GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第五章・魔の領域 ―

第236話 放談

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砦の北と南には“門”が在る。

東と西には無い。

ちなみに、この砦に駐屯している魔物の多くは鳥系・・であった。

そんな砦の東側の野原に、タリアノのテント(ゲル)が張られている。

お昼ご飯を済ませ、まったりした後に、女性陣が外で鍛錬していた。

自分らのサーヴァント達も含めて……。


ひと段落ついた彼女たちは、空の下で、座ったり、立ったまま、皮袋から水を飲んでいる。

〝ぷはぁ―ッ〟と息を吐いた百桃星ももせが、

「それにしても、撫子なでしこの“影分身”は、やはり凄いのぉう。」
「あの数を同時に相手するのは、かなり骨が折れる。」

笑顔で述べたところ、

「いやいや、百桃星は、いろんなスキルを得ておって、なかなかに勝ち筋が見えん。」

撫子が〝ニッコリ〟しながら返した。

現在、撫子の【影分身】は二人から三人に増えている。

〝本人を含めれば四人〟という計算だ。

クール(リキャスト)タイムについては、3分だったのが3分30秒となっていた。

一方の百桃星は【雷】【炎】【風】のスキルを使える。

彼女の父である鬼王きおうに至っては、更に【地】と【爆発】も扱えるらしい。

要は〝合計で5つを所持している〟ということだ。

 [武器伝導]に関しては、どれか一つしか発揮できない。

鬼王の場合は【爆発】で、百桃星は【雷】である。

なお、職人が獲物えものを生産する際に、粉砕した“魔鉱石”を混ぜる事によって、出来上がるのだそうだ。

こうして作られた武器に〝各自のスキルを反応させれば伝導という現象が起きる〟との話しだった…。


PM14:00過ぎ。

[GOD SLAYER‘S]は、自由行動を送っている。

図書室で本を読んだり、休憩室で雑談したり、自室で寝たりと、さまざまであった。

なかには、外で自主練に励む者もいるみたいだ……。


夕食時。

「そう言えば、ちと気になっておったのだが…。」
「タリアノは、“瞬間移動”は使えるのか?」

百桃星が素朴な疑問を投げかけた。

「以前は無理でしたが、この間の〝神々との戦い〟を経て、扱えるようになりましたよ。」

そのような説明に、

「えッ?!」
「マジでか!?」

すぐさまくいついたのは、グーランである。

他のメンバーも興味を抱いているようだ。

タリアノによれば、[東陸とうりく第四神国しんこく]でのバトルを終えた際に取得したとのことだった……。


翌日は雨となり、次の日は晴天になっている。

午前の未明に、

「失礼いた…。」

テントの出入り口を捲って、

「ぬおッ?!!」
「なんだ、これは??」

目を丸くしたまま固まったのは“ストラス”だ。

彼は、紫蓮しれんたちが魔族の領土で最初に会った“フクロウ人間”である。

どうやら、ゲルの造りに驚いてしまったらしい。

丁度、図書室へ向かおうとしていたルウェーが、

「おはようございます。」

挨拶した流れで、

「どうかしましたか?」

軽く首を傾げた。

これによって、

「あ、ああ。」

ストラスは正気を取り戻したみたいだ。

〝コホンッ〟と咳払いした“フクロウ”が、

「我々の最高司令官より言伝ことづてを預かって参りました。」
「魔王様が明日あすお会いになってくださるそうなので〝昼食後に砦へとお越しいただきたい〟との事です。」
「南門に回ってもらえれば対応しますので、よろしくお願いします。」

そのように告げたのである。

これを受けて、

「分かりました。」
「わざわざありがとうございます。」

丁寧にお辞儀するルウェーであった―。
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