死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?

なか

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三章

104話 新しい人③ リーシアside

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🐔<コケ!コーッコ!
  (コッコがこれまでのあらすじをおしえるよ)


🐔<コケケケケケ
  (各国に旅行にいった、カーティアおかさん達は最後にレイル王国にいったよ)


🐔<コーコ……
  (でもそこで、グレインと過去に因縁のあった、エリー・ローレンという女性に会ったの)


🐔<コケーケッ!!
  (エリーはグレインと結婚するために画策したけど、カーティアおかさん達がやり返したよ)


🐔<コココココ……
  (エリーは罪に問われたけど、罪から逃れるために妹のリーシアに謝罪にいかせたみたい)


🐔<コケ、コケーコッケ!
  (でもカーティアおかさんは、そんなリーシアが憧れの小説を書いた作家だと知って、保護したよ)


🐔<コーケ、コケ!
  (帝国に住むことになったリーシアは、グレインが城内を案内しているの)
 

🐔<コケケケ
  (いままでのあらすじは、ざっくりこんなの)


🐔<ケッ!!
  (疲れたから、コッコはもう寝る)



   ◇◇◇◇◇◇



 リーシアside


 グレイン様にアイゼン帝国の城内を案内してもらっている最中。
 時折聞こえていた、コッコちゃんという鶏の鳴き声が聞こえなくなる。
 気になって、思わず握っていたグレイン様の手を引いた。

「あ、あの」

「どうしました? リーシアさん。分からない事があれば、言ってくださいね」

「い、いえ。説明はとても分かりやすかったのですが……あの、コッコさんの鳴き声が聞こえなくなったので……」

「あはは、俺の頭の上で眠ったみたいです」

 コッコさんん、さっきまで何か喋りかけるように鳴いていたのに。
 眠ってしまったようだ。

 いや、それよりも自然とコッコさんと呼んでいたが。
 あのアイゼン帝国の皇帝陛下の護衛騎士であるグレイン様が……敬称を付けて呼ぶ鶏とはなんなのだろう。
 そもそも、帝国城内にて鶏が飼われている状況に理解が追いつかない。

「不思議ですか?」

「はぇ!?」

「いや、顔にでていたので。城内に鶏が居るなんて、恐らく聞いていたアイゼン帝国の皇帝陛下の噂とは違うでしょう?」
 
 私は目は見えないので、グレイン様の表情は分からない。
 だから疑問が顔に出てしまって失礼をしたと思ったが、声色を聞くに嬉しそうで安心する。
 そのおかげで、自然と疑問が口から漏れ出た。

「はい、私が聞くアイゼン帝国の皇帝陛下は……その、とても恐ろしい方で……皆が恐怖していると」

「ははは、確かに以前までは……その通りでしたね」

「以前までは?」

「カーティア様が、全てを変えてくれたんですよ。陛下も温和になられたんです」

 カーティア様と聞いて、どこか腑に落ちる。
 私のような者にも優しく明るく接してくれて、裏表もなく話しかけてきてくださった皇后様なのだから。
 
「そう、なのですね」

「はい。そして俺の頭の上で眠るコッコさんは、カーティア様の愛するご家族です」

「だから、コッコなのですね」

「はは、そうですね。俺よりも身分は高いかもですよ」

 冗談のような、本気のような口調に思わず笑ってしまう。
 鶏が護衛騎士よりも身分が上なんて、世界中のどの国を巡ってもあり得ないだろう。
 私が笑っていると、グレイン様もくつくつと共に笑ってくださった。

「お、グレイン。リーシア殿の案内中か」

 ふと、笑い合う私達に声がかかった。
 声から察するに、老齢の男性……そして握ったグレイン様の手が揺れて、敬礼をした事から、高位の職務に当たる人だと分かった。

 私も慌てて、姿勢を正す。


「ジェラルド様、カーティア様の代わりにリーシア殿を案内中です」

「そうか、御苦労」

 ジェラルド様といえば、アイゼン帝国内の宰相様だ。
 身内でいうなら皇帝陛下の次に権力を持つ人物……!!

 城内で笑っていたなんて無礼に、𠮟責されるのでは?
 そう思って冷や汗が出たが、ジェラルド様は優しい声色で私に声をかけてくれた。

「リーシア殿、城内を巡って不便な箇所や、危ないと思った箇所があれば遠慮なく申してくだされ」

「え……?」

「目が見えぬが故の危険もあるでしょう。手すりなどの取付は早急に進めさせておく」

「あ、あの……私なんかのためにそこまで……。ほぼ居候の身なのに、ご迷惑をおかけする訳には!」

 いきなりやって来た私が、カーティア様のご厚意でたまたま住まわせてもらった城内。 
 なのに迷惑はかけられない。

 そう思っての発言だが、ジェラルド様は苦笑交じりに答えた。

「ふはは、いやいや、実はリーシア殿のために手すりを設けるのは口実で……私も最近は歳のせいで腰が痛くて、いい機会だと利用させてもらっているのですよ」

 私に気負わせないための口実だとは、直ぐに分かった。
 でも、それがジェラルド様からの優しさだからこそ、これ以上の遠慮は無粋だと口を閉じる。
 優しい方の多さに、思わずこれが現実なのかと疑ってしまう。

「どうしました? リーシアさん」

 黙ってしまった私を心配して、グレイン様が声をかけてくださる。
 今はその気遣いが、耐えていた涙腺を崩壊させた。

「っ……」

「え!? な、なんで泣いて!?」
「どうされました? リーシア殿」

 慌てるグレイン様と、優しく問いかけてくれるジェラルド様。
 二人の対応に感謝しながら、溢れる想いを打ち明けた。

「私……こんなに優しくしてもらった事が……なくて」

「……」

「なにもお返しできないのに、こんなに頂いて、いいのですか?」

 優しさを感じると、嬉しさと同時に不安になってしまう。
 今まで目が見えないからと姉たちに遠ざけられて、虐げられていた日々。

 もう慣れていた苦痛だったのに、優しさでその痛みを忘れてしまう。
 だからこそ、もしも彼らに見捨てられた時。
 その痛みが戻ってしまう事が、恐ろしく感じてしまうのだ。


 だが……

「安心してください、リーシア殿。この帝国では……皆が貴方を尊重して接します」

「っ!!」

「なにより、貴方が帝国に居る事をカーティア様が望み……我らがシルウィオ陛下が決めたのです。安心してお過ごしください」

 ジェラルド様の言葉に、カーティア様への信頼と……シルウィオ陛下への敬意が感じ取れる。
 私の不安は、全て彼らが振り払ってくれると言ってくれるようだった。

「感謝しても、し切れないです……皆さんにも、陛下にも……なにより、カーティア様にも」

「安心してください、我らも同様に……カーティア様には返せぬ恩を貰っていますから。だろう? グレイン」

「ええ、カーティア様がこの国を変えてくれた事。俺も感謝しかないですよ」

 二人の言葉には、心からの感謝が含まれている。
 この帝国のにぎやかさと、温かな雰囲気。
 コッコさんが暮らせるほど、のどかな場所。
 
 それを作ったのはカーティア様のおかげで、シルウィオ陛下が彼女を愛するからこそなのだろう。

「では、案内を続けますよ。リーシアさん」

「はい、お願いします!」

 グレイン様の手を握りながら、涙を拭いてまた歩き出す。
 
 こんな素敵な場所に居場所を下さった事に、私も感謝を抱き……
 このアイゼン帝国の一員になりたいと、心から思えた。
 だから……

『私ね、リーシアのようにお話を書きたいの。教えてくれない?』


 私はカーティア様が望んだ願いを叶えてみせると、固く心に誓った。

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