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外にいる明らかに人間ではない者たち。それに厚い雲と霧に覆われた神秘的な山の中。ここが異界だと直ぐに理解出来る空気が漂っている。
珠音の頭は混乱していたが、そんなに酷いものではない。理由は小さい頃から妖の類が見えていたから。だが、彼らが住む『場所』に来たのは初めてだ。それにはかなり動揺している。
「お前が悪いわけやない。運命や、運命。せやけど、木葉がお前をあの場所から連れ出さへんかったら、いまだにあそこで魑魅魍魎に犯されて喰われているぞ。感謝しろよ」
やはり彼の方言が鼻につく。珠音の周囲には彼のような関西弁を話す人物はいなかった。バラエティー番組の人だけが話す言葉。そして両親は、珠音から関西弁を話す人物をあからさまに遠ざけていた。近所にいれば引越しまでしていた程だ。京都出身の両親だったが、完全に標準語をマスターして使っていたのだから。
関西弁は「使ってはいけないもの」として、珠音の中で認識されていった。
「鞍馬天狗さん。私は貴方の関西弁が苦手よ。いや、嫌いだわ!」
珠音は声を張り上げるのと同時に立つ。すると、履いていたタイトスカートが破れていることに気がついた。ストッキングも電線が複雑に入っているではないか。これは蔵に籠る前に鞍馬にやられた痕。ブラウスもボタンが外れており、下着が隙間から見えている。それを確認すれば、怒りが沸々と込み上げてきた。
「ボーナスで買ったブランドの服が……!」
強引な鞍馬のおこないが頭の中で蘇る。目を覚ました珠音にキスをし、乱暴に服を脱がし出して、当たり前のように下着の中に手を入れてきたのだから。そして「やっと番がきた。さあ孕むまで子作りや」と意味の分からない言葉を珠音に浴びせ、人間よりも大きな身体で覆いかぶさってきた。珠音の視界は完全に塞がれる。
その全てが理解不能で、珠音は大声を上げてその場から逃げ出した。そして散々逃げ回り、見つけた蔵へ潜り込んだのだ。
「……嫌いやって? アホ言うな。お前は俺の番やって言うたやろ? 俺の子を孕んで産むのがお前の存在理由や。昔から決まっとる理(ことわり)じゃ。ええから出てこい!」
耳をつん裂く爆音の後、扉が左右にバンッと開く。そして外気が大量に室内に流れ込んだ。湿った空気から、天気は雨だとわかる。その突風の勢いに目を閉じる珠音だったが、瞬時に自分が鞍馬に抱き抱えられたことに気が付く。そう、身体が宙に軽々と浮いたからだ。
「もう限界や。はい、時間切れ~。かくれんぼはお終い」
「やだ……! 離して!」
「うるさいわ! こ、こら。おい! 暴れるな」
鞍馬の逞しい腕の中で抱きしめられたが、ここで大人しくしてしまうと、規格外の大きさの男に子供ができるまで犯され続けることになる。しかも半日前に会ったばかりの男。そして人間ではない生き物。そんな状況は避けたい。なんとしても。
珠音は動かせるだけ手足を振り回した。しかし大きな体躯の鞍馬には効かないようで、拘束は全く解かれない。寧ろ更に抱きしめられていく。
すると腕に鞍馬の長く黒い髪が絡まる。それは意思を持った生き物のように、身体を這いずり回ってきた。
珠音の頭は混乱していたが、そんなに酷いものではない。理由は小さい頃から妖の類が見えていたから。だが、彼らが住む『場所』に来たのは初めてだ。それにはかなり動揺している。
「お前が悪いわけやない。運命や、運命。せやけど、木葉がお前をあの場所から連れ出さへんかったら、いまだにあそこで魑魅魍魎に犯されて喰われているぞ。感謝しろよ」
やはり彼の方言が鼻につく。珠音の周囲には彼のような関西弁を話す人物はいなかった。バラエティー番組の人だけが話す言葉。そして両親は、珠音から関西弁を話す人物をあからさまに遠ざけていた。近所にいれば引越しまでしていた程だ。京都出身の両親だったが、完全に標準語をマスターして使っていたのだから。
関西弁は「使ってはいけないもの」として、珠音の中で認識されていった。
「鞍馬天狗さん。私は貴方の関西弁が苦手よ。いや、嫌いだわ!」
珠音は声を張り上げるのと同時に立つ。すると、履いていたタイトスカートが破れていることに気がついた。ストッキングも電線が複雑に入っているではないか。これは蔵に籠る前に鞍馬にやられた痕。ブラウスもボタンが外れており、下着が隙間から見えている。それを確認すれば、怒りが沸々と込み上げてきた。
「ボーナスで買ったブランドの服が……!」
強引な鞍馬のおこないが頭の中で蘇る。目を覚ました珠音にキスをし、乱暴に服を脱がし出して、当たり前のように下着の中に手を入れてきたのだから。そして「やっと番がきた。さあ孕むまで子作りや」と意味の分からない言葉を珠音に浴びせ、人間よりも大きな身体で覆いかぶさってきた。珠音の視界は完全に塞がれる。
その全てが理解不能で、珠音は大声を上げてその場から逃げ出した。そして散々逃げ回り、見つけた蔵へ潜り込んだのだ。
「……嫌いやって? アホ言うな。お前は俺の番やって言うたやろ? 俺の子を孕んで産むのがお前の存在理由や。昔から決まっとる理(ことわり)じゃ。ええから出てこい!」
耳をつん裂く爆音の後、扉が左右にバンッと開く。そして外気が大量に室内に流れ込んだ。湿った空気から、天気は雨だとわかる。その突風の勢いに目を閉じる珠音だったが、瞬時に自分が鞍馬に抱き抱えられたことに気が付く。そう、身体が宙に軽々と浮いたからだ。
「もう限界や。はい、時間切れ~。かくれんぼはお終い」
「やだ……! 離して!」
「うるさいわ! こ、こら。おい! 暴れるな」
鞍馬の逞しい腕の中で抱きしめられたが、ここで大人しくしてしまうと、規格外の大きさの男に子供ができるまで犯され続けることになる。しかも半日前に会ったばかりの男。そして人間ではない生き物。そんな状況は避けたい。なんとしても。
珠音は動かせるだけ手足を振り回した。しかし大きな体躯の鞍馬には効かないようで、拘束は全く解かれない。寧ろ更に抱きしめられていく。
すると腕に鞍馬の長く黒い髪が絡まる。それは意思を持った生き物のように、身体を這いずり回ってきた。
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