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第31話

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 浴室でシャワーを浴びながら、僕達は舌を絡ませ合っている。
 互いの手は、互いの屹立したペニスを握りしめ、快楽の可能性を貪欲に探し求めている。
 幾度も僕は壁と床に白濁をまき散らし、また、佐賀美さんの源液を一滴残らずこの躰で受けとめた。
 控え室で首筋に刻印された愛の痕はさらに増え、しばらくは人前で服は脱げない。
 未だ静まらぬ二人の色情は、一体いつまで続くのか――
 
 リビングの床には、脱ぎ散らかした二人の衣服と下着。
 僕のワイシャツは、もう使い物にならない。佐賀美さんに引き裂かれてしまったから。
 あの後、佐賀美さんは僕の服も下着も一気に剥ぎ取った。それから自身も服を脱ぎ、一糸まとわぬ姿となった。
 僕は激しく抵抗したけれど、今度ばかりは佐賀美さんも本気を出した。なのでピアノで培われた握力と腕力に僕が勝てるはずもなく、結局はされるがまま。
 けれど躰は悦び、男根はバンバンに膨張して天井を向く。乳首は乳輪までもが盛り上がり、切なく疼いたのだった。
 
 佐賀美さんは僕を全裸にした後、力任せに
両方の内股をこじ開く。そして照明の下、剥き出しになった恥部を時間をかけてしつこく凝視した。
「フジの、全部見える。ここも、あそこも」
「やッ……!」
 淫猥な視線に耐えられず、両手で興奮しきったそれらを覆う。
「手を退けろ」
「いやです」
 乳首を太立ちさせ、さらにM字開脚のポーズで欲情した性器とアナルを両手で隠すという、卑猥な姿で拒絶する。
「命令だ。手を退けろ。全部見せなさい」
 その声は、控え室で聞いた、あの威厳に満ちた声だった。
 途端、僕は抵抗する力を瞬時に奪われてしまった。
「――」
 両手を左右の床へ、それぞれ投げ出す。
「よろしい。そのままでいなさい」
 そう満足げに頷くと、全開となった僕の恥部へ顔を近づける。
 男根に熱い吐息がかかり、カリの辺りが、ぶんぶんに張りつめる。
「フジのは、どんな味だろうな?」
 舌先を尖らせ、先端をチロチロと舐め始めた。
「は……ウん」
 触れるか触れないか、その中間のような愛撫に僕は悶える。性蜜はびゅるびゅると湧き、根元へと伝う。
「うん、美味しい。では――ここはどうかな」
 顔を後孔に近づけ、硬くした舌先で突っつく。
「ひいッ」
 ガクンと腰が動き、雄幹もブルン、と連動して揺れた。
「可愛い入り口だ。ご挨拶しなくては」
 闇穴を人差し指と中指で押し広げ、チュッとキスをする。
「アッ、ああ! やめてくださいっ。そこは……ッ!」
 しかし躰は正直だ。腰を浮かせて限界まで開脚し、愛を受け入れる体位を無意識にとってしまう。
「やめてだと? 誘ってるじゃないか。こんな恥ずかしいポーズまでして」
「……ッ」
 僕は赤面して、顔を横に背ける。
「本当は、欲しいんだろう?」
 佐賀美さんは上半身を起こすと、カチカチになっている僕の陰茎を強く握る。
「こんなに硬くして……悪い子だ」
 そう言って、先端を指先で筋に沿って往復する。
「やめ……て……あ……いや……あ」
 顎が上がり、乳首もさらに尖る。
「ここか? ここが、気持ちいいのか?」
 指の動きはいっそう早くなり、その刺激に僕の唇からは喘ぎ声が漏れる。
「フジ、ぬるぬるだよ、ほら」
 濡れて糸を引く淫らな指先を僕に見せる。そして再び先端を執拗にいたぶり続けた。
「お願……い……止め……て……」
 絶頂が幾度も襲う。だが、そのたびに歯を食いしばって我慢した。
 現実が恐くて、理性が快楽を味わうのを必死で抑制しているのだ。
 でも躰は激しく欲しがっている。
 佐賀美さんとのセックスを探求したくて、猛烈に発情しているのだ。
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