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和俊と駅で別れた後、智は、その日にランチをする約束をしていたケイコとの待ち合わせ場所のカフェに向かった。
「えっ、さっきまでそのコ、家にいたの?」
ケイコは智の話を聞き、呆れた様子で聞き返した。
「はい。泊まってたんですけど、起きるのが遅くなっちゃって。」
「どうせまた、激しいエッチしたんじゃないの?」
「えっ、なんでわかるんですか?」
「だって、トモちゃん、肉食系だし。」
ケイコは大笑いして言った。
「ワタシ、肉食系じゃないです。
ちょっとだけエッチ好きなだけですから。」
「まあ、ニューハーフAV界のスターには愚問だったわね。」
「とは言っても、ワタシももう三十ですし、そろそろ潮時かなって思い始めてるんですけどね。」
「でも、トモちゃん、全然若く見えるし、まだまだトップ張れるわよ。」
「じゃあ、需要があるうちは続けようかな」
「そうね。
あ、そうだ。ゴリとはその後どうなってんのよ?
ご飯行くだけの関係を続けてるって言ってた‥」
「あー、竹井さんです。
本人から直接聞いたわけではないんですけど、なんか、最近彼女が出来たらしくて。」
「えっ、ウソっ!」
「多分ホントじゃないかなあ。
全く誘われなくなりましたもん。」
「ふーん、けっこうトモちゃんに熱上げてたのにね。」
「ニューハーフより本当の女性の方が良いですよね、フツーに考えたら。」
「当事者としては、何とも言えないけど、超美人ニューハーフとちょいブス女とだったら、ニューハーフは負けるって事なんだろうね。」
「だから、さっき話した泊まりに来てた同級生にも、あんまり本気にならないようにしなきゃって思ってます。」
「まあ、そうね。
童貞くんは冷静さを欠く生き物だからね。
こっちが落ち着いて相手しないと。」
「でも、可愛いんですよ、彼。
イクときの顔とか」
「ふーん
お盛んだこと」
「でも、冷静な気持ちで向き合いますので。」
「うん。
あ、そうだ。もう一つ聞きたい事があったんだ。
莉愛ちゃんの事‥」
ケイコに娘の話を振られると、智は一気にテンションが下がった。
「あ、どこまで話しましたっけ‥
娘に会わせて欲しいってお願いした件ですよね?
結論としては、ダメでした。
娘の事を本当に考えてるなら、そんな姿で会うべきではないって、向こうの弁護士に言われてしまいました。」
「そうだったの‥」
「莉愛は来年小学校に入学するんです。
会えないなら、せめて気持ちだけでもと思ってお祝いを送ったんですけど、それも返送されてきました。」
「なかなか難しいわね。」
「たしかに、娘に会うってなっても、ワタシはもう男として、父親として会う事も出来ないし、こんな格好で目の前に現れても混乱するだけですから、これ以上しつこく頼み込むのはやめました。」
「そっか‥」
「でも、いつの日か、娘が自分で物事を判断できる年齢になったとき、それでも会いたいって言ってくれたときは、会いに行きたいと思います。」
「でも、向こうのおじいさんもおばあさんも、あなたの悪口を吹き込んでるんじゃないかなあ。」
「そうですね。
でも、その上で判断してくれればなって、淡い期待だけは持っておきます。」
智は寂しげな表情を浮かべながらも、無理に笑って言った。
「えっ、さっきまでそのコ、家にいたの?」
ケイコは智の話を聞き、呆れた様子で聞き返した。
「はい。泊まってたんですけど、起きるのが遅くなっちゃって。」
「どうせまた、激しいエッチしたんじゃないの?」
「えっ、なんでわかるんですか?」
「だって、トモちゃん、肉食系だし。」
ケイコは大笑いして言った。
「ワタシ、肉食系じゃないです。
ちょっとだけエッチ好きなだけですから。」
「まあ、ニューハーフAV界のスターには愚問だったわね。」
「とは言っても、ワタシももう三十ですし、そろそろ潮時かなって思い始めてるんですけどね。」
「でも、トモちゃん、全然若く見えるし、まだまだトップ張れるわよ。」
「じゃあ、需要があるうちは続けようかな」
「そうね。
あ、そうだ。ゴリとはその後どうなってんのよ?
ご飯行くだけの関係を続けてるって言ってた‥」
「あー、竹井さんです。
本人から直接聞いたわけではないんですけど、なんか、最近彼女が出来たらしくて。」
「えっ、ウソっ!」
「多分ホントじゃないかなあ。
全く誘われなくなりましたもん。」
「ふーん、けっこうトモちゃんに熱上げてたのにね。」
「ニューハーフより本当の女性の方が良いですよね、フツーに考えたら。」
「当事者としては、何とも言えないけど、超美人ニューハーフとちょいブス女とだったら、ニューハーフは負けるって事なんだろうね。」
「だから、さっき話した泊まりに来てた同級生にも、あんまり本気にならないようにしなきゃって思ってます。」
「まあ、そうね。
童貞くんは冷静さを欠く生き物だからね。
こっちが落ち着いて相手しないと。」
「でも、可愛いんですよ、彼。
イクときの顔とか」
「ふーん
お盛んだこと」
「でも、冷静な気持ちで向き合いますので。」
「うん。
あ、そうだ。もう一つ聞きたい事があったんだ。
莉愛ちゃんの事‥」
ケイコに娘の話を振られると、智は一気にテンションが下がった。
「あ、どこまで話しましたっけ‥
娘に会わせて欲しいってお願いした件ですよね?
結論としては、ダメでした。
娘の事を本当に考えてるなら、そんな姿で会うべきではないって、向こうの弁護士に言われてしまいました。」
「そうだったの‥」
「莉愛は来年小学校に入学するんです。
会えないなら、せめて気持ちだけでもと思ってお祝いを送ったんですけど、それも返送されてきました。」
「なかなか難しいわね。」
「たしかに、娘に会うってなっても、ワタシはもう男として、父親として会う事も出来ないし、こんな格好で目の前に現れても混乱するだけですから、これ以上しつこく頼み込むのはやめました。」
「そっか‥」
「でも、いつの日か、娘が自分で物事を判断できる年齢になったとき、それでも会いたいって言ってくれたときは、会いに行きたいと思います。」
「でも、向こうのおじいさんもおばあさんも、あなたの悪口を吹き込んでるんじゃないかなあ。」
「そうですね。
でも、その上で判断してくれればなって、淡い期待だけは持っておきます。」
智は寂しげな表情を浮かべながらも、無理に笑って言った。
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