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異世界にいる俺の番

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 物心つく頃には、番が一緒にいるものだと思っていた。14歳になったアレンは、学校の授業中に先生に呼ばれた。先生が険しい顔をして、僧侶についていくように言われた。学校にやってきた僧侶に呼ばれて寺院に向かった。

 寺院の中にある一室には祭壇があり沢山の宝石が飾られ、ろうそくに火が灯された神秘的な部屋がある。滅多に会えることがない国一番の占い師。年齢は何歳なのか分からない。目の前には優しい顔をした占い師がいて、座るように言われて地面に座った。

 占い師が祭壇にあった玉を持つとアレンの両手に乗せた。

「アレン、お前の伴侶は異世界にいる。いつか次元を超えてこの世界にくるだろう。それはいつ来るのかわからない。強い因果を感じる、お前の元に必ず、か な ら ず やってくる。この玉は相手のことがたまに勝手に見れるから、相手のことを知りたければ見ればいい。見たくなければ割ればいい。その代わり、運命とは番になれない。」

 何も聞かれずアレンは手に玉を持ったまま部屋から追い出された。アレンはこの日から見られない運命を待つ日々が始まった。
 運命が異世界にいると聞いた両親は大喜びだった。呼び出してくれた先生は、自分の生徒が何かやらかしたと思ったので腰を抜かしていた。しかしそれは同時にアレンが長い間孤独に過ごすということだった。いつ来るか分からない運命。その運命のために他の女性と付き合うこと子供を作ることは禁止されている。

 危険の多いこの国では小さい時から子作りの重要性を理解されている。初産が14歳から始まる世界。いつくるか分からない運命のために子供を作ることを諦めないといけない。一族の中で優秀なアレンが期待されていた子供を作ることが出来なくなった。

 異世界からやってきた番が一族に幸福をもたらすことを書物で誰でも見たことがある。絵本でも書かれているくらい一般的なものだった。様々な知識と幸運をこの世界に持ち込んでくれる。

 300年ぶりにやってくる運命を待ちわびて、誰もが期待していた。
 はじめて玉に運命の姿を見ていた時、アレンは家族とたまたま配達できていたリリアンと一緒にいた。

「俺の、俺の運命だ。」

 黒髪で黒目の異国の顔立ちの女性だった。幼い顔をしている。年齢は何歳なんだろう。自分よりも年下なのだろうか。様々な疑問をアレンは頭の中で考えていた。

「本当にいたんだ。アレンの運命」

 玉が映す不思議な光景に食い入るようにアレンを中心に見ている。黒い異国の服を着た運命。沢山の花が飾られて祭壇には二人の写真が飾っていた。下を向いている運命。

 16歳の香織が泣いている姿だった。異国の言葉が分からないが、親が死んでしまったということが理解できた。
 そして、香織が女性に叩かれている姿を見てアレンは怒りで玉を割りそうになり見ているのでリリアンは玉から手を離させた。人形のように無気力な香織が倒れる姿を見て切れてしまった映像を見てアレンとリリアンは涙を流した。

「どうして俺の運命が叩かれている、こいつを殺したい殺させてくれ」
「アレン落ち着いて、何か事情があるのよ」

 それからアレンは映像を見ることがなかった。家族から運命が来たら大切にしようと言われ、カオリを守るため騎士になることにした。アレンは騎士として仕事をしながら、異国について学び始めた。

 次にアレンがみた香織は、見たこともない自分の母親よりも年上の女性から何か言われて困った顔をして笑っている姿だった。異国の言葉を理解するために、言語理解を住職にかけてもらった。
 アレンの運命は、聞きなれない異国の名前で何度か練習しないといけない。聞き取れた言葉。運命はカーリーという名前に似ていて、妊娠できるか確認して来いと言われていた。

 アレンはその言葉に腹が立った。自分の運命が馬鹿にされている。自分の息子が妊娠させられるか検査できるか確認してないくせに。隣にいる、その痩せぽっちの頼りない男より俺はカーリーを大切にする。侮辱なんてしない。

 断ってくれ。他人の子供を馬鹿にする親が育てた息子なんて守ってくれない。
 映像が切れて元に戻る。

 数か月後、アレンの玉が光りだしたので同僚が呼んだので近づいた。騎士団の修練所にいた同僚の騎士たちはアレンが異世界に運命がいることを知っている。滅多に会うことが出来ない国の占い師から渡された玉を覗き見る。その場に居合わせた者が期待してどんな見た目なのか気になっていた。

 そこに映されていたのは異国の結婚式で着る白いウエディングドレスで、美しく着飾られた運命が頼りない男と結婚している姿だった。

「なぜ、アレンの運命が結婚式をしている」
「し、もう口にするな」

 同僚たちは何も知らない振りをして、異国の運命が美しいことを褒め称え相手の事は気が付かないふりをした。
 アレンは自分の運命が結婚してしまうことを最後まで見れなくなるまで見た。
 指輪の交換をして口づけする姿も見ていた。
 金の高価な指輪は自分は買ってあげられない。金持ちに嫁ぐのだろう。運命は幸せなはずだ。

 途中でアレンを修練所に呼びに来た者がいたが、部屋の前にいるアレンの友人が止めに入った。事情を知っている者が遠く離れた場所で説明をしていた。

「アレンの運命は美しい、異国の地で結婚をしている。何故か分からない。俺たちは言葉が分からない。止めることが出来ない。」
「そうか……」

 アレンを静かに同僚たちは見守った。アレンは運命が幸せならいい。声を出して叫びたい気持ちを我慢して、声を押し殺して泣いていた。

 数年後、アレンはまた占い師に呼ばれた。占い師に呼ばれる時はいいことはない。アレンは絶望を見せつけられるのに慣れている。占い師が運命がこの日にやってくるから騎士をやめて森で暮らせと言ってきた。やっと騎士の仕事にやりがいを見つけ慣れてきたところで、やめろと言われて納得なんてできなかった。

「俺の、運命は向こうの世界で幸せに暮らしている。俺は運命にとっていらない男なんだ」
「本当にそうかな。一度会ってから決めてもいいじゃないかい」

 騎士をやめず森の中で住むことで納得させて、アレンは運命がやってきたら追い出すつもりだった。やってきてから1週間なら元の世界にの元の時間に戻せると占い師が言っていたから、仕方なく指示通りに動いていた。

 1週間も経たずに出会っても追い返す。アレンは心に決めていた。

 森の中で待っていると真昼間なのに流星群が空に流れていた。あまりにも不思議な光景で呆気に取られていると目の前に光の粒が集まって人の形が出来上がると運命が目の前にいたのだった。

 祈るような姿勢でやってきた運命は黒髪に黒目の異国の顔立ちをしていた。運命の側に獣がいたので気が付かないうちに矢で倒して、獣を片付けて運命に近づいて声をかけた。

「お前が俺の運命の番なのか?」

 何か言われたのだが、異国の言葉は分かるはずなのに彼女の言葉が理解できない。玉越しで分かっていたのに。
 運命の名前は香織という名前
 同じ年ということ
 両親がいないことを説明された
 


 知っている君の事をずっと見ていた。名前も何度も練習した。でも詳しく名前を知らなかった。カーリーじゃなくてカオリという名前。何度も練習して呼ぶよ。



 喉が渇いていると思ったのでリリアンが飲みやすいと言っていた飲み物を出した。口にしないので、毒味するように飲んで渡すとやっと口に含んで飲みだした。アレンは胸の中が幸福で満ち溢れる気持ちになった。運命のことを思って、女性と付き合ったことがないアレンに刺激が強い行動だった。

 アレンは瓶に入った番よけのクリームを渡すためにドアを開けた。ノックを忘れたので慌てて付け足すようにノックした。下着姿の香織が目の前にいた。白い真珠のような肌、両手で持っても余りそうな胸、胸と比例して細く肉付きのいい腰、掴んだら気持ちよさそうなお尻。

 アレンは瓶の中身を香織に塗ることに決めた。上半身裸になり、香織に指示すると不服そうな顔で渋々脱いでいるのが可愛らしくて抱きしめたくなった。全裸になった香織を見て、アレンは運命が目の前に本当にいる感動で興奮した。
 中に入れたい気持ちを押し殺して、俯せになった香織の肌に丹念にクリームを塗りつける。首を噛まれていないか怪我をしていないのか確認して無骨な手のひらで馴染ませる。

 感じているのか声を抑えている香織をもっと刺激したくて、眠りかけている香織を起こして割れ目に指をなぞるように往復した。陰核の皮をむいて指でマッサージすると本人も気が付いていないが腰を揺らして誘っている。片手を口に入れると美味しそうにちゅぱちゅぱ舐めている、うっとりとした顔で舐める姿は興奮させられる。
 正気に戻ると手を口から離した。手に付いた香織の唾液を舐めると美味しかった。香織は陰核を弄られるのに夢中で気が付いていない。指を膣の中に入れると両手で止めて目を閉じて絶頂を迎えていた。

 指が中に触れた時ざらざらして気持ちよかった。結婚しているのでもっと緩いとアレンは思っていた。聞いた話ではもっと、つるつるしているとかなんとか。香織が一人で塗ると言って中の指を抜いた。
 
 香織に瓶の中身を顔にも塗るように言って部屋から出て行った。

 俺の運命はとても感じやすく快楽に弱いらしい。とアレンは思った。
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