GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第一章・旅立ち ―

第13話 元金山

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[鮮紅せんこうの豹一団]によって、見張り達が敗れ去った。

団長であるラーザが、

「よし! このまま一気に行こう!」

と、揚々とする。

それに対して、副団長の弥太郎が、

「ここまでは上出来だったが、ここら先は分からん。」
「洞窟内は不明だしな。」

と引き締めたのである。

秀嗣ひでつぐが、

「ならば、俺とウィヴが先頭に立とう。」

と、提案し、皆が同意した。


内部の道幅は、5人程が横に並べるくらいの広さだ。

しかし、そのパーティーは、2列になって進んでいる。

隙間ない状況で襲撃されてしまったら、対応できないからだ。

確かに、一番前には【忍者】と【盗賊】がいた。

トラップを警戒して。

二番目以降に、メンバーの中でも強い方のサーヴァントが続き、真ん中あたりに【武闘家】と【剣士】が見受けられる。

弥太郎も、そのあたりに居た。

背面から急襲されるのを懸念して、ラーザとバウンが最後尾を固める。

[兎の半獣]であるラットが、

「それにしても静かだねぇ~。」
「私の耳でも、この洞窟に何かしらが生息しているかどうか捉えきれないぐらいだよ。」

と述べる。

「ふむ…。じゃが、まぁ、油断せぬことじゃな。」

と、年長者たるイザッドが意見した。


ゆるやかな坂を登っていくこと、およそ30分。

直径20Mほどの、いびつな円形状の広場に出た。

両端には2つずつテーブルが置いてあり、幾つかの丸椅子が乱雑している。

おそらく、かつての作業員たちにとっての、小休憩の場所だったのであろう。

正面には、道が二つある。

弥太郎が、

「どうする? ラーザ。」

と声を掛けてきたので、

「二手に分かれるしかないみたいだね。」

と、答えた。

主だった者たちの話し合いによって、ラーザ率いる[A班]が右側の道に、弥太郎の[B班]が左に。と決まったようだ。

ちなみに紫蓮しれんは、A班である。


それから10分――。

B班が、今度は直径40M前後のひらけた場に到着したようだ。

そこには、10体のジャイアントアントに、5体のホブゴブリンと、1体のゴブリーナの、姿があった。

「さっきまでとは打って変わって、なかなか強そうじゃないか。」

と口を開いたのは、ウィヴだ。

ラットが、

「どうやら、あのゴブリーナがボスみたいだね。」

と、察知する。

「敵も、やる気満々のようじゃのぉ。」

とイザッドが認識した。

弥太郎が、静かに、

「上等だ。」

と、刀の柄を掴んだ。


杖の先に直径1Mの魔法陣を出現させたイザッドが、[氷撃]を乱射した。

魔法陣と同じ幅で、長さは1Mあり、楕円形が全体的にかくばった感じだ。

ドンッ!ズバンッ!

と次から次に、ジャイアントアントが、これをくらう。

全身を覆っている硬めの甲殻にヒビが入り、B班のサーヴァント達が、そこを狙った。

ラットに、ウィヴなどは、ホブゴブリンどもの攻めをかわしている。

十中八九、殺した人族や獣人族に妖精族から奪ったのだろう。

連中は、[騎士系]と[戦士系]の、銅製の武器と防具を装備していた。

薙ぎ払われる大剣や斧をくぐっては、[水のスキル]や、アサシンダガ―等で、ダメージを与えていく。

離れた位置から【弓使い】が援護射撃しているのも、功を奏しているようだ。

弥太郎は、リーダー各とおぼしきゴブリーナと、一騎討ちになっていた。

こちらも、元々は人間などの装備品だったのであろう[鉄の爪]で、刺そうとしたり引っかこうとしてくる。

それを、弥太郎が、

ガキィンッ!ガシャンッ!

と、受け止めては、上下左右に刀を振るう。

時折、[風撃]も織り交ぜるが、どれもこれもギリでけられた。


5分は経っただろうか?

互角の弥太郎とゴブリーナが、肩で息しながら睨み合っている。

(一進一退になるとはな…。)
(こいつ、やりやがる。)

〝ギリッ!〟と歯軋りした弥太郎に、ゴブリーナが飛び掛かってくる。

が。

右側面から、

ズバァアンッ!

と[雷撃]が直撃した。

弥太郎が、その方向に視線を送ったところ、

「余計なお世話じゃったかのう?」

と、イザッドが、いささか申し訳なさそうにする。

「いや、助かった。」

と軽く会釈した弥太郎が、その場に崩れ落ちて痙攣しているゴブリーナの首筋を、刀で突いた。


弥太郎が自身のパネル画面を操作して、魔鉱石を収集していたら、ラットが、

「んん~、ここって本当に“ボスの間”だったのかなぁ?」

と疑問を呈し、

「いや、確かに、強かったんだけど…。なにせ、弥太郎と五分五分だったからね。」
「でも、何となく物足りないっていうか、さ。」

と、言葉を続けたら、ウィヴが、

「うむ。ラーザたちの方に強敵がいる可能性は否めないな。」

と肯定した。


何やら不安に駆り立てられたB班が、もう一本の道を走り、A班たちの所に辿り着く。

そこで見た光景は、誰もが膝を屈していたり横倒れになっているさまだった。

ラーザも、紫蓮も、例外なく―。
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