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第一章
攻略キャラとの再開 24
しおりを挟むよし、と、フィリアは覚悟を決めると、できる限り哀れっぽく見えるように話しだした。
「、、まず、5年前あそこにいた理由ですね。あの、聞いても、他言無用でお願いします。」
明らかにフィリアの話す口調が変わったからであろう。4人とも静かに聞いている。
「私、5歳の時に母をなくしまして、それ以降林の小さな屋敷で一人でくらしていましたの。」
そこで、4人が息を呑むのが分かった。
そりゃそうですよねー。
よし、畳み掛けるように一気に行きましょう。
「誰もいない屋敷に、流れ着いたのがグリードです。彼の素性は聞かないであげてくださいまし。私もよくは知りませんの。でも、たった一人でいた私の所にやってきて、世話をやいてくれたのです。そしてあの日、私が町を見てみたいとせがんだのです。グリードは渋々ながら町に連れて行ってくれました。そして、貴方方4人が見えて、思わず年の近い子どもなんて会ったことがありませんから、追いかけて声をかけてしまったのです。グリードは、静かに外で待っていてくれましたの。」
その場に静けさが訪れる。
「こんな説明でよかったかしら。あ、でも誤解しないでくださいませね。父はそれから私を迎えに来てくれましたし、グリードを養子に入れてこの学校に一緒に通わせて下さっているの。」
その言葉にロイが口を開いた。
「一緒にか?」
「ええ。年は、、本人も分からないと言っていましたがそこまで上には見えませんし、学園には許可をいただきましたのよ。」
たしかに、たまにあることなのでそこは問題ないかもしれない。
「だが、そんな素性の知れないものを。」
すかさず睨みつけて言い返す。
「私のグリードですわ。そんな事を言われる筋合いはございません。」
その言葉に4人は黙った。
シオンはゆっくりと口を開いた。
「ならお願いがあるんだ。」
「何かしら?」
「僕たちはあの日、彼に会って衝撃を受けたんだ。あれほどかっこいい人には会ったことがない。あの、彼に僕らを紹介してはくれないか?」
まさかの言葉に驚くと、4人共同じ眼差しをしている。
たしかにグリードはかっこいい。
かっこいいが、出来るなら攻略キャラ達よ。
男よりも婚約者に目を向けてくれ。
恋愛してくれ!
そう叫びたくなった。
だが、これは良いチャンスかもしれない。
「では、こうしましょう?もし皆様が私より優秀であれば、グリードに紹介してさしあげます。でも、私より優秀でないなら、まずは鍛錬が必要ですから、私と一緒に鍛錬しましょう。その時にはグリードももれなくついてきます。」
どちらにしても貴方方には美味しい話。でもね、私にとっても美味しい話。
4人の目が輝いた。
『いいだろう。』
「では、明日は能力によってのクラス分けがありますわね。そこで魔法、学問、礼儀作法の総合で勝負といたしましょう。」
自分達に自信があるのであろう。4人は自信満々に頷く。
さぁ、勝負です。
グリードに鍛えられた私を、見くびらないほうがよろしくてよ!
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