フィロス

フロイライン

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celeb

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「ホント呆れるわ」


唯は、家に入ってきて皧流を見るなり、そう言ってため息をついた。



「えっ、どういうこと?」  



「アンタが綺麗すぎるって言ってんのよ。

私が恥ずかしくなっちゃう。」



「そんなことないよ。

天下の大女優の唯に比べたら、ワタシなんて…」


「お世辞なんていらないわ。


芸能界にはさあ、そりゃ美人なんて沢山いるわよ。

でも、アンタは別格だよ、別格。

綺麗な上に、透明感が半端ないって。」



「自分では、よくわかんないけど…」



「…」


唯は、急に話すのをやめ、皧流の顔を見つめた。



「え、何?

何なの?」



「皧流

アンタ、男が出来たでしょ?」    



「えっ!?」



「なんだ

やっぱ、そうか。」


唯は腕組みをしてため息をついた。


「なんで、そんな事言うの?」



「アンタってわかりやすいのよ。
昔から。

嘘つけない性格だし、たとえ嘘ついても顔に出ちゃって丸わかりなんだもん。

女になっても全然変わってないわね。」


 
「えっ、そうなの?」


皧流は、自分の頬を両手で押さえ、顔を真っ赤にした。


「でも、アンタが心の中まで女になったんだったら、私ら、やっぱ別れる方がいいよね。

撤回の撤回よ。」



「唯…」



「私もさあ、レズじゃないし、アンタの心の中までもが女になったんだったら、もう付き合い続けられる状況じゃないと思うのね。

だから、別れてあげるわ。」



「…」



「前も言ったけど、私も芸能人だし、今ってスキャンダルが出たら、一気に潰されちゃうでしょ?

そんな惨めな退場はしたくないし、ここは発展的な別れってやつをしてあげる。」


唯は、そう言って、皧流の頬にキスをした。

だが、皧流は、唯の言葉をただ黙って聞いているだけだった。

何故なら、心の中は竹脇の事ばかりになっており、唯への気持ちはほとんど残っていなかった。


それに、お腹の中に竹脇の子供がいると思うと、彼女に対する想いというものが失せてしまうのだった。


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