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依存

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「ここは佐藤さんが東京で仕事がしやすいようにと借りたものなんですが、結局本来の目的で使われる事はありませんでした。」

智と別の部屋に移った桐山はそう言って智の方を見た。


「トモちゃん
注射を打ってからそろそろ一時間が経過したけど、どうかな?
気分は」


「…」

智は何も答えず、視線を落としたままだった。
だが、全身が紅潮し、呼吸も乱れ始めており、明らかに身体に変調をきたしていた。


「このクスリはね、昨年南米で出回るようになったもので
いわゆるセックスドラッグの中でも最高の出来だと評判でね

是非ともトモちゃんに体験してもらいたかったんだ。」


桐山はそう言うと、徐に智の肩に手を置いた。


「あっ!

ああっ」


智はそれだけで艶めかしい喘ぎ声を上げ、床に崩れ落ちた。











美智香とユウは朝になるまで最善の道を模索していた。



「どこに潜伏しているか…
これがわかれば一網打尽に出来るんですが…」


「うん…
それは勿論そうなんだけど、見当もつかなくて…」



「きっと何か手掛かりはある筈です。
諦めずに考えましょう」



「そうね。
私も何か忘れてる事があるかもしれないから、ギリギリまで諦めないわ」


美智香はユウに頷いてみせた。


「美智香さん、この後やはり銀行でお金を下ろすんですか」


「振替をね。言ったように限度額いっぱいの1000万を先ずは佐藤の会社の口座に入れます。
これはもう捨てるしかないと思ってる。

それから振替限度額を上げるための手続きをするわ。

それでどれだけ時間を稼げるか…

全てはそこにかかってる」


「ですね

美智香さん、ところで…」


「ん?」


「他に誰かこの事を相談できる人はいませんか」


「相談?」


「はい。
たとえば、その佐藤や桐山の事を知っていて、ワタシたちの力になってくれるような人を。」



「桐山って男は私も全然知らないからムリだと思う。

佐藤は元旦那で、同じ会社にいて独立したときも一緒だったから、その頃の共通の知人ていうのは沢山いるけど」


「何かヒントがないですかね
その人たちに聞けばわかるような…」


「そうね

ちょっと考えてみるよ」


美智香はユウから目線を外し、少し上方を見つめて言った。
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