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祭りのあと

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智は最大の障壁であった、和俊の両親への挨拶を終え、すっかり心が晴れ‥
父の博史も母の律子も、とても優しく、一遍で大好きになった。


昼食の後、和俊と智は久しぶりの地元を楽しむべく、二人して出掛けて行った。

「カズ、今日はありがとう。

ワタシ、嬉しくて…泣きそうになっちゃったよ。」

「もう、大げさだなあ。
俺は、反対されたりする事なんてまず無いと思ってたから、この結果は想定の範囲内の話だよ。」

「ホント、来てよかった。」

智は和俊の腕にまとわりつきながら笑みを浮かべて言った。

「さて、外に出たものの、めっちゃ暑いし、どこ行くよ?」

「そうだねえ、黒田とかに電話してみよっか。」

「黒田?」

「うん。ワタシ、地元に帰ってきたら、いつも黒田、村瀬、山村の三人と飲みに行ったりしてるのよ。

それと、この三人はワタシがニューハーフになったことも知ってるしね。」

「へえ、そうなんだ。

トモとあいつらって仲良かったもんな。
俺はあんまり連んだことなかったし‥」

「だって、カズと仲良かったって言ったら、ワタシくらいしかいなかったじゃん。」

「うん、あのときから、トモは俺の天使だった‥」 

和俊は頭を掻いて笑った。


駅前のファミレスに入った二人は、飲み物だけ注文すると、すぐに携帯を取り出した。

和俊は取り出したはいいが、連絡する相手がいないので、ただ画面を見るだけであったが。

智の方は、LINEで黒田にメールを送り、携帯をテーブルの上に置いた。

「来るかなあ」

「来たら来たで、何かイヤだな。」

「なんで?」

「だって、俺はそんなに仲良くないし‥話に入れなさそう。」

「そんなの気にしないの。
ワタシがカズのお父さんとお母さんに会う事に比べれば、どうって事ないじゃん。」

「まあ、そうだけど‥
来ない事を祈っとくわ。」 


和俊の願いも虚しく、黒田からすぐに返信があり、三十分後には山村と村瀬にも連絡がいって、三人揃ってやってくる事が決まった。
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