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店員に案内された智と美智香は4人掛けの席に横並びで座った。

「ワタシらを気に入った人達がいたら、勝手に声掛けてくる仕組みよ。」


「えっ、店員さんが間に入らないの?
永遠にここに座って、はい、終わりになるんじゃないの??
私らみたいなオバサンは」

「まあ、それはそれで面白いじゃん」

智は大笑いした。

だが、美智香の心配とは裏腹に、すぐに二人組の男が声をかけてきた。

「あの、自分ら二人で来てるんすけど、よかったらここ、座らせて頂いてもいいですか?」

そう言ったのは、見た目三十代半ばくらいの少しワイルド系のサラリーマン風の男だった。
一緒に来ていたのは、連れとは歳の離れた感じの背の高い若者で、どう見ても二十歳くらいにしか見えなかった。
智は、若い方の男の顔がキレイだったので、向かい側に座る事を了承した。



「ありがとうございます。

早速ですけど、自己紹介させていただきます。

自分は常田 善通といいます。三十五歳です。
サラリーマンしてます」


ワイルド系男は常田という人間で、声も話す内容もほぼイメージ通りだったが、隣に座る若い方は、緊張しているのか、さっきからほとんど喋らず、それでいてこちらの方には視線を向けてきた。

「おい、佐々木
お前も自己紹介しろよ」


「あっ、すいません。

佐々木真弥といいます。
えっと歳は23です。常田さんとは一緒の会社で、今年から新卒で入社して、働かせてもらってます。」

常田に促されて、若い方の男は少し硬い表情で自己紹介をし、ぺこりと頭を下げた。

「へえ、まやっていう名前なんだ。
可愛い名前」

智が言うと

「子供の時は女子みたいな名前でよく揶揄われて…

すごくイヤだったんです。今は何も思わないですけど」

真弥はそう言って顔を赤くして言った。


「あ、こっちも自己紹介しないとね。

ワタシは吉岡 智といいます。
えっと、年齢は秘密でーす
その他のことは追々話していきます。

で、こっちがワタシのお姉ちゃんです。」


「吉岡 美智香です。
年齢は同じく秘密です。
よろしくお願いします」

ノリノリの妹と仕方なくこういう場所について来た感のある姉…

男側も全く同じ構図で、恋人が欲しい常田がイケメンの新入社員、真弥を無理矢理連れてきて撒き餌にした…

ある程度年齢はいっているが、すごい美人とマッチング出来るチャンスを得て、常田はどっちに行くか、瞬時に判断した。

勿論、脈がありそうな妹の方である。
体つきも常田が好みのムチっとしたタイプで、もう迷いはなかった。

真弥は撒き餌にすぎないので、ここでどうこうするつもりもない。

後は上手くやって妹と二人で店を出る!

常田の心は決まった。
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