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五話 婚約
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「君は……不躾な質問だが、レオ殿を慕っているのかい?」
「え? えっと、政略結婚ですし、その」
言葉を私が濁すと、少しだけカイル様が嬉しそうな表情を浮かべた。そしてにこやかな表情で言った。
「そうかい。なら私にもチャンスはあるだろうか?」
「え?」
カイル様は私の瞳をじっと見つめると言った。
「私は、今までどのご令嬢も同じようにしか見えなかった。けれど、君を見た瞬間、君に惹かれている。だが、君はレオ殿の婚約者だ。君がレオ殿を慕っていて、またレオ殿も君を大切にしているならば、邪魔はできないと思っている」
「え?」
「だが、明らかに君たちは不仲であり、レオ殿はどうやら、君の妹君にご執心な様子」
私は一瞬でそれを見抜かれてしまったことにどう答えればいいのだろうかと考えていると、カイル様は楽し気な笑顔をこちらに向けてくる。
「なら、私にもチャンスはあるのかなと」
「チャンス……とは?」
困惑する私の言葉に、カイル様は真剣な表情で答えた。
「出会ったばかりだ。だから、お互いに知る時間は必要となると思うが、もし、よければ君の婚約者候補に私の名前を入れてもらえないだろうか?」
「えぇ?」
王族との婚約とは、そんなに生易しいものではない。それに自分は家同士で決められた婚約者である。早々に婚約解消などできるわけもない。
「……私には光栄な話ではありますが……家同士の婚約ですので」
そう伝えると、カイル様はうなずいた。
「それはもちろんわかっているよ。だがね、兄上曰く、その流れも変わりそうだから」
「え?」
「うん。だからもしも、家同士の婚約などが関係なくなったら、私のことも候補に入れてくれるかい?」
私はその一言に、くすりと笑ってしまった。
家同士の婚約が関係なくなるなどあるのだろうか。でももしあるとするならば、私はきっとレオ様と結婚するよりも幸せになれる気がした。
「ふふ。では、もしも殿下が私の妹を実際に目の前にしても、そのお気持ちをなくさないのであれば。よろしくお願いいたします」
「おや、私は試されているらしい。あぁ。だが、君の妹を見てもこの気持ちは変わらないだろうよ」
「どうでしょうね」
エルを一目見れば、皆が心を奪われる。
けれど。
淡い期待と共に、今日のデビュタントは私にとってとても良い思い出となった。
「え? えっと、政略結婚ですし、その」
言葉を私が濁すと、少しだけカイル様が嬉しそうな表情を浮かべた。そしてにこやかな表情で言った。
「そうかい。なら私にもチャンスはあるだろうか?」
「え?」
カイル様は私の瞳をじっと見つめると言った。
「私は、今までどのご令嬢も同じようにしか見えなかった。けれど、君を見た瞬間、君に惹かれている。だが、君はレオ殿の婚約者だ。君がレオ殿を慕っていて、またレオ殿も君を大切にしているならば、邪魔はできないと思っている」
「え?」
「だが、明らかに君たちは不仲であり、レオ殿はどうやら、君の妹君にご執心な様子」
私は一瞬でそれを見抜かれてしまったことにどう答えればいいのだろうかと考えていると、カイル様は楽し気な笑顔をこちらに向けてくる。
「なら、私にもチャンスはあるのかなと」
「チャンス……とは?」
困惑する私の言葉に、カイル様は真剣な表情で答えた。
「出会ったばかりだ。だから、お互いに知る時間は必要となると思うが、もし、よければ君の婚約者候補に私の名前を入れてもらえないだろうか?」
「えぇ?」
王族との婚約とは、そんなに生易しいものではない。それに自分は家同士で決められた婚約者である。早々に婚約解消などできるわけもない。
「……私には光栄な話ではありますが……家同士の婚約ですので」
そう伝えると、カイル様はうなずいた。
「それはもちろんわかっているよ。だがね、兄上曰く、その流れも変わりそうだから」
「え?」
「うん。だからもしも、家同士の婚約などが関係なくなったら、私のことも候補に入れてくれるかい?」
私はその一言に、くすりと笑ってしまった。
家同士の婚約が関係なくなるなどあるのだろうか。でももしあるとするならば、私はきっとレオ様と結婚するよりも幸せになれる気がした。
「ふふ。では、もしも殿下が私の妹を実際に目の前にしても、そのお気持ちをなくさないのであれば。よろしくお願いいたします」
「おや、私は試されているらしい。あぁ。だが、君の妹を見てもこの気持ちは変わらないだろうよ」
「どうでしょうね」
エルを一目見れば、皆が心を奪われる。
けれど。
淡い期待と共に、今日のデビュタントは私にとってとても良い思い出となった。
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