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常盤様に無双されました ★

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 常盤様と舌を絡めるようなキスをするのは初めてだったが、正直元彼とした乱暴なだけのキスとは雲泥の差だった。とにかく優しい。歯列をそっとなぞるように舌が動き、私の舌を絡め取るそれは、あくまでも私の意思を尊重するように柔らかく動く。
 これが二千年の色事経験者の歴史なのか。私などアマチュアもいいところである。

「……んんっ」

 薄手のガウンを着て抱き締められていたままだった筈の私は、いつの間にか下着だけになっていた。日本から持ち込んだブラジャーとパンティーである。
 神の手かと思う素早さで私の方が慌ててしまった。

「どうしたんだいナノハ?」
「いえ、いつの間に服が、と。あと……すみません貧乳で」
「馬鹿だねえ、乳の大きさで愛情は変わるものなのかい? それに前から一緒に眠っていたのだから知っているさ」
「あ、そうでしたね」
「それに、日本の下着というのは女性の体を美しく見せるものだねえ繊細で。この国でも作りたいものだね」
「……まじまじと見られると恥ずかしいので……」
「おや。これからもっと恥ずかしい事をするのに?」
「それはそうですけれども」
「ところでこれはどうやって外すんだい?」
「あ、後ろのホックのところをずらすと外れます」
「なるほどね」

 あ、と思った時には外されて脱がされてしまった。

「綺麗な肌に傷をつけたくなかったからどうやって脱がせばいいのかと考えていたんだけれど、思ったより簡単だったね。もう下も脱がしてしまおうか、ナノハの全部を見たいから」
「ちょっ」

 素っ裸を男性に晒すのは人生で三人目だ。うち一人は小さい時で父だけれど。

「あっ」

 内心の照れをどうしたものかと思い、手で胸を隠したら速攻でどかされ、乳首が常盤様の口に含まれ、柔らかな舌でまさぐられる。

「ナノハは結構感じやすい方なのかい? もう頂きが勃ち上がっているよ」
「そ、んなに経験をこなした訳ではないので、分かりませんけど」
「……そうか。多分絶頂を味わった事がないんだね。良かったよ、前の男が女の扱いが下手だったせいで、私が初めて気持ちよくしてあげられる男になれるねえ」

 常盤様は嬉しそうに微笑むと、舌なめずりをして、文字通り私の体中を触り、舐め回し出した。人によって気持ちのいい所というのは差があるようで、私の場合は乳首と耳の後ろに鎖骨、それにおへその辺りらしい。乳首以外は舐められた事もないが、確かに体がぞわぞわとするが不快ではない。
むしろ段々体が熱くなって来てしまい、今まで感じた事がないもっともっとというねだるような気持ちが湧いて来てしまい途方に暮れる。私はそんなにエッチな事が好きだった訳じゃなかった筈なんだけど。

「ナノハのここは、もういい匂いがするね。愛液が零れて来ている」

 そっと指を充てられると体がびくりと反応してしまった。

「ああ可愛いねえ。ナノハの初めての男でないのが本当に残念だけど、最後の男になるからそっちの方がいいね」

 くすくすと笑うと、いきなり私の股間にあの美しい顔を埋めて指や舌を使い出した。

「常盤様、そんなところ汚いですから!」

 言いながらも敏感なところに舌を這わされると私も力が入らなくなってしまう。ビリビリとした刺激が体を襲い、おかしくなりそうだ。

「汚くないよ。ナノハはどこもかしこも綺麗だね。──でもさ、その丁寧な口調は一体いつになったら止めてくれるんだい? まあ癖なんだろうけれどね、せめて夫の名前ぐらいは呼び捨てにしておくれよ」
「と、常盤?」
「……ああ、いいねえ。夫婦っぽいじゃあないか。より親しくなった感じで心が暖まるね」
「ひゃっ! もう無理ですから、なんか変な感じになります」
「ん? ここだね? ここが気持ちいいかい? ナノハの気持ちがいい所は全部覚えておかないとねえ」
「んんんっっ!」

 執拗に同じ辺りを責められて、気持ちよさが限界に来そうになった途端にふわっと体が浮き上がるような感覚がした。目の前がチカチカして心臓がやたらとバクバク鳴っている。

「……おや、もうイってしまったのかい? 物凄く指を締め付けているよ」
「っ……これがイくって事なんですか……お、驚きました」
「これからは慣れるだろうよ」

 常盤様が自分のガウンを脱ぐと、私も直接常盤様の裸を見るのは初めてだったと気付いた。
 股間にうっかり目をやってしまい、どう考えてもサイズ感がおかしいナニに目が止まってしまう。私の手首位はあるんだけれど。

「嫌だねえ余りジロジロとみるものじゃないだろう? 恥ずかしいじゃないか」
「いや、それはちょっと大きすぎるから無理だと思います」
「普通だよ普通。みんなこんなものだろうよ」

 ……そうなの? という事は、元彼は極小サイズだったの? あんなに痛かったのに?
 私の中で疑問が渦巻く中、常盤様がナニをゆっくりと私の膣にこすりつけ、ゆっくりと挿入って来た。みちみちと音がしそうなほど広がっている気がする。苦しいが思った以上に辛くはない。

「……くっ、狭いねえナノハの中は。ああでも愛する女とするのはこんなにも気持ちがいいんだねえ。ようやくナノハが本当の妻になったような気がするよ」
「……私も常盤さ、常盤の妻になった気がして嬉しいです。愛してます」
「私も愛しているよ。これからも一生ナノハだけだよ」

 ゆっくりと抽送をする常盤様は私の手を取り唇をあてた。

「っは、あっ」

 苦しかった筈の体の異物が、深く突かれる内にまたさっきの体が浮き上がるような感覚がやって来た。

「常盤、も、無理、チカチカしそう」
「いいよ、おイき。私も長くもちそうにないから」
「んんんっっ!」

 ばっと視界が真っ白になって、息が止まりそうなほどの快感が駆け抜けた。
 私の中でどくっどくっと脈を打つものを感じた。

「……駄目だね。久しぶり過ぎて、ナノハを悦ばせるより自分の快感を優先させてしまった。ごめんよナノハ、余りに気持ち良くてつい思いきり動いてしまった」

 少し荒い息をしながら常盤様が私の頭を撫でた。

「でも、気持ち良かったですよ。初めてです、そんな風に思ったのは」
「そうかい? じゃあ次はもっと気持ちよくしてあげるよ」
「……え?」
「まさか一度や二度で終わるなんて思っていないだろう? 夜はこれからだよナノハ」

 ……あれ、確か一度出すと男の人は萎えるんじゃなかった? 何でまだガチガチなの?
 常盤様は器用に私をくるりと自分のモノを挿れたまま引っくり返すと、

「背後からが好きな女性もいるそうだけど、ナノハはどうかねえ」

 などと言いながらまた抽送を始めた。

「んゃっ、ゃんっ」


 おじいちゃんはおじいちゃんではなかった。
 そのままぶっ通しで抜かずの五連戦をした上で、挿れたまま眠るという暴挙に走り、目覚めた瞬間からまた動き出すという恐ろしい体力を見せた。
 食事も全て自分が用意をし、私に食べさせて、足腰が立たなくなって来た私をお風呂に連れて行き丁寧に洗い清め、さらに風呂場で致すという絶倫ぶりである。
それが三日も続き、流石に本当に死ぬかも知れないと思った辺りでようやく黒須さんが内装工事が終わったと知らせに来てくれた。

 これで一安心だと思っていたら、防音工事は政治的な話をする為ではなく閨の声を周りに聞かれないようにするのがメインなんだよと常盤様に自慢げに打ち明けられ、月の障りの時以外は毎晩のように抱きつぶされる羽目になった。

 段々と私も体力がついてしまい朝から普通に動けるようになったので、疲れるから毎日は止めて欲しいとは言い出せなくなったのが現在の悩みである。
 でも、毎日それはそれは楽しそうに食事を作り、仕事に向かう常盤様を見ていると私も幸せなので、常盤様の常盤様が常盤様したいのであれば多分一生断る事はないんだろうな、と思う。


 千里長屋に戻って美弥さんや琴音さんと抱き合い再会を喜びながら、合気道の稽古も再び始めるようになった。父はと言うと、黒須さんが男性向けの合気道の道場を長屋の近くの空き地に建ててくれ、そこで合気道を教える事になった。あのコワモテはこちらではそんなに威圧感を覚えないのか、シタラ先生シタラ先生と生徒さんには懐かれている。

 そして、東雲さんの思いはどうやら本気らしく、せっせと父の所に通ってはご飯や掃除をしてアピールしていたが、父の方が実は料理も掃除も上手だと言うのが分かり、教えて貰う方向にシフトしたらしい。師範と弟子の禁断の恋というのも燃えるとますます熱が上がっている。

 あの子狐たちは相変わらずちょろちょろと父の所に遊びに行ってはご飯を食べて一緒に寝ていたりするらしい。
 一緒に風呂に入れないのが不便だよなあ、と私と同じような事を呟いていたので、常盤様と相談して父と私たちの家で使う内風呂をそれぞれ作った。
 ちょっと汗をかいてもすぐに入れる内風呂というものの便利さを長屋の人間も知ってしまい、全部に工事をするには建物自体が密集しているので難しいなと黒須さんに相談したら、使っていない二軒の家を壊してそれぞれ時間制の家族風呂を作ってくれた。使いたい家が看板を順番に並べてかけておいて、一組が終わったら出た事を次の一家に伝えるという事で特に問題なく使えている。
 このシステムは銭湯までが遠い長屋でも取り入れたいという事で段々と広まって行ったが、銭湯そのものは廃れなかった。やはり広々とした風呂で世間話をしながら入りたいという人たちもいるからだ。

 とにかくのんびりとした生活で、気がつけばあっという間に五年が経っていた。


 

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