LAST TORTURE 〜魔界の拷問吏と捕虜勇者〜

3333(トリささみ)

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拷問6日目 〜昼休憩〜

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「い~い湯だろ?ルタ。」

魔王城の大浴場。
四肢を失ったルタにかけ湯をさせながら、リーモンは鼻歌を歌う。

「……なあ。」

浴場に連行される間も沈黙を保っていたルタが、ふとリーモンに話しかける。

「なんだ?」
「アンタ、本当に拷問吏なのか?」
「当たり前だろ。何が言いたい?」
「……」

ルタは再び黙る。
リーモンは『何が言いたい』と聞いたが、彼の心中は概ね理解できる。

「言ったろ?俺はお前が今まで相手してきた拷問吏どもとは違う。
質問に答えてやったんだ、コッチの質問にも答えてもらうぞ。」
「何だ?」

リーモンは頭の中で聞きたいことと順番を軽くまとめてから、第一の質問に入る。

「なんでそんなに一族の連中を庇う?」
「……お前、家族いないのか?」
「いねえよ。少なくともひとりで魔王陛下を討伐しようなんて、無謀な行為に走らせるほど追い詰めるような家族は。」
「……」

ルタは黙りこくる。
垂れ下がった頭からは、その表情は読み取れない。

「…どこまで知ってる?」
「お前の母親が死んで、伝説の勇者の父親と、最強の幹部を倒したエリートの兄がいることだけだ。」
「……」
「なあ、ルタ。」

リーモンは背後から抱きしめる形で、ルタを我が身に寄せる。

「ここらでちょっと変わらねえか?」
「…何が言いたい。」
「お前は伝説の勇者の息子として生まれてきたんだから、魔王陛下を倒さなければいけない。
親父と兄貴に、そういう風に教えられてきたんじゃねえのか?」
「……」

ルタは沈黙するが、反論が一切ないことから、全てリーモンの推察通りだと察せられる。

「お前は生まれてきた時点でひとりの人間だ。従う義務なんざねえ。
親父や兄貴の言うことにも、下界の人間どもの勝手な期待にもな。」
「っ……テメエに何が分かる!!」

ルタは首や胴体を振り乱して暴れる。

「がああぁっ!!!!」

しかしその直後、悲鳴を上げて倒れた。

「ルタッ!!」

リーモンはルタを抱え直して顔を上げさせる。
意識は失ってなかったが、それよりも…

「ルタ、お前……泣いてるのか?」
「……」

ルタは秘密を暴かれたかのように、恥も外聞もなく呆然とリーモンを見つめる。
その裸の瞳のなんと美しいことか。

「…クククッ。」

リーモンは思わず笑みを浮かべ、ルタの涙を舌で掬い取る。

「っ!……」

ルタは一瞬、小動物のように身を竦めたが、すぐに警戒を解いた。

「そうだ…怯えることはない。
俺はお前に何も望まない。
ありのままのお前を愛している。」
「……」

リーモンはルタをその腕に閉じ込める。

「さっきのは陛下が四肢を外す際につけた魔法の効果だろう。
痛くなかったか?」
「…電撃でも食らったかのように痺れたが、お前は何ともないんだな。」
「そうだな。魔法だからな。」

それからふたりは身を清め、安らかな入浴を楽しんだ。
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