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第一章2人の未来(みく)
伏せられたフォトスタンド(前編)-Chiffonside
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それから、私は時々秀一郎さんのお宅に、料理とか細々としたものの作り方を習いに行くようになった。要するに花嫁修業。お姑さんとのご機嫌伺い以上に、私とお義母様はウマがあった。私の中にもしかしたら、実の親子だったのかもしれないと思う気持ちがあるのかもしれない。
「未来さんはそうじゃないんでしょうけど、私は母が苦手なの。別に血がつながってないわけでもないのにね……」
そんな私に、お義母様はそう言ってほほ笑んだ。
「ほんとに、海はお義母様が苦手だよね。お義母様は曲がったことの大嫌いな人でね、
その上、時々何もかも見えてるのかと思うようなことを言われてびっくりするんだ」
それに、お義父様がそう付け加える。今でも、デキ婚のことをチクチクと言われるみたい。
でも、実はお義父様のそんな一言を聞くまでもなく、私は秀一郎さんのお祖母様のことを知っている。
私はあれから、しょっちゅうもう一人の私の夢を見ていて、もう一人の私の実のお祖母ちゃんとして頻繁に登場していたからだ。確かに、クソ真面目でお小言は多かったと思う。
そんな冬のある日、その日は私が前から教わりたかった料理を作ることになっていたんだけれど、なんかだるい。風邪っぽいなとは思いながら、折角待ってくださっているのだしと、無理を押して私は結城家を訪れた。
それで、はじめのうちは良かったんだけど、そのうち本当に気分が悪くなってきた。
「未来さん、大丈夫? 何だか顔が赤いわ」
それをお義母様に感づかれてしまった。
「そうですか?ちょっと風邪気味ではありますけど」
私は気分が悪いとも言えずにそう答えて、床にあるに鞄を取って立ち上がろうとした時……
視界が回った。私は、気がつくと膝を付いて動けなくなっていた。
「未来さん!?」
お義母様が慌てて駆け寄って私の手を取った。
「未来さん、熱い」
そして、そういうと私のおでこに手を当てた。
「まぁ、すごい熱!」
私は熱を出していたようだった。でも、寒くはないし、気づかなかった。
「大丈夫です」
気づかないぐらいなんだから大したことない。私がそう言っても、お義母様は、
「ダメよ、無理しちゃ。とにかくこの時間はお医者様まだ開いてないから、夕方になったらタクシーででも一緒に行きましょう。とにかくしばらく横にならなくちゃ。今、解熱剤を用意するわね」
と言って慌てて薬箱を取りに走った。
「良いです。じゃぁ、今から家に帰ります」
横になるのなら、家に帰ってそうする方がと思って私がそう言うと、
「そんなことをして、もし途中で倒れでもしたらどうするの? 私、龍太郎にも秀一郎にもうんと叱られてしまうわ。頼むから、ここで休んで行って頂戴」
お義母様は解熱剤を私に渡しながら、口をへの字に曲げてそう返した。
そこまで言われてしまうと、無碍に帰ると言い張ることもできず、私は、渋々解熱剤を飲んでお義母様のベッドに横になった。そして、私は……いつしか眠ってしまったようだった。
「未来さんはそうじゃないんでしょうけど、私は母が苦手なの。別に血がつながってないわけでもないのにね……」
そんな私に、お義母様はそう言ってほほ笑んだ。
「ほんとに、海はお義母様が苦手だよね。お義母様は曲がったことの大嫌いな人でね、
その上、時々何もかも見えてるのかと思うようなことを言われてびっくりするんだ」
それに、お義父様がそう付け加える。今でも、デキ婚のことをチクチクと言われるみたい。
でも、実はお義父様のそんな一言を聞くまでもなく、私は秀一郎さんのお祖母様のことを知っている。
私はあれから、しょっちゅうもう一人の私の夢を見ていて、もう一人の私の実のお祖母ちゃんとして頻繁に登場していたからだ。確かに、クソ真面目でお小言は多かったと思う。
そんな冬のある日、その日は私が前から教わりたかった料理を作ることになっていたんだけれど、なんかだるい。風邪っぽいなとは思いながら、折角待ってくださっているのだしと、無理を押して私は結城家を訪れた。
それで、はじめのうちは良かったんだけど、そのうち本当に気分が悪くなってきた。
「未来さん、大丈夫? 何だか顔が赤いわ」
それをお義母様に感づかれてしまった。
「そうですか?ちょっと風邪気味ではありますけど」
私は気分が悪いとも言えずにそう答えて、床にあるに鞄を取って立ち上がろうとした時……
視界が回った。私は、気がつくと膝を付いて動けなくなっていた。
「未来さん!?」
お義母様が慌てて駆け寄って私の手を取った。
「未来さん、熱い」
そして、そういうと私のおでこに手を当てた。
「まぁ、すごい熱!」
私は熱を出していたようだった。でも、寒くはないし、気づかなかった。
「大丈夫です」
気づかないぐらいなんだから大したことない。私がそう言っても、お義母様は、
「ダメよ、無理しちゃ。とにかくこの時間はお医者様まだ開いてないから、夕方になったらタクシーででも一緒に行きましょう。とにかくしばらく横にならなくちゃ。今、解熱剤を用意するわね」
と言って慌てて薬箱を取りに走った。
「良いです。じゃぁ、今から家に帰ります」
横になるのなら、家に帰ってそうする方がと思って私がそう言うと、
「そんなことをして、もし途中で倒れでもしたらどうするの? 私、龍太郎にも秀一郎にもうんと叱られてしまうわ。頼むから、ここで休んで行って頂戴」
お義母様は解熱剤を私に渡しながら、口をへの字に曲げてそう返した。
そこまで言われてしまうと、無碍に帰ると言い張ることもできず、私は、渋々解熱剤を飲んでお義母様のベッドに横になった。そして、私は……いつしか眠ってしまったようだった。
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