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第八十話
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アメリアの手引きの元、順調に城へと潜入したアマリーは、燕尾服を身にまとい、今、男装をして城内を歩き回っていた。
舞踏会が始まるまでは後数刻ほどあるのだが、アマリーはそれまでの間に警備の配置などをさりげなく歩きながら把握していっていた。
何故男装しているかと言うと、今回アマリーは舞踏会に招待されていないからである。
今回の舞踏会は、隣国の国王や宰相など有名どころがかなり集まるものであり、本来ならばルルドの婚約者であるアマリーも参加できそうなものなのだが、何故か、それをルルドが不参加に勝手にしてしまっていたのである。
その事実が、ルルド浮気説をアメリアの中で有力にしていた。
アメリアが言うには、ルルドは今城に滞在しているロエナール諸島のジャスミン姫の接待を毎日のようにしているという事なのである。
そんな話ルルドからは聞いていないし、まして、今回の舞踏会に自分も参加できるはずだったなんて事も知らなかった。
アマリーは今回の潜入にあたって、アメリア付の執事という設定であるが、もちろんその事についてルルドには一切ばれていない。
アマリーとしては、ルルドを疑ってはいないのだが、やはり内密に舞踏会に不参加扱いにされたり、ジャスミン姫の事は気になるわけで、なのでアメリアの警護をするついでだと自分に言い訳をして男装していた。
潜入するなら侍女でも良かったのではないかとアマリーは思ったのだが、アメリアがのりのりで楽しんでいたのであえてその事についてはふれなかった。
それに男装というものはすごく動きやすく、アマリーは癖になりそうだと内心思っていた。
「そこのキミ。」
突然声を掛けられ、アマリーは振り返ると、そこには自分とそう背格好の変わらない異国の服を着た小柄な男性が立っていた。
「何かご用でしょうか?」
焦らずアマリーがそう言うと、その男性はアマリーをしげしげと見つめた後に言った。
「少しお願いがあるんだが、時間はあるか?」
「ええ。多少ならば。なんでしょうか?」
「いや、少し質問があるだけなのだ。ここでは何なので、場所を変えてもいいか?」
「はぁ。」
アマリーは促され、庭へと移動すると男は神妙な顔で言った。
「この国の宰相である、ルルドという男はどのような男なのだろうか。知っているだろう?」
自分の婚約者の話が出るとは思っていなかったアマリーは内心どきどきとしながらも神妙な顔でうなずいたのであった。
「はい。もちろんでございます。」
「それで、どんな男だ?」
アマリーはこの男の格好からして身分は高いと判断し、今下手に適当に話をして後から罰せられるなどとなってはいけないと丁寧に話をした。
「ハンス陛下の右腕であり、とても頭の良い方です。剣の腕もあり、陛下の護衛であるテイラー殿と肩を並べるほどだという話です。」
「なるほど、他の者とやはり同じだな、、、くそっ!何で悪い噂が出てこないんだ!」
男性は悔しそうに地団太を踏むと、その場に項垂れた。
「そんな完璧男、、、、叶うわけねぇよ。何か、何か悪い所はないのか!?」
がばっと立ち上がると血走った眼でアマリーはそう言われ、思わず苦笑を浮かべたのであった。
舞踏会が始まるまでは後数刻ほどあるのだが、アマリーはそれまでの間に警備の配置などをさりげなく歩きながら把握していっていた。
何故男装しているかと言うと、今回アマリーは舞踏会に招待されていないからである。
今回の舞踏会は、隣国の国王や宰相など有名どころがかなり集まるものであり、本来ならばルルドの婚約者であるアマリーも参加できそうなものなのだが、何故か、それをルルドが不参加に勝手にしてしまっていたのである。
その事実が、ルルド浮気説をアメリアの中で有力にしていた。
アメリアが言うには、ルルドは今城に滞在しているロエナール諸島のジャスミン姫の接待を毎日のようにしているという事なのである。
そんな話ルルドからは聞いていないし、まして、今回の舞踏会に自分も参加できるはずだったなんて事も知らなかった。
アマリーは今回の潜入にあたって、アメリア付の執事という設定であるが、もちろんその事についてルルドには一切ばれていない。
アマリーとしては、ルルドを疑ってはいないのだが、やはり内密に舞踏会に不参加扱いにされたり、ジャスミン姫の事は気になるわけで、なのでアメリアの警護をするついでだと自分に言い訳をして男装していた。
潜入するなら侍女でも良かったのではないかとアマリーは思ったのだが、アメリアがのりのりで楽しんでいたのであえてその事についてはふれなかった。
それに男装というものはすごく動きやすく、アマリーは癖になりそうだと内心思っていた。
「そこのキミ。」
突然声を掛けられ、アマリーは振り返ると、そこには自分とそう背格好の変わらない異国の服を着た小柄な男性が立っていた。
「何かご用でしょうか?」
焦らずアマリーがそう言うと、その男性はアマリーをしげしげと見つめた後に言った。
「少しお願いがあるんだが、時間はあるか?」
「ええ。多少ならば。なんでしょうか?」
「いや、少し質問があるだけなのだ。ここでは何なので、場所を変えてもいいか?」
「はぁ。」
アマリーは促され、庭へと移動すると男は神妙な顔で言った。
「この国の宰相である、ルルドという男はどのような男なのだろうか。知っているだろう?」
自分の婚約者の話が出るとは思っていなかったアマリーは内心どきどきとしながらも神妙な顔でうなずいたのであった。
「はい。もちろんでございます。」
「それで、どんな男だ?」
アマリーはこの男の格好からして身分は高いと判断し、今下手に適当に話をして後から罰せられるなどとなってはいけないと丁寧に話をした。
「ハンス陛下の右腕であり、とても頭の良い方です。剣の腕もあり、陛下の護衛であるテイラー殿と肩を並べるほどだという話です。」
「なるほど、他の者とやはり同じだな、、、くそっ!何で悪い噂が出てこないんだ!」
男性は悔しそうに地団太を踏むと、その場に項垂れた。
「そんな完璧男、、、、叶うわけねぇよ。何か、何か悪い所はないのか!?」
がばっと立ち上がると血走った眼でアマリーはそう言われ、思わず苦笑を浮かべたのであった。
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