秘密結社グリーフ

ここは科学の発展した“水の惑星”地球。
この星には80億前後の人間が暮らしていた。
 しかし、この惑星は何度も争い合い、奪い合い、血の雨を降らし続けた“死の惑星”でもあった。時に、平和が訪れようが、それは一時の贋に過ぎなかった。
 そんな世界のある日。地球全土に空間の裂け目が発生した。それは快晴の蒼空だろうと、星々輝く闇夜であろうと、関係なく空間を裂いた。空間の裂け目から覗かせるその景色は禍々しく、まさに終の世界“深淵”そのものであった。
 その暗き深淵より蠢く白く澱んだ面影は、まるでドス黒さを増さんとばかりに、こちらを覗いている。そんな風景を目の当たりにした人間達は焦り、荒れ狂い、逃げ惑った。時に“神”に助けを求める者までいた。だがそんな微かな願いも去ることながら、何かの開始の合図かの如く、甲高く、そして重々と心身に響き渡るラッパの音が響き渡った。それと同時に、澱んだ白は裂け目より溢れんとばかりに、世界に姿を顕現した。大きく艶やかな白き翼は陽光に照らされ、先程までの淀みが嘘かのように光り輝いていた。白く美しく、世界に顕現したその姿正に“天使”そのものであった。
 粉雪のように舞う白き羽は世界を幻想的な空間へ誘い、人間を狂わせた。そしてまた、綺麗な音色のラッパがなり響くと共に、停滞していた天使は、一斉に白とも黒ともはたまた他の色ですら表現できぬような、そんな光を纏った光線を放ち。ついに天使による蹂躙が戒始された。
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