GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第四章・西陸行路 ―

第160話 十人目の。

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ランダ―とスリアは、タリアノのテント(ゲル)内に通されていた。

余談だが、ランダ―は、ブラックのワイシャツ・シルバーのネクタイ・グレーのストライプスーツといった格好になっている。

[休憩室]にて。

「なんか、すみません。」
「僕のサーヴァント達にまで部屋を与えてくださって…、ありがとうございます。」

ランダ―が会釈した。

「お前は、もう、“GOD SLAYER’S”の一員になったんだから気にすんなって。」
「俺たちのサーヴァントらも、それぞれに個室を所有していることなんだし。」
「な? タリアノ!」

グーランが視線を送り、

「ええ。」
「その通りです。」

“眼鏡の魔術士”が頷く。

各々に好きな飲み物を注いでいたコップを口に運ぶなか、

「そういえば…。」
「武術マスター殿が、ランダ―を我々のパーティーへと勧める際に、〝過去の出来事からしても、お主が最も相応しかろう〟と言っておられたが、何かあったのか??」
「いや、話したくないのであれば、無理強いはせぬので、構わんが。」

撫子なでしこが伺う。

これを受けて、

「あー、それはですね……。」

“銀髪の青年”が語りだした。


彼によれば、“西陸さいりく第八神国しんこく”は、もともと[ヒッダー]という人間の国だったのだそうだ。

それが、ランダ―が10歳だったときに、南東に位置する“西陸第四神国”が攻め込んできたのだと…。

ランダ―が生まれ育った町は蹂躙され、祖父母と両親に妹を失ったとのことである。

このとき、近所の親戚宅に訪れていたランダ―は、そこの人々に連れられて脱出し、一ヶ月ぐらいかけて、ヒッダーの西に隣接している[ミーノン国]の首都に逃れたのだそうだ。

ただし、その道中に、親族の半数が亡くなったらしい。

ちなみに、当時のミーノンは、南の[オウミ―ン国]と対立しており、何度となく衝突を繰り返していたので、ヒッダーを救う余裕はなかったらしい。

後に、ミーノンとオウミーンは不戦協定を結び、両国間での平和が今も続いている。

いずれにしろ、都に到着したランダ―は、城の雑用係として住み込みで働くようになったとの事だ。

13歳になってから本格的な修行を開始した彼は、次第に頭角を現し、幾つもの賊やモンスターの討伐で成果を上げ、去年の春ごろに、国主たる利通としみちの[護衛隊]に抜擢されたらしい。

なお、現在のランダ―は15歳である。

ジョブは【武闘家】で、[氷系]のスキルを扱う。

バトルの際には、藍色の道着に、白銀の額当て/肩当て/胸当て/肘当て/鉄の爪が付属している籠手/膝当て/足の甲と一体化している脛当て、といった装備になるようだ。


「辛いことを思い出させてしまい、すまなかった。」

頭を下げる撫子に、

「いえいえ、大丈夫ですので、どうか気になさらないでください。」

優しく微笑む青年であった―。
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