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強迫観念

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その日、美智香は美沙と待ち合わせをし、2人で会っていた。


「えーっ!
元旦那が現れたって!?」


「そうなのよ。
都心になんて出ていく事なんてなかったのに、たまたま弟が田舎からこっちに来てて、以前よく使ってたカフェに会いに行ったら、同じ店に来てたのよ…その元旦那が」


「それはあまりにも不運すぎない?」


「でしょ?

アイツの顔が視界に入って来た瞬間、気絶しそうになったわ。」


「それで?

何を言われたの?」


「言うのは同じ内容の事ばかりよ。

会社に戻ってきてくれって。」


「浮気して捨てといて、今頃ぬけぬけと戻って来いなんて。」


「真弥君が毅然とした態度で向こうに話をしてくれて、一応は諦めて帰ったんだけど。
また、いつ現れるか…


「最悪じゃん」


「正直言ってさあ、前の旦那自体には恨みなんてもうないのよ。
今となっては。

そのおかげで、真弥君ていう素敵すぎる男性と結婚出来たんだもの。

だから、一生関わりを持たずに暮らしたい
ただ、それだけなの」


「だよね。
ワタシ翔クンと一緒になってみて、美智香の気持ちが痛いほどよくわかる。

別に外野が何しようと関係ないのよ。
カレさえいれば他に何も要らない。」


「そうよね。
会いたくない人間が目の前に現れて、気分としては最悪最低なものになったんだけど、余計に真弥君への依存症が酷くなって、その後ラブホでやりまくったのよ。」


「うんうん。
そういうときほどヤリたくなるものね。」


「SMの道具とかがあるお部屋に入ってさあ、縛られたりムチでお尻を叩かれたり、蝋燭垂らされたりして、バカみたいに感じちゃった。」


「美智香もMって言ってたものね」


「Mどころか、ドMよ。

自分の性癖というか本性というか、そういうのにあらためて気付いたっていうか…」

「そりゃ、仕事なんてどうでもよくなるわね」


「うん。
多分、私はドMのセックス依存症…
これが私の本当の姿なんだよ」


「私もほぼそうだから、よくわかるわ」


「一日中その事ばっかり考えてるし、ちょっとした事で濡れちゃうから、日常生活に支障が出てるわ。」


「私ら似た者同士だね。」


「美沙がいてくれて良かったわ。
こんな話、誰にも出来ないもの。」



「それは私もよ。
美智香にしか相談出来ないもん。

とにかく、美智香はその前の旦那に何かされないように気をつけるんだよ。

真弥クンが一緒ならいいけど、そういう人は一人の時を狙ってくるから。

私も昼間はヒマしてるし、何かあったらすぐに電話してきて。」


「ありがとう、美沙

心強いわ」


美智香は両手を合わせて謝意を示した。
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