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三章
98話 心の傷②
私達は各国を巡り、旅行もようやく最後の国となった。
訪れたのはレイル王国という、アイゼン帝国の近くにある国。
ここには私とシルウィオの仲が深まったキッカケの物語を書いた作者がいるのだ。
会いたい気持ちを胸に、レイル王国を見て回る。
子供達があちこちの店を見て回っては感嘆の声を上げ、シルウィオも傍で一緒にいる。
だけど……
「グレイン、大丈夫……?」
「も、もちろんですよ! すみません……せっかくのご旅行なのに」
グレインはどこか落ち着かない様子だ。
きっと、この国に来る前に話していた失恋した貴族令嬢に会うかもしれないと、周りを見ていたのだろう。
「心配なら、馬車で待っていてもいいのよ?」
「い、いえいえ! 大丈夫ですよ!」
そうは言うけれど、彼が話していた失恋はかなりショックなものだ。
なにせ長年を想っていた相手に馬鹿にされていたなんて、私でも耐えられない。
「グレイン……どうしたの? 怖いの?」
息子のテアがグレインの手を握った。
剣の師弟である二人だからこそ、不安そうなグレインが分かったのだろう。
「テ、テア様。大丈夫ですよ、貴方が心配する事なんてありませんから!」
「グレイン、もしも困ってたら。僕に言ってね、助けてあげるから」
そう言って、以前の国でシルウィオに買ってもらったおもちゃの剣を手にテアが笑う。
テアの励ましを受け、グレインの表情は笑顔に変わる。
「はは……ありがとうございます、テア様。それでは……もしも困った時は助けてくださいね」
「うん!」
「では、今日は俺の護衛をテア様に頼みますよ」
「りょうかいだよ! テアがばっちり守ってあげる!」
励ましのおかげか、グレインの様子が明るいものに変わる。
子供とは凄い。
大人が幾ら励ましたって沈む心は癒せない。
だけど子供は純粋な気持ちで立ち直らせてくれるのだ。
「カティ、グレインは無事か?」
子供達を見てくれていたシルウィオに声をかけられて、「大丈夫」と答えようと振り返る。
だが、そのシルウィオがなにやら多数のおもちゃに飾られていて言葉が出ない。
娘のリルや、息子のイヴァがおもちゃの眼鏡や、赤鼻、奇妙な帽子を被せているのだ。
「お母様みてみて! お父様……こっちのが可愛いよね?」
「イヴァも……こっちのが……いー!」
「カティ、どうだ。こっちの方が可愛いのか?」
子供達が喜んでくれているからなのか、シルウィオもまんざらでもない様子だ。
帝国の宰相であるジェラルド様が見れば卒倒しそうだ。
なにせ、あの帝国で一番恐れられているシルウィオがこんな姿なのだから。
「ぶふつ……!」
当然ながら、グレインも笑いを堪えて噴き出している。
私も限界だ。
「に、似合ってるよ……シルウィオ……ふ、ふふ」
「そうか! カティが言うなら気に入った。しばらくこれでいる」
相変わらず、評価の基準が私優先のシルウィオには笑ってしまう。
ジェラルド様が気絶しても困るので、帝国に帰る前には外してもらっておこう。
先程までの不安は消え、グレインも笑うようになった時だった。
「グ、グレインよね?」
そんな声が聞こえて振り返れば、見知らぬ女性がいた。
貴族令嬢らしい豪奢な服装に、まぶしい程の煌びやか宝石類を身に付けている。
「エリー……?」
グレインが驚いた表情で口にしたのは、かつて傷つけられた令嬢の名。
なんという偶然なのか。
トラウマを与え、グレインが会いたくないであろう令嬢が目の前に居るのだ。
「やっぱりグレインよね? 久しぶり! 聞いたよ、近衛騎士になったのよね?」
エリーは戸惑うグレインとは反対に、親し気に近づく。
彼の手に触れて、楽しそうに笑っていた。
「会えて良かったわ、本当に久しぶりね」
「お、俺は……」
「元気だった? ふふ、前に会った時よりもぐっと大きくなったわね」
「エリー、前に俺を招待してくれた時……他の皆に言っていた事を」
グレインが勇気を出して、トラウマとなったエピソードを語ろうと口を開いた。
彼はエリーの悪口を聞いていたのを、彼女自身を知らない。
だからこそ、明かそうと思ったのだろう……しかし。
「本当に会えて嬉しいよグレイン。私ね、貴方が好きだったから」
「っ……」
「ふふ、もう遅いのにね。あの時の恋情を、私はずっと引きずってるのよ」
エリーが突然告白した言葉には、ウソがないと思えるほど、その表情は真剣だった。
だから、グレインは語ろうとした口を閉じる。
彼の初恋の相手、エリー。
その思惑や、過去に聞いた悪口が真実から吐いた言葉なのか。
グレインは分からなくなっていたのかもしれない。
◇◇ご報告◇◇
更新が空いてしまっており、申し訳ございません。
少し忙しかったのと、色々と悩んでしまって筆が止まってしまっておりました。。。
数字など気にしてしまうのは私の悪い癖です。
なので、この一か月で修行僧のような生活で消してまいりました!(,, -᷅ ̫ -᷄ ,,)
なので、もう元気フルMAXです!(ᕗ՞▿՞)ᕗ
これからはなにも気にせず、1~2週間ごとに更新していくようにします!
お待たせしてしまっておりましたが。
引き続き、今作を読んでいただけると嬉しいです!
訪れたのはレイル王国という、アイゼン帝国の近くにある国。
ここには私とシルウィオの仲が深まったキッカケの物語を書いた作者がいるのだ。
会いたい気持ちを胸に、レイル王国を見て回る。
子供達があちこちの店を見て回っては感嘆の声を上げ、シルウィオも傍で一緒にいる。
だけど……
「グレイン、大丈夫……?」
「も、もちろんですよ! すみません……せっかくのご旅行なのに」
グレインはどこか落ち着かない様子だ。
きっと、この国に来る前に話していた失恋した貴族令嬢に会うかもしれないと、周りを見ていたのだろう。
「心配なら、馬車で待っていてもいいのよ?」
「い、いえいえ! 大丈夫ですよ!」
そうは言うけれど、彼が話していた失恋はかなりショックなものだ。
なにせ長年を想っていた相手に馬鹿にされていたなんて、私でも耐えられない。
「グレイン……どうしたの? 怖いの?」
息子のテアがグレインの手を握った。
剣の師弟である二人だからこそ、不安そうなグレインが分かったのだろう。
「テ、テア様。大丈夫ですよ、貴方が心配する事なんてありませんから!」
「グレイン、もしも困ってたら。僕に言ってね、助けてあげるから」
そう言って、以前の国でシルウィオに買ってもらったおもちゃの剣を手にテアが笑う。
テアの励ましを受け、グレインの表情は笑顔に変わる。
「はは……ありがとうございます、テア様。それでは……もしも困った時は助けてくださいね」
「うん!」
「では、今日は俺の護衛をテア様に頼みますよ」
「りょうかいだよ! テアがばっちり守ってあげる!」
励ましのおかげか、グレインの様子が明るいものに変わる。
子供とは凄い。
大人が幾ら励ましたって沈む心は癒せない。
だけど子供は純粋な気持ちで立ち直らせてくれるのだ。
「カティ、グレインは無事か?」
子供達を見てくれていたシルウィオに声をかけられて、「大丈夫」と答えようと振り返る。
だが、そのシルウィオがなにやら多数のおもちゃに飾られていて言葉が出ない。
娘のリルや、息子のイヴァがおもちゃの眼鏡や、赤鼻、奇妙な帽子を被せているのだ。
「お母様みてみて! お父様……こっちのが可愛いよね?」
「イヴァも……こっちのが……いー!」
「カティ、どうだ。こっちの方が可愛いのか?」
子供達が喜んでくれているからなのか、シルウィオもまんざらでもない様子だ。
帝国の宰相であるジェラルド様が見れば卒倒しそうだ。
なにせ、あの帝国で一番恐れられているシルウィオがこんな姿なのだから。
「ぶふつ……!」
当然ながら、グレインも笑いを堪えて噴き出している。
私も限界だ。
「に、似合ってるよ……シルウィオ……ふ、ふふ」
「そうか! カティが言うなら気に入った。しばらくこれでいる」
相変わらず、評価の基準が私優先のシルウィオには笑ってしまう。
ジェラルド様が気絶しても困るので、帝国に帰る前には外してもらっておこう。
先程までの不安は消え、グレインも笑うようになった時だった。
「グ、グレインよね?」
そんな声が聞こえて振り返れば、見知らぬ女性がいた。
貴族令嬢らしい豪奢な服装に、まぶしい程の煌びやか宝石類を身に付けている。
「エリー……?」
グレインが驚いた表情で口にしたのは、かつて傷つけられた令嬢の名。
なんという偶然なのか。
トラウマを与え、グレインが会いたくないであろう令嬢が目の前に居るのだ。
「やっぱりグレインよね? 久しぶり! 聞いたよ、近衛騎士になったのよね?」
エリーは戸惑うグレインとは反対に、親し気に近づく。
彼の手に触れて、楽しそうに笑っていた。
「会えて良かったわ、本当に久しぶりね」
「お、俺は……」
「元気だった? ふふ、前に会った時よりもぐっと大きくなったわね」
「エリー、前に俺を招待してくれた時……他の皆に言っていた事を」
グレインが勇気を出して、トラウマとなったエピソードを語ろうと口を開いた。
彼はエリーの悪口を聞いていたのを、彼女自身を知らない。
だからこそ、明かそうと思ったのだろう……しかし。
「本当に会えて嬉しいよグレイン。私ね、貴方が好きだったから」
「っ……」
「ふふ、もう遅いのにね。あの時の恋情を、私はずっと引きずってるのよ」
エリーが突然告白した言葉には、ウソがないと思えるほど、その表情は真剣だった。
だから、グレインは語ろうとした口を閉じる。
彼の初恋の相手、エリー。
その思惑や、過去に聞いた悪口が真実から吐いた言葉なのか。
グレインは分からなくなっていたのかもしれない。
◇◇ご報告◇◇
更新が空いてしまっており、申し訳ございません。
少し忙しかったのと、色々と悩んでしまって筆が止まってしまっておりました。。。
数字など気にしてしまうのは私の悪い癖です。
なので、この一か月で修行僧のような生活で消してまいりました!(,, -᷅ ̫ -᷄ ,,)
なので、もう元気フルMAXです!(ᕗ՞▿՞)ᕗ
これからはなにも気にせず、1~2週間ごとに更新していくようにします!
お待たせしてしまっておりましたが。
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