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― 第五章・魔の領域 ―
第221話 遠征地にて・序
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五日後のAM10:00頃――。
おびただしい数の軍艦が、[東陸第四神国]の“西の港”に接近していた。
母船にて。
「もはや引き返せぬが、本当に良いのだな?」
「そなたらの故郷を攻めても。」
そう訊ねた鬼王に、
「ええ。」
「数日前に申し上げましたように、全くもって構いません。」
「寧ろ、神どもの支配から人々を解放していただきとうございます。」
神次の配下たる女性が述べる。
「ふむ。」
「……とはいえ。」
「楯突く者には容赦できんがな。」
鬼王が告げたところ、
「詮無きことですので、お気になさらず。」
静に答える女性であった…。
あちらより数十艘の戦艦が向かって来る。
先頭の船から、
「そこで停まられよ!!」
「どこの艦隊かは知らんが、猶も進むようであれば武力行使を厭わん!」
「神々と争いたくなければ、今のうちに退くがよい!!」
人間の男性が大声を発したのだった。
こちらの最前より、一体の“以津真天”が〝スゥ――ッ〟と宙に浮いてゆく。
なお、紫蓮が試合を行なった際に審判を務めた者とは異なるようだ。
そんな以津真天が、
「我ら“妖怪の王”は、神どもの死滅を望んでおられる!」
「そのためにも、雌雄を決するべく、御自ら赴かれた!!」
「邪魔だてするようなら命の保障はせんぞ!」
「海の藻屑となりたくなければ、こちらに降れぇいッ!!」
高らかに布告したのである。
この宣言によって、相手側がザワつきだした流れで、
「し、暫し待たれよ!」
さっきの男が願ったのであった。
数分が経ち、
「町の責任者が〝陛下に拝謁したいので、波止場にてお待ちいたします〟〝必要最低限の護衛の方々とお越しください〟との事です!!」
そのように男性が伝える。
以津真天より報せを受け、
「ふむ。」
「では、我ら一族のみで上陸するかのう。」
そう考えた鬼王だった……。
港で、
「初めまして、陛下。」
40代後半であろう女性が会釈し、背後に控える20人ほどの兵士などが倣う。
町長は、背丈165㎝ぐらいで、銀髪ロングに、緑色の瞳をしている。
〝うむ〟と頷いた鬼王が、
「我らは、これより、東へと進む。」
「ただ、数時間ごとに“妖怪の軍”が到着することになっておる。」
「総勢で3000万を超えるが、その殆どは町を通過してゆくので案ずるな。」
「しかし。」
「100万ほどは、ここに駐屯させる。」
「こちらからは危害を加えぬよう指示してあるので、これまでどおり生活して心配はない。」
「が。」
「もし、そちらが仕掛けようものなら皆殺しにされるものとして、肝に銘じておけ。」
こう語ったのであった。
一方的な主張ではあるが、
「はい。」
「問題ございません。」
何故だか“代表”が微笑んだ。
鬼王らが訝しがったところ、
「私などの先祖は“半妖”だったと聞き及んでおりますので、陛下がたのお越しを誠に歓迎しております。」
そのように説明する“町の責任者”だった―。
おびただしい数の軍艦が、[東陸第四神国]の“西の港”に接近していた。
母船にて。
「もはや引き返せぬが、本当に良いのだな?」
「そなたらの故郷を攻めても。」
そう訊ねた鬼王に、
「ええ。」
「数日前に申し上げましたように、全くもって構いません。」
「寧ろ、神どもの支配から人々を解放していただきとうございます。」
神次の配下たる女性が述べる。
「ふむ。」
「……とはいえ。」
「楯突く者には容赦できんがな。」
鬼王が告げたところ、
「詮無きことですので、お気になさらず。」
静に答える女性であった…。
あちらより数十艘の戦艦が向かって来る。
先頭の船から、
「そこで停まられよ!!」
「どこの艦隊かは知らんが、猶も進むようであれば武力行使を厭わん!」
「神々と争いたくなければ、今のうちに退くがよい!!」
人間の男性が大声を発したのだった。
こちらの最前より、一体の“以津真天”が〝スゥ――ッ〟と宙に浮いてゆく。
なお、紫蓮が試合を行なった際に審判を務めた者とは異なるようだ。
そんな以津真天が、
「我ら“妖怪の王”は、神どもの死滅を望んでおられる!」
「そのためにも、雌雄を決するべく、御自ら赴かれた!!」
「邪魔だてするようなら命の保障はせんぞ!」
「海の藻屑となりたくなければ、こちらに降れぇいッ!!」
高らかに布告したのである。
この宣言によって、相手側がザワつきだした流れで、
「し、暫し待たれよ!」
さっきの男が願ったのであった。
数分が経ち、
「町の責任者が〝陛下に拝謁したいので、波止場にてお待ちいたします〟〝必要最低限の護衛の方々とお越しください〟との事です!!」
そのように男性が伝える。
以津真天より報せを受け、
「ふむ。」
「では、我ら一族のみで上陸するかのう。」
そう考えた鬼王だった……。
港で、
「初めまして、陛下。」
40代後半であろう女性が会釈し、背後に控える20人ほどの兵士などが倣う。
町長は、背丈165㎝ぐらいで、銀髪ロングに、緑色の瞳をしている。
〝うむ〟と頷いた鬼王が、
「我らは、これより、東へと進む。」
「ただ、数時間ごとに“妖怪の軍”が到着することになっておる。」
「総勢で3000万を超えるが、その殆どは町を通過してゆくので案ずるな。」
「しかし。」
「100万ほどは、ここに駐屯させる。」
「こちらからは危害を加えぬよう指示してあるので、これまでどおり生活して心配はない。」
「が。」
「もし、そちらが仕掛けようものなら皆殺しにされるものとして、肝に銘じておけ。」
こう語ったのであった。
一方的な主張ではあるが、
「はい。」
「問題ございません。」
何故だか“代表”が微笑んだ。
鬼王らが訝しがったところ、
「私などの先祖は“半妖”だったと聞き及んでおりますので、陛下がたのお越しを誠に歓迎しております。」
そのように説明する“町の責任者”だった―。
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