GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第三章・南陸行路 ―

第70話 道中

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紫蓮しれんたちが城を出立してから二週間以上が経過している。

彼らは、現在、ヒーゴン国の南に位置する[オゥスミ―国]に入っていた。

この国の北側に在る関所を抜けた紫蓮たちは、南東へと歩を進めている。

それまでの道中、何度か野営していたが、今日もテント(ゲル)を張ったようだ。

幅が3Mほどの“土の道”から幾らか離れた位置に。

ゲルは、4人くらいが横になれるサイズなので、新たに購入したのだろう。

ともあれ、夜も深まり、テント内で一人と二体が眠っている。

紫蓮の左横で仰向けになっている権蔵ごんぞうが、〝ピクッ!〟と反応を示す。

ほぼ同時に、彼らの頭あたりで“球体”になっていた来夢らいむが、正座の姿勢で〝シュルンッ!〟と人型になった。

権蔵が上体を起こし、来夢が右手で〝ぺし ぺし〟と紫蓮の額を叩く。

「ん? んんーッ。」

目を覚ました紫蓮に、

「マスター、敵の、気配。」

来夢が告げる。

こちらも〝むくり〟と体を起こして、

「数は?」

と訊ねた。

「20ぐらいです。」
「距離は10Mほどで、こちらを囲もうとしています。」

答えたのは権蔵だ。

この二体は進化して以来、感知する能力が若干ながら上がっているようだ。

お陰で、幾度か同じような状況に遭ったものの、寝首を搔かれずに済んできたのである。

「しょうがねぇ…、早いとこ片付けるか。」

そう述べる紫蓮だった。


ゲルを包囲した連中が〝ジワリ ジワリ〟と距離を詰めてくる。

テントの南側の出入口が開くなり、〝ビカッ!〟と光が発せられた。

次の瞬間、正面に居た奴が〝ズバァンッ!!〟と、それ・・をくらい、痙攣しながら、うつ伏せで倒れていく。

間違いなく紫蓮の“雷撃”だ。

敵どもが軽くパニックに陥るなか、紫蓮を先頭に、来夢と権蔵が、飛び出してくる。

来夢が右斜め前に“毒霧”を、権蔵は左斜め前に“火の玉”を、それぞれ放った。

「グワッ!」

「ギャッ!」

もがき苦しむ奴らを、月明かりが照らす。

そこには、ゴブリンや、ラージマウスに、アルミラージなどの、魔物が見受けられた。

「人間の賊じゃなかったか…。」

呟いた紫蓮が、

「ま、誰であれ、喧嘩を売ってきたからには、容赦なく、ぶっ潰すけどな。」

と、告げる。

既に5体が再起不能となっているなかで、

「アギャーッ!!」

東側のゴブリンが合図を出し、モンスター達が突進を開始した。
北側の面子も回り込んで来る。

ちなみに、魔物らの目当ては人肉・・のようだ。

紫蓮が、抜いた刀に雷を纏わせる。

東側の面子に、それを左から右へと払い、幅25㎝×長さ2.5Mの[雷の刃]を、横一文字に飛ばして、

ズババババァッ!!

と三体に命中させた。

上手いこと逃れた連中が走ってくるところを、権蔵が槍を振るって阻止する。

西側では、来夢が、手刀や踵落としなどを駆使して、ダメージを負わせていた。

紫蓮が自身の右足に、

バチッ、バチバチッ、バチィッ!

雷を宿す。

これを〝ブンッ!〟と蹴り上げて、発射したら、一匹のラージマウスに直撃したのである。

そこからは、夜中の迷惑な訪問者たちを、紫蓮・来夢・権蔵が、刀や素手に槍で、次々と屠っていったのだった―。
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