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呆れ

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「もう、アンタたちの気持ちが私にはわかんないわ」

向かい側に座る美智香と美沙に、由貴は若干苛つきを感じさせるような口ぶりで言った。


その日は、久しぶりに仲良しの三人、由貴、美沙、美智香が揃い、定例の女子会を行っていた。


前回、美智香が真弥と結婚した事で、大いに盛り上がったこの会だったが、美沙まで若い男に熱を上げ、離婚までしてしまうという異常事態に、由貴は驚きよりも呆れに似た感情に包まれながら、二人と対峙していた。


「美沙、アンタまでこんな事になるなんて、ホント信じらんないんだけど。」



「ユキ、だよね

そう思うよね‥

私も自分がこうなるなんて夢にも思っていなかったのよ。
でも、好きになっちゃったの…」


「だって、相手の子って、美智香の旦那さんと同い年なんでしょ?
ありえんやろ」


「ごめんなさい…」

美智香は自分が言われてるような気になり、肩を落として謝った。


「美智香、アンタはいいのよ。

ちゃんと独身同士で付き合って、結婚したんだから。

でも、美沙は家庭があったんだよ。
多少の不満はあったのかもしれないけど、それはどこの家庭でも同じ事だよ。

なのに、美沙は家庭を捨てて若い男のところへ走った。

ありえないよ」


由貴は美沙を厳しく責め立てた。


「うん…
返す言葉もないわ」


美沙は反論するどころか、力なく言い、肩を落とした。


「美沙さあ、いくら相手の子がアンタのこと好きって言ってくれても、向こうは23でこっちは42

この先、年の差が縮まるなんて事はないんだよ。

突然、嫌いになったって言って、捨てられたらどうすんのよ?

もう、アンタには帰るところがないんだよ」


「うん。


それは、私もよくわかってる。

そういう事があるかもしれないってことは。
いえ、かなりの確率でそうなるだろうって…」


「だったら…」


「ダメなのよ

彼の事が好きで好きで仕方ないの。
もう、この気持ちは抑えられないの」


美沙はいつもの明るさが影を潜め、真剣な表情で由貴に訴えかけた。
そのあまりの熱に少し押され気味になった由貴は、美智香に助け舟を求めた。

「美智香、あなたに言うのも酷だけど、世の中そんな都合よくいく話はないよって、言ってあげて。」


話を振られた美智香は、少し考えている様子だったが、やがて言いにくそうに話し始めた。


「ユキ…あなたの言う事はよく理解出来るし、私も当事者でなければ、当然ユキと同じ考えを持っていたと思うよ。

でもね、ダメなの。

頭ではわかっていても止められないのよ。」


「何がダメなの?」


「多分、美沙もそうだと思う。

彼を好きな気持ちは勿論強く持ってるに違いないけど、もう一つはカラダよ。」


「カラダ?」


「そう。
私達は彼らのセックスの虜になってしまったの。
この歳まで本当のセックスの良さを知らず来てしまった反動なのかもしれないけど、少なくとも私はもう彼に抱かれないと生きていけないカラダになってしまったの。
美沙もそうだよね?」


「うん。」


美沙も真剣な眼差しで頷いた。
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