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我儘な妹のおねだりで婚約者を奪われましたが…後に二人は破滅し、私は幸せを掴みました。
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「お姉様の婚約者、私に譲って?」
また、いつものおねだりが…我儘が始まったわ。
妹は、昔から私が持っているものを何でも欲しがり…そして案の定、私の婚約者も欲しがった。
「お願!私、あの方が気に入ったの。」
「…だけど─」
「何よ、私がこんなに頼んでるのに…お姉様って、本当に意地悪ね!」
「…分かったわ、あなたの好きにすれば?」
「ウフフ…じゃあ、今日から彼は私のものね!」
私は、妹の願いを叶えてあげた。
だってそうでもしなきゃ、この子はいつまでも私の事を意地悪と罵り…そうなったらまた、私の悪評が流れてしまうもの─。
私に婚約破棄された婚約者は、落ち込んだり悲しむ事も無く、あっさりそれ受け入れた。
むしろ…可愛い妹を手に入れる事が出来て、喜んでいるようだ。
「あなたと結ばれる事が出来て、とっても幸せよ!」
「俺もだ…これから、ずっと一緒に居よう。」
二人は私を気にする事なく、幸せそうに抱き合って居た─。
※※※
そんなある日の事。
一人の男が、我が家を訪ねて来た。
「…おい、お前は俺の恋人だろう!何で婚約なんかしてるんだ!?」
それは、妹が以前に付き合っていた恋人だった。
「お前…この男と別れたんじゃなかったのか?」
「え、えっと…。」
「貸した金も返さずに姿を消したと思ったら…新しい男が居たのか!?」
「貸した金って…お前、借金があるのか!?」
妹は二人の男に挟まれ、オロオロとしている。
「そんなの、ちょっとだけよ?すぐに返そうと思ってたわ!」
「もしや…俺がこの前貸したお金は、その男への返済だったのか?」
彼の言葉に、妹はビクリと肩を震わせた。
「とにかく…借金を返せないんじゃ、お前にはその身を売って貰うしかないな。」
「…え?」
妹の恋人は彼女の腕を掴むと、ズルズルと引き摺って行った。
「お前には、娼館でたっぷり稼いでもらうからな!」
「そ、そんなの嫌よ!お願い、恋人なら私を助けて!」
妹は彼に救いの手を伸ばしたが、彼は冷たい目で妹を見た。
「…金がない女になど、用は無い。俺はお前と別れ、姉の方と復縁する!」
「い、嫌~!」
そして、妹は家を出て行った─。
すると彼が私に近づいて来て…しおらしい態度で、こう言った。
「俺は、あいつにすっかり騙されていたんだ。だから、さっきも言ったように俺と復縁を─」
「お断りです。」
「…え?」
「私、既に新しい婚約者が居ますから。」
妹にねだられ彼を譲った直後、私は幼馴染から告白された。
『いつも妹に大事なものを奪われて行く君を、もうこれ以上放っておけない。これからは、俺が君を守るから…だから、俺と一緒になって欲しい。』
大事なドレスやおもちゃ、友人、そして両親の愛すら妹に持って行かれてしまった私だったけれど…思えば、彼だけはいつも、私に寄り添って居てくれた。
だから私は、彼の愛に応える事にしたのだ。
「…あなたは、妹の事を悪く言えないでしょう?幼馴染が、あなたの身辺を調べてくれてたんだけど…派手な女遊びのせいで、あなたは借金を抱えてるんですってね。そしてそれを返す為に、名家の令嬢である私と婚約したそうですね。」
「いや、それは…。」
「お金にも女にもだらしないあなたなど、要りません。どうぞお引き取り下さい。」
※※※
私に頑なに復縁を拒否された元婚約者は、とうとう諦めて帰って行った。
そして後に、その借金が元で破産する事になった。
一方、家を連れ出された妹だが…結局娼婦となり、借金返済の為に身を売らされた。
その後、両親が彼女を助け出した時には…既に廃人となってしまって居たわ。
そのせいか、両親は今度は私に愛情を注ごうとしたけれど…私は既に、幼馴染の家で暮らす事が決まっていた。
今まで私を見てくれなかった両親や、おかしくなって帰って来た妹とはもう縁を切り…私は彼の元で、新しい人生を始めるつもりよ─。
また、いつものおねだりが…我儘が始まったわ。
妹は、昔から私が持っているものを何でも欲しがり…そして案の定、私の婚約者も欲しがった。
「お願!私、あの方が気に入ったの。」
「…だけど─」
「何よ、私がこんなに頼んでるのに…お姉様って、本当に意地悪ね!」
「…分かったわ、あなたの好きにすれば?」
「ウフフ…じゃあ、今日から彼は私のものね!」
私は、妹の願いを叶えてあげた。
だってそうでもしなきゃ、この子はいつまでも私の事を意地悪と罵り…そうなったらまた、私の悪評が流れてしまうもの─。
私に婚約破棄された婚約者は、落ち込んだり悲しむ事も無く、あっさりそれ受け入れた。
むしろ…可愛い妹を手に入れる事が出来て、喜んでいるようだ。
「あなたと結ばれる事が出来て、とっても幸せよ!」
「俺もだ…これから、ずっと一緒に居よう。」
二人は私を気にする事なく、幸せそうに抱き合って居た─。
※※※
そんなある日の事。
一人の男が、我が家を訪ねて来た。
「…おい、お前は俺の恋人だろう!何で婚約なんかしてるんだ!?」
それは、妹が以前に付き合っていた恋人だった。
「お前…この男と別れたんじゃなかったのか?」
「え、えっと…。」
「貸した金も返さずに姿を消したと思ったら…新しい男が居たのか!?」
「貸した金って…お前、借金があるのか!?」
妹は二人の男に挟まれ、オロオロとしている。
「そんなの、ちょっとだけよ?すぐに返そうと思ってたわ!」
「もしや…俺がこの前貸したお金は、その男への返済だったのか?」
彼の言葉に、妹はビクリと肩を震わせた。
「とにかく…借金を返せないんじゃ、お前にはその身を売って貰うしかないな。」
「…え?」
妹の恋人は彼女の腕を掴むと、ズルズルと引き摺って行った。
「お前には、娼館でたっぷり稼いでもらうからな!」
「そ、そんなの嫌よ!お願い、恋人なら私を助けて!」
妹は彼に救いの手を伸ばしたが、彼は冷たい目で妹を見た。
「…金がない女になど、用は無い。俺はお前と別れ、姉の方と復縁する!」
「い、嫌~!」
そして、妹は家を出て行った─。
すると彼が私に近づいて来て…しおらしい態度で、こう言った。
「俺は、あいつにすっかり騙されていたんだ。だから、さっきも言ったように俺と復縁を─」
「お断りです。」
「…え?」
「私、既に新しい婚約者が居ますから。」
妹にねだられ彼を譲った直後、私は幼馴染から告白された。
『いつも妹に大事なものを奪われて行く君を、もうこれ以上放っておけない。これからは、俺が君を守るから…だから、俺と一緒になって欲しい。』
大事なドレスやおもちゃ、友人、そして両親の愛すら妹に持って行かれてしまった私だったけれど…思えば、彼だけはいつも、私に寄り添って居てくれた。
だから私は、彼の愛に応える事にしたのだ。
「…あなたは、妹の事を悪く言えないでしょう?幼馴染が、あなたの身辺を調べてくれてたんだけど…派手な女遊びのせいで、あなたは借金を抱えてるんですってね。そしてそれを返す為に、名家の令嬢である私と婚約したそうですね。」
「いや、それは…。」
「お金にも女にもだらしないあなたなど、要りません。どうぞお引き取り下さい。」
※※※
私に頑なに復縁を拒否された元婚約者は、とうとう諦めて帰って行った。
そして後に、その借金が元で破産する事になった。
一方、家を連れ出された妹だが…結局娼婦となり、借金返済の為に身を売らされた。
その後、両親が彼女を助け出した時には…既に廃人となってしまって居たわ。
そのせいか、両親は今度は私に愛情を注ごうとしたけれど…私は既に、幼馴染の家で暮らす事が決まっていた。
今まで私を見てくれなかった両親や、おかしくなって帰って来た妹とはもう縁を切り…私は彼の元で、新しい人生を始めるつもりよ─。
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