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「あさひくん、どう?」
「すみません、ゴホゴホ…佐竹さん」
僕は昨日から風邪をひいてしまい熱も出てしまったので佐竹さんに看病してもらってる。
「あさひくん今日はごめんね。どうしても抜けれない会議があって…立花さんが来たら病院連れてってもらおうね」
「いえ…病院は大丈夫です。寝てれば治ると思うし…1人で大丈夫ですゴホゴホ」
「何言ってるの市販薬じゃ改善されてないし、ちゃんと病院行った方がいいと思うから。しっかり治そうね。みんなに甘えてもいいんだよ。だから気にしなくていいからね」
僕は、どうしてこうみんなに迷惑かけてしまうんだろう…最近PTSDの症状は少しずつ改善してきたと思ったが一昨日、制服姿の男の子を見た時に発作が起きてしまい、立花さんに迷惑かけてしまった。そしてその後、風邪をひいたのか熱で寝込むことになるなんて…本当にダメダメだな。
「あさひ、どうだ?」
「立花さん、迷惑かけてすみません」
「すみませんじゃなくて、ありがとうだろ?気にしなくていいから。今は風邪を治すことを考えろ。食欲はあるか?」
「立花さん、あさひくん昨日の夜から食べれないの。食べても吐いちゃうし…」
「これから病院、連れて行ってきます」
「じゃあ僕は行ってくるのでよろしくお願いします」
佐竹さんは仕事に行ってしまった。
「あさひ、病院行こうか?起きれるか?」
立花さんに起きるのを手伝ってもらって病院に行った。少し脱水してるので、点滴してもらい薬をもらって帰ってきた。
「あさひ少し寝れるか?点滴してもらったから無理して食べなくてもいいし」
「立花さん、しんどいので寝ます。おやすみなさい」
「ずっといるから。ゆっくり寝て早く元気になれ」
立花さんの大きな手が頭を撫でてくれる。
やっぱり…この手は安心する。そう思ったら、おでこに少し冷たいものが触れた。僕は気にせずそのまま眠ってしまった。
どのくらい寝たのか…朝よりは身体がスッキリして目が覚めた。
カーテンが閉まっていて昼なのか、夜なのか…わからないけど、寝るときまでここにいた立花さんの姿はない。その代わりに立花さんの香りはする。
急に僕は寂しくて…怖くなった。
どうして誰もいないの…どうして1人なの「立花…さん」
すると足音がして立花さんが入ってきた。
「あさひ目が覚めた?どうした?どこか辛いのか?」
知らずに涙が溢れていた僕を見てティッシュで涙を拭いてくれた。
「水分取ろうか?今、持ってくるから」
立ち上がって部屋を出る立花さんの服を思わず握ってしまった。
「あさひ?どうした?」
思わず立花さんに抱きついた。
立花さんの匂いがする。安心できる匂いだ。
「あさひ、どうした?」
「少しこのままでいいですか?」
「いいよ」そう言って振り向いて真正面からさっきよりも強く抱きしめてくれた。
どのくらいそうしてたのだろう。
自分の気持ちも落ち着いてきた。
そっと身体を離すと目があった。
「あさひ、俺はこれからどんなことからもあさひを守るから安心しろ。」そう言っておでこにキスをしてくれた。あっさっきも感じたおでこに触れたものは立花さんがキスしてくれたんだ。
そう思った途端、熱ではない疼きが上がってくる感じがした。
「あ…さひ?なんで今…」
立花さんの焦ってる声がした。でも僕は立花さんに抱きついた。
「あさひ…匂いが強くなってきた。もしかしてヒートか?薬どこにある」抱きついてた僕の体を引き剥がし引き出しを開ける音がする。
ヒート…僕…ヒートになったの?
この前みたいに辛い思いをするの?それは無理だ…あんな失態、立花さんに見せられない。万が一立花さんがラットになってしまったら、まだ番になるなんて考えてないのに、いくら運命の番だって言ったって、僕にはまだ番になるなんて考えていない。
だって僕は…立花さんには釣り合わないから。
「あさひ、これ飲んで」
そう言われて差し出されたものはヒート抑制剤と水だった。
「立花さん、すみません」
「あぁ…大丈夫。今、春樹を呼んだから。俺は一緒にいられない。あさひはまだ俺と番にはなりたくないだろ?あさひの気持ちが俺に向くまで俺は我慢するから、心配しなくていいから」
「僕は……立花さんには釣り合わないから」
「ん?釣り合わないって何?」
「僕みたいに、親もいない、仕事もできない、1人で外にも出れない。僕はダメダメなんです」
「そんなことない。今だって頑張ってるだろう?買い物にだって行けるようになったし、晩飯だって最初の頃より上達しただろ。ごめん、俺ちょっと無理だから外にいるから、春樹が来たら帰るから」
ドアを開けて立花さんが出ていく姿をベッドの上が見ていた。
バタンとドアの閉まる音がした。
行っちゃった。
またあのヒートを1人で乗り越えるのか、でも前よりは全然大丈夫な気がしたというか、ヒートだったの?というくらい僕の身体の熱は冷めていくのがわかった。
もしかしたら…立花さんに抱きついたから?キスしてもらったから?でも僕は急に眠気に襲われてそのまま眠ってしまった。
「すみません、ゴホゴホ…佐竹さん」
僕は昨日から風邪をひいてしまい熱も出てしまったので佐竹さんに看病してもらってる。
「あさひくん今日はごめんね。どうしても抜けれない会議があって…立花さんが来たら病院連れてってもらおうね」
「いえ…病院は大丈夫です。寝てれば治ると思うし…1人で大丈夫ですゴホゴホ」
「何言ってるの市販薬じゃ改善されてないし、ちゃんと病院行った方がいいと思うから。しっかり治そうね。みんなに甘えてもいいんだよ。だから気にしなくていいからね」
僕は、どうしてこうみんなに迷惑かけてしまうんだろう…最近PTSDの症状は少しずつ改善してきたと思ったが一昨日、制服姿の男の子を見た時に発作が起きてしまい、立花さんに迷惑かけてしまった。そしてその後、風邪をひいたのか熱で寝込むことになるなんて…本当にダメダメだな。
「あさひ、どうだ?」
「立花さん、迷惑かけてすみません」
「すみませんじゃなくて、ありがとうだろ?気にしなくていいから。今は風邪を治すことを考えろ。食欲はあるか?」
「立花さん、あさひくん昨日の夜から食べれないの。食べても吐いちゃうし…」
「これから病院、連れて行ってきます」
「じゃあ僕は行ってくるのでよろしくお願いします」
佐竹さんは仕事に行ってしまった。
「あさひ、病院行こうか?起きれるか?」
立花さんに起きるのを手伝ってもらって病院に行った。少し脱水してるので、点滴してもらい薬をもらって帰ってきた。
「あさひ少し寝れるか?点滴してもらったから無理して食べなくてもいいし」
「立花さん、しんどいので寝ます。おやすみなさい」
「ずっといるから。ゆっくり寝て早く元気になれ」
立花さんの大きな手が頭を撫でてくれる。
やっぱり…この手は安心する。そう思ったら、おでこに少し冷たいものが触れた。僕は気にせずそのまま眠ってしまった。
どのくらい寝たのか…朝よりは身体がスッキリして目が覚めた。
カーテンが閉まっていて昼なのか、夜なのか…わからないけど、寝るときまでここにいた立花さんの姿はない。その代わりに立花さんの香りはする。
急に僕は寂しくて…怖くなった。
どうして誰もいないの…どうして1人なの「立花…さん」
すると足音がして立花さんが入ってきた。
「あさひ目が覚めた?どうした?どこか辛いのか?」
知らずに涙が溢れていた僕を見てティッシュで涙を拭いてくれた。
「水分取ろうか?今、持ってくるから」
立ち上がって部屋を出る立花さんの服を思わず握ってしまった。
「あさひ?どうした?」
思わず立花さんに抱きついた。
立花さんの匂いがする。安心できる匂いだ。
「あさひ、どうした?」
「少しこのままでいいですか?」
「いいよ」そう言って振り向いて真正面からさっきよりも強く抱きしめてくれた。
どのくらいそうしてたのだろう。
自分の気持ちも落ち着いてきた。
そっと身体を離すと目があった。
「あさひ、俺はこれからどんなことからもあさひを守るから安心しろ。」そう言っておでこにキスをしてくれた。あっさっきも感じたおでこに触れたものは立花さんがキスしてくれたんだ。
そう思った途端、熱ではない疼きが上がってくる感じがした。
「あ…さひ?なんで今…」
立花さんの焦ってる声がした。でも僕は立花さんに抱きついた。
「あさひ…匂いが強くなってきた。もしかしてヒートか?薬どこにある」抱きついてた僕の体を引き剥がし引き出しを開ける音がする。
ヒート…僕…ヒートになったの?
この前みたいに辛い思いをするの?それは無理だ…あんな失態、立花さんに見せられない。万が一立花さんがラットになってしまったら、まだ番になるなんて考えてないのに、いくら運命の番だって言ったって、僕にはまだ番になるなんて考えていない。
だって僕は…立花さんには釣り合わないから。
「あさひ、これ飲んで」
そう言われて差し出されたものはヒート抑制剤と水だった。
「立花さん、すみません」
「あぁ…大丈夫。今、春樹を呼んだから。俺は一緒にいられない。あさひはまだ俺と番にはなりたくないだろ?あさひの気持ちが俺に向くまで俺は我慢するから、心配しなくていいから」
「僕は……立花さんには釣り合わないから」
「ん?釣り合わないって何?」
「僕みたいに、親もいない、仕事もできない、1人で外にも出れない。僕はダメダメなんです」
「そんなことない。今だって頑張ってるだろう?買い物にだって行けるようになったし、晩飯だって最初の頃より上達しただろ。ごめん、俺ちょっと無理だから外にいるから、春樹が来たら帰るから」
ドアを開けて立花さんが出ていく姿をベッドの上が見ていた。
バタンとドアの閉まる音がした。
行っちゃった。
またあのヒートを1人で乗り越えるのか、でも前よりは全然大丈夫な気がしたというか、ヒートだったの?というくらい僕の身体の熱は冷めていくのがわかった。
もしかしたら…立花さんに抱きついたから?キスしてもらったから?でも僕は急に眠気に襲われてそのまま眠ってしまった。
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