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冒険者ギルドは、今日も変わらぬ騒がしさに包まれていた。いつもの受付に、いつもの冒険者がやってくる。顔をあげた受付嬢のサラは、思わず眉をひそめた。
「あら?」
彼女は、いつものように一人ではなかった。
「はい、申請書。今日はバディを組むことにしたわ。あなたからご忠告いただいてたしね」
「バディ……って、なんでアッシュさんが!?」
申請書を出してくるローゼの横に、幸せそうに立つアッシュを見てサラは開いた口がふさがらなかった。そのローゼの場所は、サラのものになるはずだったのではないか。
「いろいろあって、結婚することになったの」
「はあっ!? どうやってアッシュさん捕まえたんですか!?」
受付カウンターの上に乗る勢いのサラを、ローゼはなだめて元の席に座らせる。
「俺がローゼを捕まえたんですよ。十年かけて。今度、ラヴェンナ教会で式を挙げますので、サラさんも良ければぜひ」
「ラヴェンナ教会ですって!?」
ラヴェンナ教会は首都の中央に位置する、古風な教会だ。由緒正しく、清廉で優美な雰囲気があり、ラヴェンナ教会で結婚式を挙げるのを夢見る女性は少なくない。ただ、非常にお金がかかることと、コネがないと引き受けてもらえないため、憧れで終わることが多い夢でもある。
もちろんサラも、ラヴェンナ教会での挙式を夢見ている一人だった。あの美しいバラ窓のステンドグラスの前で、愛を誓うシミュレーションを何度脳内でやったことか。
「参加するなら、招待状送るわよ」
ローゼの言葉にカッと顔に血が昇る。
次の瞬間、サラは叫んでいた。
「絶対行くに決まってるでしょ! 死ぬ気でブーケ受け止めてあげるんだから! でっかいやつ、奮発しといてよねっ!」
「その意気、素敵ね」
ムキー!と拳を握りしめたサラは、爆速で申請を通し、クエストカードを机に叩きつけた。
「行ってらっしゃい、お幸せに!」
寄り添って冒険者ギルドから出ていく二人を見送り、サラはどっかりと椅子に腰掛けた。
「あー、もう。次の恋、さがそ! いい男なんて、いっぱいいるんだから!」
悔しげにつぶやきつつ、受付カウンターの内側で、ブーケを受け止める練習にはげむサラだった。
「あら?」
彼女は、いつものように一人ではなかった。
「はい、申請書。今日はバディを組むことにしたわ。あなたからご忠告いただいてたしね」
「バディ……って、なんでアッシュさんが!?」
申請書を出してくるローゼの横に、幸せそうに立つアッシュを見てサラは開いた口がふさがらなかった。そのローゼの場所は、サラのものになるはずだったのではないか。
「いろいろあって、結婚することになったの」
「はあっ!? どうやってアッシュさん捕まえたんですか!?」
受付カウンターの上に乗る勢いのサラを、ローゼはなだめて元の席に座らせる。
「俺がローゼを捕まえたんですよ。十年かけて。今度、ラヴェンナ教会で式を挙げますので、サラさんも良ければぜひ」
「ラヴェンナ教会ですって!?」
ラヴェンナ教会は首都の中央に位置する、古風な教会だ。由緒正しく、清廉で優美な雰囲気があり、ラヴェンナ教会で結婚式を挙げるのを夢見る女性は少なくない。ただ、非常にお金がかかることと、コネがないと引き受けてもらえないため、憧れで終わることが多い夢でもある。
もちろんサラも、ラヴェンナ教会での挙式を夢見ている一人だった。あの美しいバラ窓のステンドグラスの前で、愛を誓うシミュレーションを何度脳内でやったことか。
「参加するなら、招待状送るわよ」
ローゼの言葉にカッと顔に血が昇る。
次の瞬間、サラは叫んでいた。
「絶対行くに決まってるでしょ! 死ぬ気でブーケ受け止めてあげるんだから! でっかいやつ、奮発しといてよねっ!」
「その意気、素敵ね」
ムキー!と拳を握りしめたサラは、爆速で申請を通し、クエストカードを机に叩きつけた。
「行ってらっしゃい、お幸せに!」
寄り添って冒険者ギルドから出ていく二人を見送り、サラはどっかりと椅子に腰掛けた。
「あー、もう。次の恋、さがそ! いい男なんて、いっぱいいるんだから!」
悔しげにつぶやきつつ、受付カウンターの内側で、ブーケを受け止める練習にはげむサラだった。
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