良薬口苦シ 婚約破棄されたので、病弱王子が寿命を減らしても薬師の私はもう知りませんよ?

西東友一

文字の大きさ
6 / 17
少女時代

出会い4

しおりを挟む
 この頃の私は、カッコつけだった。

 と言うか、あんまり人からの印象とかを気にせず薬のことばかり考えていた。

 だから、実験台という言葉も、薬にはあなたに多くの恩恵を運んでくれるけど、リスクやデメリットが伴うという意味で話をしていた。そんな言葉を初対面の人が聞けば、ふざけんなっ!って感じになるのも無理はない。

 でも、周りの大人たちの驚く顔を見るのも楽しかったので、ついついそんな言い方をしていた。まぁ、そのことが大人になっても尾を引いていて、トラブルの原因になっていることもあるけれど、あんまり後悔してない。

 だって、そんな自由な生き方が好きだから。

「せっかく元気になったのにやだよ・・・っ」

 ディアス王子は俯きながら答える。

「えー、じゃあ死ぬの?」

 私は怪訝な顔で下からディアス王子を見る。

「それは嫌だ・・・」

「死ぬか、実験台になるか、はっきりしてよ・・・まったく」

 まったく、と言いたいのはこっちだよと言う顔を王妃がしている。

「私の実験台になれば、私が実験台の間、ずぅーーーと、幸せにしてあげるっ。どう?」

「苦しく・・・ない?」

「『苦しく』はないわ」

 にがい思いはさせるけどね。私は目線を右上に逸らした。

「父上・・・」

 ディアス王子は不安そうな顔をして国王を見る。
 そんな王子を父親である国王は優しく見守る。

「お前を私は信じている。どんな苦難にも負けない王になれると」

 国王はディアス王子の手を包み込む。
 その手はとても温かそうで、魂を込めているような気がした。

「大丈夫ですよ、フローラ様は奇跡の幼女ですから」

 ギロッ

「ひっ」
 
 また兵士が失礼なことを言うので、私は振り返りながら睨む。

「ひっ」

 時間差でディアス王子も怖がる。どうやら私の睨んだ横顔が怖かったようだ。

(同い年なのに、情けないわね)

 もう一度、ディアス王子を睨むように見ると、汗を掻きだしている。あまり良くない状態だ。
 そろそろ決断してもらわないと、効き目が無くなってしまう。

「そっ」

「わかった・・・お願いします」

 私が言う前にディアス王子は頭を下げてきた。

「うん、よろしい。やればできるじゃん」

 私が満面の笑みを向けると、ディアス王子も弱々しくだけれど、嬉しそうに笑った。

「でも、私ができるのはもうないけどねっ」

「「「「「はぁっ?」」」」」」

 医師のお爺ちゃんや王妃、兵士はもちろん、さすがに弱っていたディアス王子も、そして、心にゆとりがあった国王ですらも驚き、怪訝な顔で私を見つめた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~

かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。 だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。 だめだ。 このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。 これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

婚約破棄宣言をされても、涙より先に笑いがこみあげました。

一ノ瀬和葉
恋愛
「――セシリア・エルディアとの婚約を、ここに破棄する!」 煌めくシャンデリアの下で、王太子リオネル殿下が声を張り上げた。 会場にいた貴族たちは一斉に息を呑み、舞踏の音楽さえ止まる。 ……ああ、やっと来たか。 婚約破棄。断罪。悪役令嬢への審判。 ここで私は泣き崩れ、殿下に縋りつき、噂通りの醜態をさらす―― ……はずだったのだろう。周囲の期待としては。 だが、残念。 私の胸に込みあげてきたのは、涙ではなく、笑いだった。 (だって……ようやく自由になれるんですもの) その瞬間の私の顔を、誰も「悪役令嬢」とは呼べなかったはずだ。 なろう、カクヨム様でも投稿しています。 なろう日間20位 25000PV感謝です。 ※ご都合注意。後日談の方を一部修正しました。

なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら
恋愛
侯爵家令嬢のミゼス・ワグナーは、何かあるとすぐに妹のリズのせいにして八つ当たりをした。 ある日ミゼスは、リズの態度に腹を立て、婚約者を奪おうとする。 リズはこれまで黙って耐えていた分、全てやり返すことにした……。

聖女は神の力を借りて病を治しますので、神の教えに背いた病でいまさら泣きついてきても、私は知りませんから!

甘い秋空
恋愛
神の教えに背いた病が広まり始めている中、私は聖女から外され、婚約も破棄されました。 唯一の理解者である王妃の指示によって、幽閉生活に入りましたが、そこには……

処理中です...