べていく。
思わずじっと見ているシェリル達。
「全部食べないとなんにも答えないよ」
ニヤリと笑うマルティナに、シェリル達は慌てて食べた。
シェリル達の前には紅茶の入ったティーカップ。
マルティナは持ち手のないカップを包むように持ちお茶を飲んでいる。
それが自分たちと同じ紅茶かどうかはシェリル達にはわからない。
「なに聞きたい?」
「・・・ここは監獄ではないのですか?」
「そう見える?」
「いえ・・・」
「じゃぁ、こちらから質問するわね。フレア島で知ってることを教えて?」
シェリルは面食らったがおずおずと知ってることを答える。
「フレア島はミュスカ王国北部に位置する島で別名『監獄要塞』トルーマン公爵が治めていて、起源は6代前の王弟殿下。継承権を放棄し臣籍降下する際にトルーマンを名乗る・・・」
よく出来ました、と小さく拍手するマルティナ。
「表に出てる資料はそれであってるわ。情報が少ないでしょう?あなたが問題なく王妃になっていたらもっと詳しい情報を知り得たわ」
「あなたはトルーマン公爵の」
「そうよ、一人娘。そしてうちは裏王家よ」
シェリルもアンナも瞬きすら出来ずにマルティナを見つめる。
たまんないわねその顔、とマルティナはゲラゲラ笑った。
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