2 / 4
ドナドナされてたら人が落ちてた件にいて
しおりを挟む
ガタゴトと揺れる。だんだん森が増えて、確かに辺境だとノヴァは思った。外を見る鏡に写り込んだ顔。ウィッグをつけてはいるが、銀髪にそして赤い瞳。男とは言えまだ14歳と言う若さのせいか成る程姉そっくりである。
因みに有力貴族の長男が不在で大丈夫かと言われれば、姉の事にショックを受け療養中だと言われればわ全然大丈夫らしい。
「僕の存在とは…」
切ない事である。
しかし、辺境と言っても国境にあるバチバチに隣国と遣り合う様な場所ではなく、本当に隅の方にある、穏やかな場所の修道院と聞く。行けば多少はマシだろう。
何せ反省と偽って髪を切りましたのよ!とか適当ぬかして、ウィッグを取り本来の髪の長さに戻せる、この腰をぎゅうぎゅうに締め付けるドレスからもおさらばし、ゆるゆるしたシスター服に着替えられるのだ。それでも女装ではあるのだが。
修道院長も、シュペル家の知り合いで多額の寄付をしている。ノヴァの事は知ってくれている。他の者はそうでは無いが。
とにかくバレないでほとぼりが覚めるまで大人しくする事。それに人生明るく考えようとノヴァはなるべく前向きに考える様に努めた。
あの姉が出てったのだ。僕の人生ここさえ乗り切れたら最高なんじゃないのか?、と
そう彼が思っていた時だった。
「ハイハイッハイヨー!!!」
御者のスミスの叫び声と馬のいななきと共に、馬車が大きく揺れた。目的地はもう手前だと言うのに。
「すみませんお嬢様、少しトラブルが」
スミスが慌てた様子で声をかけてきた。
「大丈夫です、そんなに慌てないで?何かあったら教えて頂けますか?」
なるべく高い声を出そうと努める。姉を意識してノヴァはゆっくり語りかけた。
「あ、いえ。人がですね」
「人…?」
確認の為にスミスを振り切り馬車から降りるとそこには道の真ん中に大の字で転がっている男がいた。
危うく轢きかけたのだろう、スミスの顔が真っ青で少しパニクっている様子も伺えたので、代わりにノヴァが状況把握に動く。
「もし、そこのお方?」
「…」
返事はない。
「死んでるのか」
スミスに聞こえない声で呟くと、屈んで男の状態を確かめる。
顔はなかなか整っている、髪は黒、東の人間なのかもしれない。装備も肩当てにマント、獲物は剣。
外傷はなく戦った形跡もない。
ふむ、とノヴァは男の口元に手を当てる。息がある、死んでな無いと分かると次は、鼻と口を塞ぐ。
暫くして苦しくなったのか「ごほっ!!」と激しく咳をして男が覚醒した。
外傷はなく心停止もしていない。だから唐辛子みたいな刺激物があればもっと簡単に気付けが出来たのだが。
「こ、殺す気か!?」
「まさか、反対ですよ」
男は半身起き上がり、剣に手を掛けた。警戒する様にしっかりと。
「お待ちくだされ!アンタは道の真ん中に倒れておったんです!そんで馬車で轢きそうになっちまって!」
スミスの言葉を聞いて男は目を見開く。するとすぐに剣を鞘に戻し、サッと頭を下げた。
「それは失礼を。私はこの辺りで森の巡回をしているジェイドと申します。迂闊にも森の獣と格闘中にあの崖から落ちた様で」
見上げると確かに崖があった。あそこから落ちて無事なのは強靭だな、戦った形跡が見当たらなかった事にもまた不思議だ、とノヴァは思う。
「まぁ誤解は解けましたし、あなたが無事なら良いのです。1人で帰れますか?」
「はい、少しフラフラしますがなんとか」
「なら一緒に」
「いえ、そう言うわけにも、まだ任務中ですから」
意識さえ戻れば謙虚で礼儀正しい男であった様で、ジェイドはそう断ってまた森の中へ戻って行った。
少しトラブルがあったがノヴァも馬車に乗り込んだ。早く行って早く終わらす。彼もある意味任務中なのだ。
因みに有力貴族の長男が不在で大丈夫かと言われれば、姉の事にショックを受け療養中だと言われればわ全然大丈夫らしい。
「僕の存在とは…」
切ない事である。
しかし、辺境と言っても国境にあるバチバチに隣国と遣り合う様な場所ではなく、本当に隅の方にある、穏やかな場所の修道院と聞く。行けば多少はマシだろう。
何せ反省と偽って髪を切りましたのよ!とか適当ぬかして、ウィッグを取り本来の髪の長さに戻せる、この腰をぎゅうぎゅうに締め付けるドレスからもおさらばし、ゆるゆるしたシスター服に着替えられるのだ。それでも女装ではあるのだが。
修道院長も、シュペル家の知り合いで多額の寄付をしている。ノヴァの事は知ってくれている。他の者はそうでは無いが。
とにかくバレないでほとぼりが覚めるまで大人しくする事。それに人生明るく考えようとノヴァはなるべく前向きに考える様に努めた。
あの姉が出てったのだ。僕の人生ここさえ乗り切れたら最高なんじゃないのか?、と
そう彼が思っていた時だった。
「ハイハイッハイヨー!!!」
御者のスミスの叫び声と馬のいななきと共に、馬車が大きく揺れた。目的地はもう手前だと言うのに。
「すみませんお嬢様、少しトラブルが」
スミスが慌てた様子で声をかけてきた。
「大丈夫です、そんなに慌てないで?何かあったら教えて頂けますか?」
なるべく高い声を出そうと努める。姉を意識してノヴァはゆっくり語りかけた。
「あ、いえ。人がですね」
「人…?」
確認の為にスミスを振り切り馬車から降りるとそこには道の真ん中に大の字で転がっている男がいた。
危うく轢きかけたのだろう、スミスの顔が真っ青で少しパニクっている様子も伺えたので、代わりにノヴァが状況把握に動く。
「もし、そこのお方?」
「…」
返事はない。
「死んでるのか」
スミスに聞こえない声で呟くと、屈んで男の状態を確かめる。
顔はなかなか整っている、髪は黒、東の人間なのかもしれない。装備も肩当てにマント、獲物は剣。
外傷はなく戦った形跡もない。
ふむ、とノヴァは男の口元に手を当てる。息がある、死んでな無いと分かると次は、鼻と口を塞ぐ。
暫くして苦しくなったのか「ごほっ!!」と激しく咳をして男が覚醒した。
外傷はなく心停止もしていない。だから唐辛子みたいな刺激物があればもっと簡単に気付けが出来たのだが。
「こ、殺す気か!?」
「まさか、反対ですよ」
男は半身起き上がり、剣に手を掛けた。警戒する様にしっかりと。
「お待ちくだされ!アンタは道の真ん中に倒れておったんです!そんで馬車で轢きそうになっちまって!」
スミスの言葉を聞いて男は目を見開く。するとすぐに剣を鞘に戻し、サッと頭を下げた。
「それは失礼を。私はこの辺りで森の巡回をしているジェイドと申します。迂闊にも森の獣と格闘中にあの崖から落ちた様で」
見上げると確かに崖があった。あそこから落ちて無事なのは強靭だな、戦った形跡が見当たらなかった事にもまた不思議だ、とノヴァは思う。
「まぁ誤解は解けましたし、あなたが無事なら良いのです。1人で帰れますか?」
「はい、少しフラフラしますがなんとか」
「なら一緒に」
「いえ、そう言うわけにも、まだ任務中ですから」
意識さえ戻れば謙虚で礼儀正しい男であった様で、ジェイドはそう断ってまた森の中へ戻って行った。
少しトラブルがあったがノヴァも馬車に乗り込んだ。早く行って早く終わらす。彼もある意味任務中なのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる