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152話 どうなるの…
しおりを挟むコンコン
突如、ノックの音が聞こえると、クロードはさっきまでの蕩けるような優しい目が、急に鋭い目つきに変わる。
扉の方も見ずに、ティアを見たままで
「入れ」
と短く静かに、でも強く言った。
あんなに優しい方がこんな風になるなんて、
やっぱり次期王の風格は違うなぁと、ティアは暢気に思っていた。
ガチャ
と扉が開くと、
たぶん先程のキャロラインを運ぼうとしていたであろう男たちが、ぞろぞろと入ってきて、
内側から扉に鍵を閉めた。
ティアはあまりの驚きにベッドの端まで後ずさる。
しかし、ベッドは壁につけられているため、逃げられない!
「ティア、大丈夫だから、怖がらないで。君にもあの令嬢にも何もしないよ。」
クロードは優しい顔つきには戻ったが、もう何も信じられない。
ティアは震えていた。
クロードは、ティアを落ち着かせようとベッドに登ってきた。
ティアはますます怯えているが、構わずクロードは抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫。私は君を大好きなんだから、傷つけるようなことはしないよ。
ちょっと話してくるから、ここにいてね。」
そう言って体を離すと、ベッドを降りて男たちのところへ行く。
先程男たちが入ってきた時に、扉に錠前付きの鍵がかけられ、
男たちも大勢いて、
キャロラインも放っては置けない。
それらを踏まえると、今すぐにはどうにもならないだろうと判断し、
ひとまずティアはベッドの上で状況を見守った。
何やらクロードが男たちに向かって命令していた。
話し終えると、眠り薬か何かだろうか、
まだ起きないキャロラインを、
1人の男が、肩に荷物を乗せるように抱えあげた。
その時!
キャロラインの手が後ろ手に縛られ、
足首も揃えて縛られているのが見えた!
やはり何もしないわけじゃないんだ…
そう気づくと、急に震えが込み上げてくる。
その男はキャロラインを抱えたまま窓を開けた。
外に放り投げるつもり⁉︎
と、ティアは目を瞠った。
何階かはわからないが、窓の外には空しか見えない。
つまり、一階や二階ではない、それ以上の階層だろう。
そんなところから落とされたら…⁉︎
ティアは叫んだ!
「クロード様‼︎クロード様‼︎お願い!やめさせてくださいっ‼︎」
泣きじゃくりながら懇願した。
でもクロードは動かない。
ティアの声を気にせず、真っ直ぐに窓の外を見つめている。
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