GOD SLAYER’S

― 第四章・西陸行路 ―

第167話 逆撃・其之参

“元インキュバス＆元セイレーン”も、[GOD SLAYER’S]によって消滅した。

決して、これらの[成れの果て]が弱いわけではない。

皆みなが成長し、確実に強くなっているからこその結果である。

スリアは魔法もスキルも扱えないが、ロボット達ともども、確かな戦力となっているので、パーティーに加入してくれた事は喜ばしい限りだった。

紫蓮しれんたちは既に慣れたが、彼女らの存在は“異質”であり、敵味方問わず驚かされたみたいだ。

何はともあれ。

左右に分かれていたメンバーが、紫蓮・撫子なでしこ・タリアノといった“縦ライン”を軸に、陣形を整え直す。

ちなみに、付近の雑兵どもは、3人によって一掃されている。

両脇を敵に襲撃された[ミーノン軍]は、しっかりと対応し、隊列が崩れるのを防いでいた。

[ブレスレット]の“一斉通話”にて、

「オークとウェンディゴの“成れの果て”は、どうする？？」
「一体ずつ倒していくか、それとも…。」

グーランが確認していたところ、

「いや、その余裕は無さそうだぜ。」
「敵軍の第二陣が動き出したからな。」
「ひょっとしたら、第三陣も上がってきているかもしれねぇ。」

フゥーリカンが告げたのである。

「突進するか？」

そう述べたのは、撫子だ。

これに、タリアノが、

「止やめておくのが賢明かもしれません。」
「我々だけ孤立しかねないでしょうから。」
「敵が本腰を入れるのであれば、ここからは神々・・が出張って来る可能性が高いですしね。」
「神の数にもよりますが、下級から中級が相手なら、私たちだけでも渡り合えるかもしれません。」
「ですが、上級ともなると、現時点での我々では勝てないでしょう。」
「“ゴッド・スレイヤーズ”の全滅を避さけたいのであれば、ここは待機しておくべきです。」

と、分析した。

それを、

「了解だ。」
「このまま、迎え撃とう。」

リーダーの紫蓮が採用したのである。


双方が、真正面から衝突していく。

紫蓮達は、敵兵どもを次々に討ち取っている。

“元オーク”と“元ウェンディゴ”に押されていた兵士たちは、指揮官クラスが続々と駆け付けたことによって盛り返しているようだ。

このような状況で、

「お出ましみたいですよ。」

涼音すずねが仲間に報せた。

見れば、背丈が3Mほどで、背中に一対（計二枚）の翼を有した者が、５～６M宙に浮いたまま、向かってきていたのである。

ところどころに金の装飾が施された銀の甲冑は、騎士用に違いない。

左腰には[ラージソード大剣]を帯びていた。

「あれは、おそらく、“中級”だな。」

一年ぐらい前に、[南陸なんりく第十神国しんこく]の“四将軍”と戦った時の事を軽く回想した紫蓮が、

「全員、気合入れてけよ！」

[画面]から伝える。

それを受信した誰もが、

「おう！！」

「ええ！」

「はい！！」

「当然！」

といった具合に、応答するのだった―。