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153話 一緒に行こう

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ティアは泣き叫ぶと同時にあまりの恐怖に失神し、

少しして目が覚めると、

やはり状況はかわっていないことに気づき、また涙が溢れた。

しかし、ソファを見ると、キャロラインが最初に見た時のように寝かされているのを見て、

それだけは本当に安堵した。


よかった…キャロライン様、生きてる…わよね?


クロードが、ティアが起きたのに気づき、ベッドまでゆっくりと歩いてくる。

ティアは体を固くして身構えた。

「ねぇ、ティア?泣かないで?」

クロードは、ベッドの上で震えて固まりながら、泣いているティアを抱き寄せ、

優しく頭を撫でた。

「大丈夫だよ、ティア。

ちょっとあのご令嬢には交渉のお手伝いをしてもらってるだけで、

怖いことは何もしないよ?

窓の前に持ち上げさせたのも、

下に来てもらったあの子の親に、

ちょっと確認させてあげたかっただけなんだよ?

あの子が無事なのを見たから、すぐに交渉が進みそうなんだ。

もうすぐあの子を放してあげて、私も国へ戻る。

そしたら、…その時、君も一緒に連れて行こうと思う」

ティアははっとして、クロードの顔を見ると、

その優しい顔が妙に恐ろしく思えて、自分の歯がガチガチ鳴るのがわかった。

「こんなに素敵な君のことを

あんな結婚が決まってるのに君にも手を出してる男になんて、任せておけないよ。

…恋は盲目だからね。

最初はつらいかもしれないけど、

離れてしまえば、君もそれでよかったんだとわかる日が来るよ。

私と一緒にいれば、彼のことをきっと、必ず忘れさせてあげられる」

クロードは震えるティアの頬に自分の頬を寄せた。

「あの子の親に見せてあげたから、

そろそろここの場所もわかってしまう頃だね。

あの子はここに置いておいてあげよう。

誰かが迎えに来るだろうから、大丈夫だ。

さぁ、ティア。君は私と一緒に行こう。ね?」

その最後を聞き終えないままに、意識が遠のいていく。

その様子を見てクロードが言った。

「効いてきたね。

私の国の薬を、少し作り方を変えれば最近こうやって眠り薬にもなることがわかってね。

慣らしてある私には効かないけど…」

どこか近くで、眠る作用のある香が焚かれていたようだ。

何か良い香りがすると思っていたら、そういうことだったのか、と思っても、もう遅かった。

「ゆっくりお休み、ティア。 

次に目覚めた時には、君は私の宮殿にいるよ。」

優しくそう言うと、クロードはティアの額にそっとキスして、横抱きに抱え、その部屋を後にした…
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