GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第28話 敵国へ

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ひと際大きなテント内には、国主である清虎きよとらに、虎政とらまさ晴清はるきよと、東西南北の領主が集まり、軍議用のテーブル席で飲酒していた。

みなが談笑しているところ、清虎が、

「このまま北上しようと思う。」

と口を開いたので、その場が静まり返ってしまったのである。

晴清の、

「制圧なさるので?」

との問いに、

ゆくゆく・・・・は、の。」
「まずは国境付近の城塞都市を手に入れ、少しずつ版図を拡げていく算段である。」

と、答えた清虎が、更に、

「嫡子である虎政に家督を譲り、ヒーゴン国を任せる所存じゃ。」

と告げたのだ。

これには、虎政が、

「親父殿が乗り込むつもりで!?」

と、目を丸くし、晴清が、

「逆に、我らが敵国を攻略しますので、父上は首都に戻られては?」

と続いたのである。

しかし、

「いいや。」

と、首を横に振った清虎が、

「最終的には、かの国を晴清に治めさせるつもりではあるが…、それまでの間は虎政を補佐して政務を学んでおいてもらいたい。」
「これから年老いていく儂ならばいざ知らず、将来のあるお前たちを失う訳にはいかん。」
「何が起きるから分からんしのぉ。」

と述べたのだった。

数秒の沈黙を経て、

「ならば、父上に目付役を付けておきましょう。」

と、言いだした晴清に、

「なぬッ?!」

と清虎が反応を示したのである。

「ふははははッ!!」

と、豪快に笑った虎政が、

「それは良いッ!」

と何度も頷く。

「では、姉上と、涼にも、伝えて、それぞれの子を一人だけ送らせましょう。」
「跡継ぎ以外を。」

と、促す晴清だった。

ちなみに、彼らは4兄弟で、長男:虎政/長女:さち/次男:晴清/次女:りんの順である。

東方領主で【狙撃手】の女性が、清虎に、

「国境を超える人員は、どのようになさるおつもりでしょうか?」

と尋ねた。

37歳の彼女は、スレンダーな体型で、白金の髪を背中あたりまで伸ばしており、瞳はライトブラウンだ。

なかなかに美形である東方領主の質問に、

「今から選別したとて、時間がないしのぉ…。」
「う~む。」

と、清虎が悩む。

そこで、よわい61の西方領主が、

「ひとまず、全軍を投入し、城塞を陥落してから、そこで生活する者たちを決めれば宜しいのでは?」

と提案したのだった。

こちらは、白髪交じりの髪を〝お団子〟にしている。

瞳が青く、小太りである彼女のジョブは【クレリック】だ。

そんな東方領主の意見に、北方領主と南方領主の男性陣が同意する。

【騎士】である北方領主の年齢は58で、ダークブラウンの髪を短く刈っており、瞳は金色だ。

南方領主は33歳の【魔術師】で、華奢な体つきであり、眉辺りまでの長さの髪と瞳は黒い。

何はともあれ、

「うむ。西方領主の案を採用しよう。」
「それでは明日あす、“南陸なんりく第十神国しんこく”へと足を踏み入れようぞ!」

と、まとめる清虎であった。


翌日、朝食を済ませたヒーゴン国が進軍を開始する。

小一時間後のAM9:00頃に、目的地に到着した軍勢が、城塞都市を包囲していくのだった―。
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