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43.望んでいない、邂逅
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「おにぃ、遅いよ!」
家に帰るなり、ヒナが機嫌悪そうに言ってくる。んな事を言われてもな。
「わりぃな。ってか、やってないのか?」
「マリアも居ないし、待ってられないって事でクエスト行ったんだけどさ、4人だと厳しくて。」
あぁ、マリアね、マリア。そりゃ居ないわな。なんて口が裂けても言えないが。さっきまで会っていたなんて知られたら、何を言われるか分からない。それに、中島だけには知られたくないな、かなり面倒そうだから。
「4人だったのか。」
一応、とぼけておく。
「ってか、おにぃって役に立ってたんだね。抜きで戦闘してみて、初めてわかったよ。」
「おい・・・」
酷い言われようだな。今度本当にさぼってやろうか。
「今は休憩って事にして、晩御飯をたべたらまた集合する事にしてあるよ。」
「わかった。」
そう言えば、ゲームをしてからというもの、きもいとかあまり言われなくなったな。いや違う、ゲームに関しての会話の時は無いが正解か。
日常の会話に関しては、そんなに変わった感じはしない。減ったと感じるのは、ゲームの話題が増えたせいだろう。
(一応、気は遣っているのか?)
「ちょ、キモッ!なんでこっち見てんの、腐るじゃん。」
・・・
減ったなぁと、考え事をしていただけなんだがこれだ。
「あぁ、悪いな。」
普段なら「おう、腐れ腐れ。」とか言って言い合いに発展したりするのだが、何故か今はそんな気分にはならなかった。
「・・・?」
ヒナも拍子抜けしたのか、疑問顔をこちらに向けると、首を傾げながら自分の部屋へ移動していった。
しかし、麻璃亜ねぇ・・・。
悪い人ではない気がする。綺麗な人でもあるが、俺には今日の話しがいまいち納得できていない。本人にそれを言うつもりも無いけど。
俺の住所や名前を知っているのは、登録情報として参照出来る人から聞いた。管理者側というのが本当だとすれば、それは確かに可能なのだろう。それよりも、何故俺なのかという疑問が一番だな。
簡単な話し、俺よりも優れたプレイヤー、人としても良いプレイヤーなんていくらでも居るはずだ。オルデラで詰まったとしても、同じ場所まで進んでいるプレイヤーも当然多いはず。
管理者側からゲームをする事を依頼されている?そういう人が居ても不思議ではないと思うが、やはり行き着く先は俺である必要が何処にあるかというところだ。
(まぁ、詮索してもしょうがないか・・・)
正確に言えば、詮索なんか出来ない、だが。
話しからすれば、もう会うことも無いだろう。麻璃亜の話しが本当であれば、現実の俺を確認出来たわけだろ?だったらもう会う必要はないわけだ。後はゲーム内で合流するだけになるだろう。
不信が無いわけじゃないが、考えても答えは出そうにない。何か問題があれば、麻璃亜の方から離れていくだろうし。
そんな事を考えているうちに、晩飯の時間になっていた。
相変わらずの、温めるだけの晩飯を急いで食べる。急ぐ必要はないのだが、向かいで急いで食べている奴がいるので、釣られているだけだ。
「12-9からだよね。」
クエストLV12-9 隻眼の暁魔龍 討伐。
どうやらボスっぽい。というのも、12-10以降のクエストが、こいつを倒さないと解放されないっぽい。
「そうだな。」
戦ってみないとなんとも言えないが、勝てるかどうか。もし対策が必要なようなら、今日は先に進むことが出来ないかもしれない。
「12に入って、そこそこ装備も作ってきたし、行けるよね?」
敵の強さはオルデラほどじゃないにしろ、やはり新しい装備を作らないと、戦闘に時間が掛かるし被ダメも多い。それぞれの装備を作りながら進めると、話しの方はあまり進まない。
「多分、大丈夫じゃないか。」
そう言ってみるも、不安はある。どうしても、戦闘をしてみないと分からないところはあるから。それは今話してもどうにもならないので、言わないでおく。
俺とヒナは晩飯を食べ終わると、それぞれの部屋に移動してDEWSにログインした。既にアヤカ、タッキー、姫が入っていたので、合流してさっそくクエストに向かった。
-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-
「余計な事は言ってないだろうなー。」
紫煙を吐き出す黒咲に、禍月は疑いの眼差しを向けて言う。
「えぇ。当たり障りの無い理由で会って来ただけよ。」
(当たり障りが無さ過ぎて、気付くかもしれないけれど。)
黒咲は内心で付け足しておく。雪待に話した内容は、別に疑われないための話しを作ったわけではない。疑われても問題ない話しを作っただけであった。
「まぁ、それならいいけどなー。」
「私は話してしまっても問題ないのだけど。」
「やーめーろー。あたしはまだ消されたくないからなー。」
禍月は銜えていたプレッツェルを指で摘まんで口から外すと、黒咲を恨みがましい目で睨みつけながら言う。
「で、会ってみてやっていけそうなのか?」
「そうね。可愛かったわ。」
「誰がユアキスの感想を求めた・・・しかもあれが可愛いとか意味わからん。」
「大丈夫よ。それより、お願いがあるのだけど?」
黒咲はそう言うと、ニコっと微笑んで見せる。
「やだ。」
禍月は顔を逸らしてそれだけ言うと、プレッツェルを齧り始める。
「まだ何も言ってないでしょう。」
「まりあのお願いは大概面倒なんだよー。」
禍月は目を細めると、プレッツェルを黒咲に向けて言う。
「アリシア姫のレイピア、現物でしょ?」
黒咲は禍月の反応などお構いなしに話しを続ける。それを聞いた禍月はあからさまに嫌そうな顔をした。
「だーめーだ!どうせ私の短刀もとか考えたんだろー。」
「そうよ。」
「そうよじゃねー、一般プレイヤーが使用できない武器を使わせるわけにはいかない。」
「そんな事は分かっているわ。そうじゃないの。」
黒咲はそんな当たり前の事じゃないと言うと、笑みを消して考える素振りをする。当然、その態度に禍月も疑問を抱く。
「用意しておいて欲しいだけなの。別に使うつもりはないのだけど。」
「使うつもりが無いものを用意させるなー。」
禍月は目を細めて言い返すが、黒咲の言った内容に対し疑問が消えたわけではない。何故なら、無駄な事を黒咲はしないと知っているから。
「必要・・・なのか?」
「おそらく、としか言えないわ。あ、ちょっと待って電話・・・」
恐る恐る聞く禍月に、黒咲も真面目な表情で答える。
そこで黒咲が電話に出るが、禍月はそんな事はどうでもいいとばかりに、嫌な事を目の当たりにしたように、顔を歪めて考え始める。
「えぇ・・・はい・・・はい、明日からね・・・大丈夫よ・・・えぇ、ちゃんとお掃除するわ・・・」
「仕事か・・・」
断片的に聞こえていた黒咲の会話に、禍月は溜息を吐くように言った。
「そうね。でもこちらが本業だもの。」
そう言って苦笑する黒咲を見ると、禍月は本業の方が嫌そうだなと思えた。最近であれば、仮想は嫌い、ゲームは好きじゃないと言いつつも、笑みは嫌そうじゃなかったからだ。
「どれくらいだー?」
「2、3日よ。長期の仕事は、避けてくれてはいるみたい。」
「まぁ、こっちも依頼している手前、文句は言えないなー。」
仕方がないと、禍月も苦笑で返す。
「あ、そうだ。少しの間ログインできないって、晶社くんに連絡しなきゃ。」
「なんだその彼女みたいなノリはー。」
思い出したように言う黒咲に、禍月は呆れた視線を向ける。
「ほら、パーティに参加すると言ったのに、数日ログインしないなんて、気が引けるでしょう?」
「言われてみればそうか・・・」
監視、補助のために雪待のパーティに入り込んでもらったのに、ログインできない状況は不信を生む可能性があると禍月も納得する。
現状、それは望んでいない結果であるため、多少考え込む。
「番号がわかればなんとかなるだろー?」
「えぇ、メッセージ送るだけならね。」
禍月の言葉に、黒咲は笑みを浮かべて頷いた。
「じゃ、後で携帯に送っておくわー。」
「うん、ありがと。さて、私も帰って準備しなきゃなぁ。」
やはり、黒咲は本業の方の話しになると、笑みに何処か陰りがあるなと禍月には思えた。黒咲のそんな顔を見るのは、禍月にとっても面白くなく、出来れば避けたいと思わされた。
「あれ、何処かに行くのかい?」
そこへちょうど美馬津が現れる。会話が外に漏れていたのか、黒咲の言葉を継ぐように喫煙所に入ってきた。
「あっきーまで来たら、しゅにんが一人じゃないかー。」
「一応断っては来たよ。」
禍月は美馬津の問いを流すように、いつもの調子で話し出す。
「それより、禍月の方こそ喫煙所に居るなんて思わなかったよ。」
「そこの女が、喫煙所じゃなきゃやだーって我儘言うからしょうがないじゃん。」
「そこまで言ってないでしょう?貶めるのやめてよね。」
とは言うが、美馬津から見て二人とも楽しそうに言っているように見えた。
「じゃ、あたしはしゅにんのお守りに戻るわー。」
禍月はそれだけ言うと、反応を待たずに喫煙所を出る。出た直後から、険しい表情になった。
「短刀・・・か。」
少し前に話した黒咲の言葉を思い出し、小さく漏らす。
「嫌だな・・・まりあの勘は、まず当たるところが・・・」
禍月はそう呟きながら、監視室の方へ歩き出した。
「ちょっと、元の仕事がねぇ。」
「あ、西園寺さんのとこの?」
「そうなの。」
喫煙所に残った黒咲は、新たに来た美馬津の質問に答えた。禍月にはぐらかされたが、どうせ再度聞かれるだろうと思って。
「なんか、こっちもあっちもで大変だね。」
美馬津がそう言って苦笑すると、黒咲は身を屈めて下から美馬津を見上げる。
「だったら、戻ってきたら慰めてくれる?」
「いや、そういうのは・・・」
強調された胸の谷間から目を逸らし、美馬津は狼狽えながら言葉を濁した。
「ふふ、冗談よ。」
黒咲はそう言うと、元の姿勢に戻って煙草を吸い込む。上に向かって吐き出された紫煙は、広がって霧散していった。
「まったく、君は・・・」
その光景を見てから、美馬津は呆れて仕方がないと零す。
「留守の間、夢那のことよろしくね。」
「あぁ。」
黒咲は、美馬津の返事を聞くと、煙草の火を消して部屋を出て行った。美馬津はそれを見送ると、大きく吸い込んだ紫煙を、天井に向かって吹くように吐き出した。
・・・
「さぁ、あの木偶を倒したわたくしが必要と言いなさい。」
うるせぇ。
いつまで言い続けるつもりだ。
オルデラを倒してからというもの、毎日のようにアリシアが同じことを言ってくる。別にあてにはしてないのだが。
「あ、間に合ってる。次も雑魚なんで。」
実際雑魚じゃないんだが、敬遠しておく。この調子で毎度クエストに着いてこられても鬱陶しいだけだし。
「ユアキス、最近わたくしに冷たいんじゃありませんこと?」
「そんな事はまったくない。」
まぁ、断っても勝手に着いて来るんだが。実は、手を貸してくれとでも言われたいのだろうか。
・・・
いや、絶対に言ってやらん。さらに調子に乗りそうだし。
「マリア来ないね。」
「仕方ないですわ、待っていても始まりませんし、行きましょう。」
残念そうに言うタッキーとは別に、アヤカはうずうずしてしょうがないようだ。
「そうだな、来るか来ないか不明だし、とりあえず行くか。」
「なるべく、サポートは頑張りますね。」
「あぁ、頼む。俺も回復とか遅れないようにするわ。」
マリアが居ない分、姫が補おうとしているのだろう。そこに関しては俺も同じだ。
「あたしのために!」
「黙れ。」
月下が拳を作って力強く言うので突っ込んでおく。
「んだと、このアホ。」
「っ・・・」
蹴るのはやめてくれ。痛みは無いが、プレイヤーの身体がひるむので、視界が一瞬揺れる・・・。
それから、クエスト12-9に向かって、なんとか暁魔龍は倒す事が出来た。
時間も遅かったため、今日は倒した時点で解散となりログアウトした。
アイテムの確認や装備に関しては、各自やっている事なので、オルデラのような強敵でも現れない限りは、その辺を話し合う事も無い。
あるとすれば、武器特性によるSSSの連携についてくらいだろうか。
HMDを外して起き上がると、携帯に新規メッセージが届いているのが確認出来た。
俺の場合、よく来るのは中島くらいのものだが、たまに中学の友達から来たりもする。そこまで頻繁に利用していないので、利用頻度は多くない。
(どうせ中島なんだろうな。マリアどうしたんだろうねとか、くだらない内容でも送って来たんだろう。)
そんな事を思いながらメッセージを確認する。
『晶社くんごめーん。
別の仕事が入ったから、2、3日ログインできそうにないの。
私が居なくて寂しいと思うけど、上手くやっておいてね。
麻璃亜。』
・・・!
一瞬、携帯を投げようと思ったが、思いとどまった。壊れて困るのは自分だからだ。
どうやって俺のIDを知った?と思ってその行動に出ようとしたのだが、そもそも学校までいきなり来るような人だ。携帯番号だって知っているのだろう。まったく、昼間といい場合によっては訴訟案件だぞ。
にしてもだ。つまりこれ、俺に誤魔化しておけって事かよ・・・。今日も来ないねとか言われて、惚けられるだろうか。そっちの方が不安だな。
ってか寂しくねーよ!アホか!
しかし、なんか俺、いいように使われてないか?むしろ、何かに嵌められているような気さえしてきた。
よくよく考えれば胡散臭い話しだもんな。
・・・
が、返さないのも気分的に良くないから、一応返しておくことにした。
『わかった。気を付けてな。』
ふぅ、これでいいだろ。我ながら素っ気ない返事だと思ったが、気を遣う義理もないしな。
さて、寝よう。と思ったら、またメッセージが届く。
『まさか返事をくれるなって思わなかった。
嬉しい、ありがとう!
早く終わらせて戻るから、待っててね。』
・・・
なんだこれは・・・
だが一つ決めた事がある。もう返事はしない事にしよう。
そう心に決めて、俺はベッドに横たわった。
家に帰るなり、ヒナが機嫌悪そうに言ってくる。んな事を言われてもな。
「わりぃな。ってか、やってないのか?」
「マリアも居ないし、待ってられないって事でクエスト行ったんだけどさ、4人だと厳しくて。」
あぁ、マリアね、マリア。そりゃ居ないわな。なんて口が裂けても言えないが。さっきまで会っていたなんて知られたら、何を言われるか分からない。それに、中島だけには知られたくないな、かなり面倒そうだから。
「4人だったのか。」
一応、とぼけておく。
「ってか、おにぃって役に立ってたんだね。抜きで戦闘してみて、初めてわかったよ。」
「おい・・・」
酷い言われようだな。今度本当にさぼってやろうか。
「今は休憩って事にして、晩御飯をたべたらまた集合する事にしてあるよ。」
「わかった。」
そう言えば、ゲームをしてからというもの、きもいとかあまり言われなくなったな。いや違う、ゲームに関しての会話の時は無いが正解か。
日常の会話に関しては、そんなに変わった感じはしない。減ったと感じるのは、ゲームの話題が増えたせいだろう。
(一応、気は遣っているのか?)
「ちょ、キモッ!なんでこっち見てんの、腐るじゃん。」
・・・
減ったなぁと、考え事をしていただけなんだがこれだ。
「あぁ、悪いな。」
普段なら「おう、腐れ腐れ。」とか言って言い合いに発展したりするのだが、何故か今はそんな気分にはならなかった。
「・・・?」
ヒナも拍子抜けしたのか、疑問顔をこちらに向けると、首を傾げながら自分の部屋へ移動していった。
しかし、麻璃亜ねぇ・・・。
悪い人ではない気がする。綺麗な人でもあるが、俺には今日の話しがいまいち納得できていない。本人にそれを言うつもりも無いけど。
俺の住所や名前を知っているのは、登録情報として参照出来る人から聞いた。管理者側というのが本当だとすれば、それは確かに可能なのだろう。それよりも、何故俺なのかという疑問が一番だな。
簡単な話し、俺よりも優れたプレイヤー、人としても良いプレイヤーなんていくらでも居るはずだ。オルデラで詰まったとしても、同じ場所まで進んでいるプレイヤーも当然多いはず。
管理者側からゲームをする事を依頼されている?そういう人が居ても不思議ではないと思うが、やはり行き着く先は俺である必要が何処にあるかというところだ。
(まぁ、詮索してもしょうがないか・・・)
正確に言えば、詮索なんか出来ない、だが。
話しからすれば、もう会うことも無いだろう。麻璃亜の話しが本当であれば、現実の俺を確認出来たわけだろ?だったらもう会う必要はないわけだ。後はゲーム内で合流するだけになるだろう。
不信が無いわけじゃないが、考えても答えは出そうにない。何か問題があれば、麻璃亜の方から離れていくだろうし。
そんな事を考えているうちに、晩飯の時間になっていた。
相変わらずの、温めるだけの晩飯を急いで食べる。急ぐ必要はないのだが、向かいで急いで食べている奴がいるので、釣られているだけだ。
「12-9からだよね。」
クエストLV12-9 隻眼の暁魔龍 討伐。
どうやらボスっぽい。というのも、12-10以降のクエストが、こいつを倒さないと解放されないっぽい。
「そうだな。」
戦ってみないとなんとも言えないが、勝てるかどうか。もし対策が必要なようなら、今日は先に進むことが出来ないかもしれない。
「12に入って、そこそこ装備も作ってきたし、行けるよね?」
敵の強さはオルデラほどじゃないにしろ、やはり新しい装備を作らないと、戦闘に時間が掛かるし被ダメも多い。それぞれの装備を作りながら進めると、話しの方はあまり進まない。
「多分、大丈夫じゃないか。」
そう言ってみるも、不安はある。どうしても、戦闘をしてみないと分からないところはあるから。それは今話してもどうにもならないので、言わないでおく。
俺とヒナは晩飯を食べ終わると、それぞれの部屋に移動してDEWSにログインした。既にアヤカ、タッキー、姫が入っていたので、合流してさっそくクエストに向かった。
-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-
「余計な事は言ってないだろうなー。」
紫煙を吐き出す黒咲に、禍月は疑いの眼差しを向けて言う。
「えぇ。当たり障りの無い理由で会って来ただけよ。」
(当たり障りが無さ過ぎて、気付くかもしれないけれど。)
黒咲は内心で付け足しておく。雪待に話した内容は、別に疑われないための話しを作ったわけではない。疑われても問題ない話しを作っただけであった。
「まぁ、それならいいけどなー。」
「私は話してしまっても問題ないのだけど。」
「やーめーろー。あたしはまだ消されたくないからなー。」
禍月は銜えていたプレッツェルを指で摘まんで口から外すと、黒咲を恨みがましい目で睨みつけながら言う。
「で、会ってみてやっていけそうなのか?」
「そうね。可愛かったわ。」
「誰がユアキスの感想を求めた・・・しかもあれが可愛いとか意味わからん。」
「大丈夫よ。それより、お願いがあるのだけど?」
黒咲はそう言うと、ニコっと微笑んで見せる。
「やだ。」
禍月は顔を逸らしてそれだけ言うと、プレッツェルを齧り始める。
「まだ何も言ってないでしょう。」
「まりあのお願いは大概面倒なんだよー。」
禍月は目を細めると、プレッツェルを黒咲に向けて言う。
「アリシア姫のレイピア、現物でしょ?」
黒咲は禍月の反応などお構いなしに話しを続ける。それを聞いた禍月はあからさまに嫌そうな顔をした。
「だーめーだ!どうせ私の短刀もとか考えたんだろー。」
「そうよ。」
「そうよじゃねー、一般プレイヤーが使用できない武器を使わせるわけにはいかない。」
「そんな事は分かっているわ。そうじゃないの。」
黒咲はそんな当たり前の事じゃないと言うと、笑みを消して考える素振りをする。当然、その態度に禍月も疑問を抱く。
「用意しておいて欲しいだけなの。別に使うつもりはないのだけど。」
「使うつもりが無いものを用意させるなー。」
禍月は目を細めて言い返すが、黒咲の言った内容に対し疑問が消えたわけではない。何故なら、無駄な事を黒咲はしないと知っているから。
「必要・・・なのか?」
「おそらく、としか言えないわ。あ、ちょっと待って電話・・・」
恐る恐る聞く禍月に、黒咲も真面目な表情で答える。
そこで黒咲が電話に出るが、禍月はそんな事はどうでもいいとばかりに、嫌な事を目の当たりにしたように、顔を歪めて考え始める。
「えぇ・・・はい・・・はい、明日からね・・・大丈夫よ・・・えぇ、ちゃんとお掃除するわ・・・」
「仕事か・・・」
断片的に聞こえていた黒咲の会話に、禍月は溜息を吐くように言った。
「そうね。でもこちらが本業だもの。」
そう言って苦笑する黒咲を見ると、禍月は本業の方が嫌そうだなと思えた。最近であれば、仮想は嫌い、ゲームは好きじゃないと言いつつも、笑みは嫌そうじゃなかったからだ。
「どれくらいだー?」
「2、3日よ。長期の仕事は、避けてくれてはいるみたい。」
「まぁ、こっちも依頼している手前、文句は言えないなー。」
仕方がないと、禍月も苦笑で返す。
「あ、そうだ。少しの間ログインできないって、晶社くんに連絡しなきゃ。」
「なんだその彼女みたいなノリはー。」
思い出したように言う黒咲に、禍月は呆れた視線を向ける。
「ほら、パーティに参加すると言ったのに、数日ログインしないなんて、気が引けるでしょう?」
「言われてみればそうか・・・」
監視、補助のために雪待のパーティに入り込んでもらったのに、ログインできない状況は不信を生む可能性があると禍月も納得する。
現状、それは望んでいない結果であるため、多少考え込む。
「番号がわかればなんとかなるだろー?」
「えぇ、メッセージ送るだけならね。」
禍月の言葉に、黒咲は笑みを浮かべて頷いた。
「じゃ、後で携帯に送っておくわー。」
「うん、ありがと。さて、私も帰って準備しなきゃなぁ。」
やはり、黒咲は本業の方の話しになると、笑みに何処か陰りがあるなと禍月には思えた。黒咲のそんな顔を見るのは、禍月にとっても面白くなく、出来れば避けたいと思わされた。
「あれ、何処かに行くのかい?」
そこへちょうど美馬津が現れる。会話が外に漏れていたのか、黒咲の言葉を継ぐように喫煙所に入ってきた。
「あっきーまで来たら、しゅにんが一人じゃないかー。」
「一応断っては来たよ。」
禍月は美馬津の問いを流すように、いつもの調子で話し出す。
「それより、禍月の方こそ喫煙所に居るなんて思わなかったよ。」
「そこの女が、喫煙所じゃなきゃやだーって我儘言うからしょうがないじゃん。」
「そこまで言ってないでしょう?貶めるのやめてよね。」
とは言うが、美馬津から見て二人とも楽しそうに言っているように見えた。
「じゃ、あたしはしゅにんのお守りに戻るわー。」
禍月はそれだけ言うと、反応を待たずに喫煙所を出る。出た直後から、険しい表情になった。
「短刀・・・か。」
少し前に話した黒咲の言葉を思い出し、小さく漏らす。
「嫌だな・・・まりあの勘は、まず当たるところが・・・」
禍月はそう呟きながら、監視室の方へ歩き出した。
「ちょっと、元の仕事がねぇ。」
「あ、西園寺さんのとこの?」
「そうなの。」
喫煙所に残った黒咲は、新たに来た美馬津の質問に答えた。禍月にはぐらかされたが、どうせ再度聞かれるだろうと思って。
「なんか、こっちもあっちもで大変だね。」
美馬津がそう言って苦笑すると、黒咲は身を屈めて下から美馬津を見上げる。
「だったら、戻ってきたら慰めてくれる?」
「いや、そういうのは・・・」
強調された胸の谷間から目を逸らし、美馬津は狼狽えながら言葉を濁した。
「ふふ、冗談よ。」
黒咲はそう言うと、元の姿勢に戻って煙草を吸い込む。上に向かって吐き出された紫煙は、広がって霧散していった。
「まったく、君は・・・」
その光景を見てから、美馬津は呆れて仕方がないと零す。
「留守の間、夢那のことよろしくね。」
「あぁ。」
黒咲は、美馬津の返事を聞くと、煙草の火を消して部屋を出て行った。美馬津はそれを見送ると、大きく吸い込んだ紫煙を、天井に向かって吹くように吐き出した。
・・・
「さぁ、あの木偶を倒したわたくしが必要と言いなさい。」
うるせぇ。
いつまで言い続けるつもりだ。
オルデラを倒してからというもの、毎日のようにアリシアが同じことを言ってくる。別にあてにはしてないのだが。
「あ、間に合ってる。次も雑魚なんで。」
実際雑魚じゃないんだが、敬遠しておく。この調子で毎度クエストに着いてこられても鬱陶しいだけだし。
「ユアキス、最近わたくしに冷たいんじゃありませんこと?」
「そんな事はまったくない。」
まぁ、断っても勝手に着いて来るんだが。実は、手を貸してくれとでも言われたいのだろうか。
・・・
いや、絶対に言ってやらん。さらに調子に乗りそうだし。
「マリア来ないね。」
「仕方ないですわ、待っていても始まりませんし、行きましょう。」
残念そうに言うタッキーとは別に、アヤカはうずうずしてしょうがないようだ。
「そうだな、来るか来ないか不明だし、とりあえず行くか。」
「なるべく、サポートは頑張りますね。」
「あぁ、頼む。俺も回復とか遅れないようにするわ。」
マリアが居ない分、姫が補おうとしているのだろう。そこに関しては俺も同じだ。
「あたしのために!」
「黙れ。」
月下が拳を作って力強く言うので突っ込んでおく。
「んだと、このアホ。」
「っ・・・」
蹴るのはやめてくれ。痛みは無いが、プレイヤーの身体がひるむので、視界が一瞬揺れる・・・。
それから、クエスト12-9に向かって、なんとか暁魔龍は倒す事が出来た。
時間も遅かったため、今日は倒した時点で解散となりログアウトした。
アイテムの確認や装備に関しては、各自やっている事なので、オルデラのような強敵でも現れない限りは、その辺を話し合う事も無い。
あるとすれば、武器特性によるSSSの連携についてくらいだろうか。
HMDを外して起き上がると、携帯に新規メッセージが届いているのが確認出来た。
俺の場合、よく来るのは中島くらいのものだが、たまに中学の友達から来たりもする。そこまで頻繁に利用していないので、利用頻度は多くない。
(どうせ中島なんだろうな。マリアどうしたんだろうねとか、くだらない内容でも送って来たんだろう。)
そんな事を思いながらメッセージを確認する。
『晶社くんごめーん。
別の仕事が入ったから、2、3日ログインできそうにないの。
私が居なくて寂しいと思うけど、上手くやっておいてね。
麻璃亜。』
・・・!
一瞬、携帯を投げようと思ったが、思いとどまった。壊れて困るのは自分だからだ。
どうやって俺のIDを知った?と思ってその行動に出ようとしたのだが、そもそも学校までいきなり来るような人だ。携帯番号だって知っているのだろう。まったく、昼間といい場合によっては訴訟案件だぞ。
にしてもだ。つまりこれ、俺に誤魔化しておけって事かよ・・・。今日も来ないねとか言われて、惚けられるだろうか。そっちの方が不安だな。
ってか寂しくねーよ!アホか!
しかし、なんか俺、いいように使われてないか?むしろ、何かに嵌められているような気さえしてきた。
よくよく考えれば胡散臭い話しだもんな。
・・・
が、返さないのも気分的に良くないから、一応返しておくことにした。
『わかった。気を付けてな。』
ふぅ、これでいいだろ。我ながら素っ気ない返事だと思ったが、気を遣う義理もないしな。
さて、寝よう。と思ったら、またメッセージが届く。
『まさか返事をくれるなって思わなかった。
嬉しい、ありがとう!
早く終わらせて戻るから、待っててね。』
・・・
なんだこれは・・・
だが一つ決めた事がある。もう返事はしない事にしよう。
そう心に決めて、俺はベッドに横たわった。
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しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
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