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サバゲーの頂点に立ちたいでしょう?

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 ゲームはすべて終わり、結局散り散りになっていた部はすべて併合された。

「本日から、あなたたちには全国大会を目指すために働いてもらうわ」

 集められた、サバイバルゲーム部の部員。総勢五十名。

 全隊の指揮官として、部長の珠希が前に立って演説をしている。

 元々彼女の方針に従えずに、各々部を作っていた者がほとんどである。当然士気は低い。

「全国大会って、あるんですか?」

 後ろの方に並んだ音羽たち。はじめてひと月程度の音羽には、知らないことが多い。

「高校の体育連盟に加入してる訳じゃないカラ、公式じゃないデスケドネー」

 先日の校内対抗戦以来、ずっと微妙な表情をしている尋が答えた。

「玩具銃射撃連盟っていうのが母体。そこの主催でやってるネー」

「はぁ……」

 正直よくわからないが、ちゃんとした組織があるらしい。

「一般の部と学生の部があって、前回大会では四十校近くが参加したネー」

「四十……」

「Oh yeah. 四十ネー。その中で、この学校は七位だったネーー」

「七位!?」

「今年は優勝を盗るわよ」

「うひい!?」

 突然の声に、びくっと肩を跳ね上げた尋は、声の方向を見る。

「このちょんまげ。人が話しているのに、良いご身分ね」

 ガシッと尋のポニーテールを鷲掴みにして、がくがくと引っ張る。

「Oh my god! help! help my!」

 頭を押さえてしゃがみこむ尋。そしていきなり手を離す。

「今年こそ優勝よ。そのためにこうして全員を集結させたのだから」

 とは言え、現状を良く思っている者は多くなさそうだ。

 その周囲の人間を見渡して、珠希は胸を張ってつっと顎を持ち上げた。

「私は勝ちたいの。一度きりの人生だもの。この国の頂点、なりたいとは思わない?」

 轟然と、さもこれから国でも滅ぼしにいかんとでも言うような態度。

「わたくしはなりたい。自分の全てを賭して、頂点に立ちたい。だから、力を貸して欲しいの」

 屹然とした態度。さも協力するのが当たり前だと言わんばかりの言い草に、半数近くの面子が失笑に近い表情を作った。

「べつに協力したくないのなら――」

「たまチャン。そんな言い方ではNon non! 誰もついてこないネー」

 言葉を続けようとする珠希を、尋が制した。

「じゃあ、なんて言えばいいのかしら?」

 イラついた声。それに眉尻を少し下げた尋は、くるりと背を向けた。

「Hi みんな! たまチャンもこう言ってるシー。ちょっとやってみヨーヨー?」

 賛同する声はない。

「みんなサバゲー楽しいネー? もう一回やりたいヨー。ウチはみんなとまたゲームしたいだけダヨー!」

 それでも楽しそうに、尋は話し続ける。

「やっぱり大人数の方が、ゲームって楽しいデスネー?」

 尋の言葉に、何人かがどうする? と耳打ちしあっている。

「先輩は、どうしてその女と組めるんですか?」

 誰かが、叱責のような気迫で、声を上げた。それに賛同するつぶやきもある。

「What fo it?」

「去年の大会で、先輩、その女にフレンドリーファイアされたんじゃないんですか?」

 ふと音羽の脳裏に、以前見た動画を思い浮かんだ。

 そして尋も思い出したように、ああとつぶやいた。

「ウチはなんとも思ってないネー。FFなんてよくあることヨー。そんなの気にしてたら、ゲームは楽しめないネー」

 にっこり笑み、両手を広げた。
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