ニューハーフな生活

フロイライン

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違った景色

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沙耶香とワタシの想いが通じた事で、少しずつ日々の生活が変わっていった。


一番はワタシが風俗のお仕事をセーブし始めたこと。

少しでも沙耶香と一緒にいたいという思いがそうさせたのは間違いないところなんだけど、ワタシの心理面で少し変化が出て来た事に拠るところが大きかったのだ。

つまり、沙耶香という女性を恋愛の対象にした事で、ワタシの中で眠らせていた男であるという性自認が、一気に目覚めたのである。

やはり、ワタシが性同一性障害ではなく、後天的な理由でニューハーフになった事がこのような変化をもたらせたのだと思う。


沙耶香は、今のままでも十分に幸せだし、芯の部分ではワタシが昔のままの男だと感じさせてくれるからそれでいいんだって言ってくれるけど…


果たしてこれでいいんだろうかって、これまでの自分の選択に対して疑問を感じたり後悔をしたりするうちに、風俗の仕事へのモチベーションを失ってしまったというのが正直なところ。


ワタシの胸の内がどうあれ、沙耶香との共同生活というか同棲暮らしは順調で、毎日が充実してて楽しい。

でも、沙耶香は無職で、ワタシに迷惑をかけてるっていう負い目みたいなのがあって、毎日ハローワークに通い、職探しをしている。

そして、今日も…



「お帰り、沙耶香」


「ただいま」


「どうだった?面接」


「ダメだと思う。
やっぱり会社の事務とかは経験とスキルがないから、難しいわ。」


「まあ、焦らなくてもいいよ。
ゆっくり見つけたら」


「って言っても、いつまでもユキに迷惑かけられないし、早く役に立てるようになりたいって思ってるんだけど、ごめんなさい…」

「そんな事言わないでさあ

ほら、専業主婦だって思えばいいのよ。
ワタシが外で働いてるんだから、世間的には当たり前の形だよ。」


「ビジュアルはユキの方がよっぽど可愛い奥さんなんだけどねー」

沙耶香がようやく笑った。


「これからスーパーに買い物に行くんだけど、一緒に行く?」


「うん、もちろん」


ワタシの誘いに沙耶香は快諾した。
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