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安永のトリカブト殺人事件 ~家基、新井宿への「死出の旅路」~
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家基はそれから表向へと戻り、西之丸奥医師の診察を受けた。鷹狩りに出向いても問題ないか、それを確かめる為であった。
診察に当たった奥医師だが、法印の吉田善正と法眼の岡甫菴壽考の2人であり、2人は「問題なし」と、太鼓判を押した。
かくして西之丸奥医師によるその健康診断に「合格」した家基は晴れて鷹狩りへと出向くことと相成った。
家基は唯一の西之丸老中、阿部豊後守正允と同じく西之丸若年寄の酒井飛騨守忠香に見送られて出立した。
家基を見送ったのはこの外に西之丸御側衆、その筆頭たる御用取次の水上美濃守興正や平御側の大久保下野守忠恕と本堂伊豆守親房、そして本丸より西之丸当番の奏者番、秋元但馬守永朝と、同じく西之丸当番の大目付、松平對馬守忠郷であった。
つまり西之丸若年寄からは酒井忠香の相役の鳥居丹波守忠意が家基の鷹狩りに扈従し、また西之丸御側衆からは筆頭の御用取次からは佐野右兵衛尉茂承と小笠原若狭守信喜が、平御側からは大久保志摩守忠翰が夫々、家基の鷹狩りに扈従した。
また奏者番からも、秋元永朝が西之丸当番として西之丸の留守を預かることから、相役の奏者番、井伊兵部少輔直朗が扈従することになった。
大目付もまた、松平對馬守忠郷が西之丸当番として西之丸の留守を預かる為に、相役の伊藤志摩守改め伊勢守忠勸が扈従することになった。
ちなみに今日21日は評定所の式日にも当たり、大目付も1人が出廷することになっており、そこで大屋明薫が出廷していた。
また番方、武官に目を転じてみれば、その殆どが清水家、或いは田沼家所縁の者で占められていた。
無論、完全に一橋家所縁の者を排除することは不可能だが、しかし殊、両番に限って言えば清水家、並びに田沼家所縁の者で占められていた。
それは両番、小姓組番と書院番、この両方の番は武官、番方の中でもとりわけ、将軍、或いは次期将軍に近かったからだ。
同じことは小納戸頭取や小納戸、それに奥医師にも当て嵌まることであった。
こうして家基一行が鷹狩りへと、本日の鷹場である新井宿へと出立したのが朝五つ(午前8時頃)のことであった。
鷹狩りには御膳奉行も随行する。鷹狩りともなると喉が渇き、そこで喉を潤わせる為の水、それを入れた水筒を携帯するのが御膳奉行であり、且つ、頃合を見計らい、水を勧めるのもまた、御膳奉行の仕事であった。
本日の家基の鷹狩りに扈従したその御膳奉行、西之丸御膳奉行は神谷與市郎久武であった。
神谷與市郎は家基一行が鷹狩りに出立してから四半刻(約30分)後の午前8時30分頃にまず、家基に「水」を勧めた。
家基は基本的に家臣からの勧めとあらば、余程のことでもない限り断らないので、その「水」を呑んだ。
診察に当たった奥医師だが、法印の吉田善正と法眼の岡甫菴壽考の2人であり、2人は「問題なし」と、太鼓判を押した。
かくして西之丸奥医師によるその健康診断に「合格」した家基は晴れて鷹狩りへと出向くことと相成った。
家基は唯一の西之丸老中、阿部豊後守正允と同じく西之丸若年寄の酒井飛騨守忠香に見送られて出立した。
家基を見送ったのはこの外に西之丸御側衆、その筆頭たる御用取次の水上美濃守興正や平御側の大久保下野守忠恕と本堂伊豆守親房、そして本丸より西之丸当番の奏者番、秋元但馬守永朝と、同じく西之丸当番の大目付、松平對馬守忠郷であった。
つまり西之丸若年寄からは酒井忠香の相役の鳥居丹波守忠意が家基の鷹狩りに扈従し、また西之丸御側衆からは筆頭の御用取次からは佐野右兵衛尉茂承と小笠原若狭守信喜が、平御側からは大久保志摩守忠翰が夫々、家基の鷹狩りに扈従した。
また奏者番からも、秋元永朝が西之丸当番として西之丸の留守を預かることから、相役の奏者番、井伊兵部少輔直朗が扈従することになった。
大目付もまた、松平對馬守忠郷が西之丸当番として西之丸の留守を預かる為に、相役の伊藤志摩守改め伊勢守忠勸が扈従することになった。
ちなみに今日21日は評定所の式日にも当たり、大目付も1人が出廷することになっており、そこで大屋明薫が出廷していた。
また番方、武官に目を転じてみれば、その殆どが清水家、或いは田沼家所縁の者で占められていた。
無論、完全に一橋家所縁の者を排除することは不可能だが、しかし殊、両番に限って言えば清水家、並びに田沼家所縁の者で占められていた。
それは両番、小姓組番と書院番、この両方の番は武官、番方の中でもとりわけ、将軍、或いは次期将軍に近かったからだ。
同じことは小納戸頭取や小納戸、それに奥医師にも当て嵌まることであった。
こうして家基一行が鷹狩りへと、本日の鷹場である新井宿へと出立したのが朝五つ(午前8時頃)のことであった。
鷹狩りには御膳奉行も随行する。鷹狩りともなると喉が渇き、そこで喉を潤わせる為の水、それを入れた水筒を携帯するのが御膳奉行であり、且つ、頃合を見計らい、水を勧めるのもまた、御膳奉行の仕事であった。
本日の家基の鷹狩りに扈従したその御膳奉行、西之丸御膳奉行は神谷與市郎久武であった。
神谷與市郎は家基一行が鷹狩りに出立してから四半刻(約30分)後の午前8時30分頃にまず、家基に「水」を勧めた。
家基は基本的に家臣からの勧めとあらば、余程のことでもない限り断らないので、その「水」を呑んだ。
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