36 / 71
怖いこと
しおりを挟む
「祖母が亡くなってからレッスン量が増えて……」
「お前は従うだけの人形と化したわけか」
子供には親しかいない。親からの期待を感じると応えなければと思ってしまう。応えることができれば親は喜んでくれることを知っていたから。
嫌だと拒んだところで怒られ、手を叩かれる子供に拒否権も選択権もない。あるのは従順一択。
「あの日から全て変わったわ。アイスクリームもジュースも禁止されて、祖母としてたこと全部できなくなった。何を言ってもダメの連続」
「父親はお前に甘かったんじゃなかったか?」
「甘いのは父親の意に添うお願いをしたときだけよ。一枚でいいから毎日食べたいと言っても食べさせてはもらえないし、馬車から降りないから街を見てみたいと言っても門にさえ近寄らせてはもらえないんだから」
「勝手だな。あと五年で捨てるくせにな」
「耳がいいのも問題ね」
いつ何を報告しようともエイベルは全て知っている。だから隠し事はできないし、嘘もつけない。でも報告のしがいがないと思わないのは、知っていながらもちゃんと最後まで話を聞いてくれるから。
「あなたってもうそれ以上は老けないの?」
「そうだな」
「ダークエルフに老人はいないの?」
「老け方にも個人差があるからな、いないわけではないが少ないな」
老いることがない相手が羨ましいと言葉にはしないが、エイベルはクラリッサの顔を見ていれば何を思っているかわかった。
「老いることが怖いか?」
直球な問いかけにクラリッサが苦笑する。
「老いることが必ずしも悪いとは言わないって祖母は言ってたわ。老いていくことで得る美しさもあると。でも私は……」
「永遠の美しさを求められている、か?」
「そう……」
求められているのは完璧な美。一寸の歪みもない完璧な姿なのだ。鑑賞して楽しめる美しさを皆が求めている。そこに老いは許されないものとして存在している。だから歳を重ねるのが恐怖として存在していた。
「人間にとって老いは自然の摂理だろう」
「そうよ。自然なことよね。でも私がそれを自然なことだと言っても、きっと誰もそれを受け入れてはくれない。私は老いることが許されないのよ」
歳を重ねる度に想像する最悪の光景。それに何度震えて涙したかわからない。ただの想像なのに、まるでそれが予知であるかのように現実的に襲ってくる。人の感情も己の感情も全て。
「だから老いるのが怖い」
「お前とて人間だ。老いも仕方ないと受け入れるさ」
エイベルの言葉どおりならどんなにいいだろう。クラリッサには容易に想像できてしまうのだ。今、熱心にパーティーに通って貢ぎ物を嬉々として披露する彼らが冷めた顔で老いた鑑賞用王女を見るのが。
あくまでも想像。でも想像だけでも耐えられない。
「私が老いたら誰も私を見なくなるわ。だって彼らが好きなのは若くて美しい人形のような私なんだもの」
「飽きられればお前はもう人形として生きる必要はなくなるんだぞ。何を恐れる必要がある?」
「そのあとに待ってるのは何? 鑑賞用として生きてきた女にその価値がなくなる。嫁ぎ先で愛してもらえるとは限らない。価値のなくなった女を誰が愛してくれるの?」
必死な形相に彼女の恐れを感じる。言葉にするよりもずっと明確で、自分につけられている価値を理解しているのだと胸が痛くなった。
怯える姿さえも可憐だと思うエイベルは容易に言葉を発することはしない。この感情は向けるべきではないと思ったから。自分は薄汚い人間とは違うと思っていながらもクラリッサに老いを感じたとき、今までと変わらず鑑賞用として眺められるだろうかと疑問が浮かんだ。
老いる恐怖は老いを知らないエルフにはわからない感情。同情も慰めもできない。
「一番美しい娘が老いたとしても結局は美しいままだ」
あと五年もすればクラリッサは間違いなく今より老いたと言われるだろう。老いているのだから当然だが、そんな当然のことが許せない人間がいる。父親を筆頭に、クラリッサを鑑賞用として眺める人間たちだ。そして悲しいかな、クラリッサ本人も。
なぜ老いてなお美しいと信じてやらないのかが、エイベルにはわからない。自分が若い頃のままではないことなど鏡を見ずともわかるはずなのに、なぜ不可能なことを期待するのかがわからなかった。
それも全て人間が愚かだという証拠でしかなく、エイベルはそれにさえ嫌悪する。
「一番……」
クラリッサが呟く。
「一番って言葉は大嫌い」
短い言葉に込められた心からの感情をこぼす様を黙って見つめる。
「一番美しいとか、お前が一番だとか……一番一番一番一番……それを言われる度に息が詰まりそうになる。二番になることは許さないって言われてるようで……怖くなるの」
恐怖の中で戦いながら生きていることを知っている人間はどれだけいるのだろうか。家族でさえ知らないだろうことをこの場で吐露することは信頼されているようで嬉しいが、今この場で喜びを表現することはできない。
「一番じゃない私に価値はないって……きっと言われるんだわ」
恐怖は膨れ上がれば被害妄想が始まる。クラリッサは自分の価値を定めるために鑑賞用王女を演じ続けている。今日も明日も明後日もクラリッサは家族に不安だと吐き出すことはせず、完璧な笑顔で生きていく。それはまるで止まるのを待つ時計のよう。動いている物はいつか止まる。生きていれば必ず老ける。当たり前のことを当たり前として受け入れない人間にあと何年苦しめられるのだろうと、エイベルはたまらずクラリッサを強く抱きしめた。
「お前が嫁に行きたくないと言うのなら森に来ればいい」
「あなたがお嫁にもらってくれるの?」
「この森で暮らせばいいだけだ。そうすればもう鑑賞用である必要はないのだからな」
出会ったときから何度も言ってくれる言葉だが、クラリッサはそれにイエスとは答えられない。今は特に。
ダークエルフに家族の概念はない。だから夫も妻も子供もない。家族という形を取ってない以上は自分が森に入ってエイベルと暮らしたところで森の中で異端者になるだけで、あの気の強い女たちが黙っているとは思えなかった。自分がそれに耐えられるとも。
「そうやって逃げ道を作ってくれるなんて優しいのね」
「頭の片隅に置いておけ。本気で逃げ出したくなったら手伝ってやる」
「ええ、ありがとう」
エイベルも無理強いするつもりはなかった。ただ、既に情が移っている相手が苦しんで涙するのは見ていられない。涙する姿は美しくともエイベルが見たいのは喜びの涙。逃げ出したときに開放感でその涙が見られればと思っている。
「今はまだ大丈夫。おばあさまの言葉が私を救ってくれてるから。いつか王子様が現れるって信じてる。ふふっ、リズの気持ちが少しわかるの。大好きな人のお姫様になりたいって。もうそんな歳じゃないけどね」
「人間の中には老嬢というのがいるんだろう?」
「ええ」
未婚の老人の令嬢をそう呼ぶことは以前、兄から聞いたことがある。顔にいくつものシワが刻まれていようともまだ結婚を諦めず、パーティーに出席して結婚相手を探しているのだと。
父親がパーティーを開催することによって、そういう人にもチャンスが増えればと思ったこともあったと思い出して苦笑混じりではあるが、クラリッサの表情が柔らかくなる。
「夢を見るのに年齢など関係ないんじゃないか?」
「……じゃあ、あなたはまだ夢を持ってる?」
不老不死のエルフが夢を持っているのかと問いかけるクラリッサのどこか冷めたような声色にエイベルは目を逸らさなかった。心のどこかでエルフに何がわかるんだと思っているのではないかと感じさせるような声だ。しかし、エイベルはそれを不愉快には思わない。さっきの言葉は慰めるための言葉に過ぎない。エイベルは夢など持ってはいない。これから終わりの見えない人生を歩んでいく中で夢をもつだけ無駄だと思っているから。夢を持つ者を見下しさえしてきたのだ。
「夢……というと、少し違うかもしれないが……」
「聞かせて」
縋るような目と言い方にクラリッサの背中を赤子をあやすように軽く叩くと彼女の頬が肩に乗った。
「自由を得ることだ」
驚いた顔をするクラリッサにエイベルが珍しく苦笑を見せる。
「自由じゃないの?」
「森の中では自由だが、外を自由に闊歩はできん」
嫌われているから?とは失礼すぎて聞けなかった。
「そういう契約だからだ」
クラリッサの心を読んだような答えにクラリッサの思考が停止する。
契約で自由を奪われるようなことがあるのだろうかと思うが、自分も父親との約束で自由に外を闊歩することができない。したことがない。だが、エイベルはダークエルフの長で、誰にも縛られることなどないはず。その長が自由を得て外を闊歩したいと言う理由がわからなかった。
「誰と契約を結んだの?」
「俺の先祖が人間と交わした契約だ」
「外に出るなって?」
「要約すればそうだな」
ダークエルフの森は小さくはないが、大国とも呼べないモレノスにあるのでは巨大とも言えない広さ。その森に何人のダークエルフが住んでいるのかは知らないが、ダークエルフの森がそこにあるのに庭に出ても一度もダークエルフを見たことがなかった理由はそれかと納得すると共にキリがない驚きに眉を寄せた。
「どうしてそんな契約を?」
ダークエルフと人間は昔、今と違って契約の話が持ち上がるほどの交流があったということ。なぜ今、彼らは憎み合っているのか。誰に聞いても教えてくれなかった理由がそこにあると顔を上げてエイベルに問いかけると返ってきた表情は恐ろしいほど冷めたもので
「戦争のせいだ」
そう言い放つ声も恐ろしいほど冷たいものだった。
「お前は従うだけの人形と化したわけか」
子供には親しかいない。親からの期待を感じると応えなければと思ってしまう。応えることができれば親は喜んでくれることを知っていたから。
嫌だと拒んだところで怒られ、手を叩かれる子供に拒否権も選択権もない。あるのは従順一択。
「あの日から全て変わったわ。アイスクリームもジュースも禁止されて、祖母としてたこと全部できなくなった。何を言ってもダメの連続」
「父親はお前に甘かったんじゃなかったか?」
「甘いのは父親の意に添うお願いをしたときだけよ。一枚でいいから毎日食べたいと言っても食べさせてはもらえないし、馬車から降りないから街を見てみたいと言っても門にさえ近寄らせてはもらえないんだから」
「勝手だな。あと五年で捨てるくせにな」
「耳がいいのも問題ね」
いつ何を報告しようともエイベルは全て知っている。だから隠し事はできないし、嘘もつけない。でも報告のしがいがないと思わないのは、知っていながらもちゃんと最後まで話を聞いてくれるから。
「あなたってもうそれ以上は老けないの?」
「そうだな」
「ダークエルフに老人はいないの?」
「老け方にも個人差があるからな、いないわけではないが少ないな」
老いることがない相手が羨ましいと言葉にはしないが、エイベルはクラリッサの顔を見ていれば何を思っているかわかった。
「老いることが怖いか?」
直球な問いかけにクラリッサが苦笑する。
「老いることが必ずしも悪いとは言わないって祖母は言ってたわ。老いていくことで得る美しさもあると。でも私は……」
「永遠の美しさを求められている、か?」
「そう……」
求められているのは完璧な美。一寸の歪みもない完璧な姿なのだ。鑑賞して楽しめる美しさを皆が求めている。そこに老いは許されないものとして存在している。だから歳を重ねるのが恐怖として存在していた。
「人間にとって老いは自然の摂理だろう」
「そうよ。自然なことよね。でも私がそれを自然なことだと言っても、きっと誰もそれを受け入れてはくれない。私は老いることが許されないのよ」
歳を重ねる度に想像する最悪の光景。それに何度震えて涙したかわからない。ただの想像なのに、まるでそれが予知であるかのように現実的に襲ってくる。人の感情も己の感情も全て。
「だから老いるのが怖い」
「お前とて人間だ。老いも仕方ないと受け入れるさ」
エイベルの言葉どおりならどんなにいいだろう。クラリッサには容易に想像できてしまうのだ。今、熱心にパーティーに通って貢ぎ物を嬉々として披露する彼らが冷めた顔で老いた鑑賞用王女を見るのが。
あくまでも想像。でも想像だけでも耐えられない。
「私が老いたら誰も私を見なくなるわ。だって彼らが好きなのは若くて美しい人形のような私なんだもの」
「飽きられればお前はもう人形として生きる必要はなくなるんだぞ。何を恐れる必要がある?」
「そのあとに待ってるのは何? 鑑賞用として生きてきた女にその価値がなくなる。嫁ぎ先で愛してもらえるとは限らない。価値のなくなった女を誰が愛してくれるの?」
必死な形相に彼女の恐れを感じる。言葉にするよりもずっと明確で、自分につけられている価値を理解しているのだと胸が痛くなった。
怯える姿さえも可憐だと思うエイベルは容易に言葉を発することはしない。この感情は向けるべきではないと思ったから。自分は薄汚い人間とは違うと思っていながらもクラリッサに老いを感じたとき、今までと変わらず鑑賞用として眺められるだろうかと疑問が浮かんだ。
老いる恐怖は老いを知らないエルフにはわからない感情。同情も慰めもできない。
「一番美しい娘が老いたとしても結局は美しいままだ」
あと五年もすればクラリッサは間違いなく今より老いたと言われるだろう。老いているのだから当然だが、そんな当然のことが許せない人間がいる。父親を筆頭に、クラリッサを鑑賞用として眺める人間たちだ。そして悲しいかな、クラリッサ本人も。
なぜ老いてなお美しいと信じてやらないのかが、エイベルにはわからない。自分が若い頃のままではないことなど鏡を見ずともわかるはずなのに、なぜ不可能なことを期待するのかがわからなかった。
それも全て人間が愚かだという証拠でしかなく、エイベルはそれにさえ嫌悪する。
「一番……」
クラリッサが呟く。
「一番って言葉は大嫌い」
短い言葉に込められた心からの感情をこぼす様を黙って見つめる。
「一番美しいとか、お前が一番だとか……一番一番一番一番……それを言われる度に息が詰まりそうになる。二番になることは許さないって言われてるようで……怖くなるの」
恐怖の中で戦いながら生きていることを知っている人間はどれだけいるのだろうか。家族でさえ知らないだろうことをこの場で吐露することは信頼されているようで嬉しいが、今この場で喜びを表現することはできない。
「一番じゃない私に価値はないって……きっと言われるんだわ」
恐怖は膨れ上がれば被害妄想が始まる。クラリッサは自分の価値を定めるために鑑賞用王女を演じ続けている。今日も明日も明後日もクラリッサは家族に不安だと吐き出すことはせず、完璧な笑顔で生きていく。それはまるで止まるのを待つ時計のよう。動いている物はいつか止まる。生きていれば必ず老ける。当たり前のことを当たり前として受け入れない人間にあと何年苦しめられるのだろうと、エイベルはたまらずクラリッサを強く抱きしめた。
「お前が嫁に行きたくないと言うのなら森に来ればいい」
「あなたがお嫁にもらってくれるの?」
「この森で暮らせばいいだけだ。そうすればもう鑑賞用である必要はないのだからな」
出会ったときから何度も言ってくれる言葉だが、クラリッサはそれにイエスとは答えられない。今は特に。
ダークエルフに家族の概念はない。だから夫も妻も子供もない。家族という形を取ってない以上は自分が森に入ってエイベルと暮らしたところで森の中で異端者になるだけで、あの気の強い女たちが黙っているとは思えなかった。自分がそれに耐えられるとも。
「そうやって逃げ道を作ってくれるなんて優しいのね」
「頭の片隅に置いておけ。本気で逃げ出したくなったら手伝ってやる」
「ええ、ありがとう」
エイベルも無理強いするつもりはなかった。ただ、既に情が移っている相手が苦しんで涙するのは見ていられない。涙する姿は美しくともエイベルが見たいのは喜びの涙。逃げ出したときに開放感でその涙が見られればと思っている。
「今はまだ大丈夫。おばあさまの言葉が私を救ってくれてるから。いつか王子様が現れるって信じてる。ふふっ、リズの気持ちが少しわかるの。大好きな人のお姫様になりたいって。もうそんな歳じゃないけどね」
「人間の中には老嬢というのがいるんだろう?」
「ええ」
未婚の老人の令嬢をそう呼ぶことは以前、兄から聞いたことがある。顔にいくつものシワが刻まれていようともまだ結婚を諦めず、パーティーに出席して結婚相手を探しているのだと。
父親がパーティーを開催することによって、そういう人にもチャンスが増えればと思ったこともあったと思い出して苦笑混じりではあるが、クラリッサの表情が柔らかくなる。
「夢を見るのに年齢など関係ないんじゃないか?」
「……じゃあ、あなたはまだ夢を持ってる?」
不老不死のエルフが夢を持っているのかと問いかけるクラリッサのどこか冷めたような声色にエイベルは目を逸らさなかった。心のどこかでエルフに何がわかるんだと思っているのではないかと感じさせるような声だ。しかし、エイベルはそれを不愉快には思わない。さっきの言葉は慰めるための言葉に過ぎない。エイベルは夢など持ってはいない。これから終わりの見えない人生を歩んでいく中で夢をもつだけ無駄だと思っているから。夢を持つ者を見下しさえしてきたのだ。
「夢……というと、少し違うかもしれないが……」
「聞かせて」
縋るような目と言い方にクラリッサの背中を赤子をあやすように軽く叩くと彼女の頬が肩に乗った。
「自由を得ることだ」
驚いた顔をするクラリッサにエイベルが珍しく苦笑を見せる。
「自由じゃないの?」
「森の中では自由だが、外を自由に闊歩はできん」
嫌われているから?とは失礼すぎて聞けなかった。
「そういう契約だからだ」
クラリッサの心を読んだような答えにクラリッサの思考が停止する。
契約で自由を奪われるようなことがあるのだろうかと思うが、自分も父親との約束で自由に外を闊歩することができない。したことがない。だが、エイベルはダークエルフの長で、誰にも縛られることなどないはず。その長が自由を得て外を闊歩したいと言う理由がわからなかった。
「誰と契約を結んだの?」
「俺の先祖が人間と交わした契約だ」
「外に出るなって?」
「要約すればそうだな」
ダークエルフの森は小さくはないが、大国とも呼べないモレノスにあるのでは巨大とも言えない広さ。その森に何人のダークエルフが住んでいるのかは知らないが、ダークエルフの森がそこにあるのに庭に出ても一度もダークエルフを見たことがなかった理由はそれかと納得すると共にキリがない驚きに眉を寄せた。
「どうしてそんな契約を?」
ダークエルフと人間は昔、今と違って契約の話が持ち上がるほどの交流があったということ。なぜ今、彼らは憎み合っているのか。誰に聞いても教えてくれなかった理由がそこにあると顔を上げてエイベルに問いかけると返ってきた表情は恐ろしいほど冷めたもので
「戦争のせいだ」
そう言い放つ声も恐ろしいほど冷たいものだった。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられ聖女は、王太子殿下の契約花嫁。彼の呪いを解けるのは、わたしだけでした。
鷹凪きら
恋愛
「力を失いかけた聖女を、いつまでも生かしておくと思ったか?」
聖女の力を使い果たしたヴェータ国の王女シェラは、王となった兄から廃棄宣告を受ける。
死を覚悟したが、一人の男によって強引に連れ去られたことにより、命を繋ぎとめた。
シェラをさらったのは、敵国であるアレストリアの王太子ルディオ。
「君が生きたいと願うなら、ひとつだけ方法がある」
それは彼と結婚し、敵国アレストリアの王太子妃となること。
生き延びるために、シェラは提案を受け入れる。
これは互いの利益のための契約結婚。
初めから分かっていたはずなのに、彼の優しさに惹かれていってしまう。
しかしある事件をきっかけに、ルディオはシェラと距離をとり始めて……?
……分かりました。
この際ですから、いっそあたって砕けてみましょう。
夫を好きになったっていいですよね?
シェラはひっそりと決意を固める。
彼が恐ろしい呪いを抱えているとも知らずに……
※『ネコ科王子の手なずけ方』シリーズの三作目、王太子編となります。
主人公が変わっているので、単体で読めます。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
女嫌いな騎士が一目惚れしたのは、給金を貰いすぎだと値下げ交渉に全力な訳ありな使用人のようです
珠宮さくら
恋愛
家族に虐げられ結婚式直前に婚約者を妹に奪われて勘当までされ、目障りだから国からも出て行くように言われたマリーヌ。
その通りにしただけにすぎなかったが、虐げられながらも逞しく生きてきたことが随所に見え隠れしながら、給金をやたらと値下げしようと交渉する謎の頑張りと常識があるようでないズレっぷりを披露しつつ、初対面から気が合う男性の女嫌いなイケメン騎士と婚約して、自分を見つめ直して幸せになっていく。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました
下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。
そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。
自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。
そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる